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記事投稿キャンペーン 「AI、機械学習」

Google Apps ScriptでGPTsのCustom ActionsのAPIを作ってみた

Last updated at Posted at 2023-11-13

はじめに

GPTsのCustom Actions(カスタムアクション)をつかって、外部のAPIを呼び出して、データを取得することができるようになりました。

たとえば、郵便番号検索APIを呼び出して、ユーザーから入力された住所から、郵便番号を回答するGPTを作ることができます。

詳細についてはこちら

この記事では、Custom Actionsから呼び出されるAPIを、Google Apps Scriptを使って無料で作る方法について説明します。

この記事はこちらのYouTube動画でご紹介いただいております。

この記事の対象者

  • GPTsのCustom ActionsのAPIを自作したい方
  • Google Apps Scriptで簡単なスクリプトを作ったことがある方
  • Zapierの連携よりも複雑な処理を求めている方

APIの概要

シーケンス図で表現しました。

スクリーンショット 2023-11-13 11.08.26.png

"Google Apps Script"にあたるところが、今回作成するAPIになります。
処理としては4桁の数字をキーとして、Googleスプレッドシートからその数字に対応する苗字と名前を探します。
あと、いくつかのエラー処理も入ってます。

ちなみに、上から2番目と3番目の処理

  • 質問文から4桁の数字を取り出す
  • 4桁の数字のデータを渡す

がCustom Actionsにあたります。

Googleスプレッドシートを作成

こちらが今回のサンプルのGoogleスプレッドシートです。
番号と苗字・氏名はChatGPTにサンプルデータを生成してもらいました。
スクリーンショット 2023-11-13 7.05.12.png

作成したGoogleスプレッドシートの
スプレッドシートIDをテキストエディタなどにコピペしてひかえます。
→次の手順で使用します。

スクリーンショット 2023-11-14 12.17.04.png

この記事のサンプルのGoogleスプレッドシートをシェアしました。
よろしければ、ご自身のGoogleドライブにコピーしてお使いください。
共有リンクはこちら

Google Apps Scriptを作成

スプレッドシートの拡張機能>Apps Scriptを選択します。
スクリーンショット 2023-11-13 9.13.20.png

Apps Scriptのエディタが開きます。
スクリーンショット 2023-11-13 9.17.46.png

こちらのコードを貼り付けます。
// スプレッドシートの準備 の SpreadsheetApp.openById の箇所に
先ほどコピーしてひかえたスプレッドシートIDを貼り付けます。

コード.gs
function doGet(e) {
  // リクエストからパラメータを取得
  console.log("start GPTs Custom Actions API test");
  console.log("e: " + JSON.stringify(e));
  var searchQuery = e.parameter.id;
  console.log("e.parameter.id: " + e.parameter.id);

  // 4桁の数字かどうかをチェック
  if (!searchQuery || !/^\d{4}$/.test(searchQuery)) {
    console.log("bad format: " + searchQuery);
    return ContentService.createTextOutput(
      JSON.stringify({ "error": "Invalid request. Please provide a 4-digit number." })
    ).setMimeType(ContentService.MimeType.JSON);
  }

  // スプレッドシートの準備
  var sheet = SpreadsheetApp.openById('ここにスプレッドシートIDを貼り付ける').getSheetByName('シート1');
  var data = sheet.getDataRange().getValues();
  console.log("format OK");

  // スプレッドシートを検索
  for (var i = 1; i < data.length; i++) {  // 2行目から開始
    if (data[i][0].toString() === searchQuery) {
      console.log("hit: " + i);
      console.log("last: " + data[i][1]);
      console.log("first: " + data[i][2]);
      // 見つかった場合、JSONとして返す
      return ContentService.createTextOutput(
        JSON.stringify({ "lastname": data[i][1], "firstname": data[i][2] })
      ).setMimeType(ContentService.MimeType.JSON);
    }
  }
  console.log("not found");
  // 一致するデータが見つからない場合
  return ContentService.createTextOutput(
    JSON.stringify({ "error": "No data found for the provided number." })
  ).setMimeType(ContentService.MimeType.JSON);
}

コードの処理内容は以下の通りです。

  • リクエストからパラメータの取得: リクエストからidという名前のパラメータを取得し、searchQuery変数に格納します。

  • パラメータの形式チェック: 取得したsearchQueryが4桁の数字であるかどうかをチェックします。この形式に合致しない場合、エラーメッセージを含むJSONレスポンスを返し、処理を終了します。

  • スプレッドシートの準備: 特定のスプレッドシートを開き、'シート1'という名前のシートからデータを取得します。

  • スプレッドシート内の検索: スプレッドシートのデータをループ処理し、各行の最初のセルの値がsearchQueryと一致するかを確認します。ループは2行目から始まります。

  • データが見つかった場合の処理: 一致するデータが見つかると、その行の2番目と3番目のセルの値を姓(lastname)と名(firstname)としてJSON形式でレスポンスとして返します。

  • データが見つからなかった場合の処理: スプレッドシート内で一致するデータが見つからない場合、「提供された番号に対するデータが見つからない」(英文)というエラーメッセージを含むJSONレスポンスを返します。

Google Apps Scriptをデプロイ

スクリーンショット 2023-11-13 9.22.42.png
スクリーンショット 2023-11-13 7.01.06.png
スクリーンショット 2023-11-13 7.01.18.png
スクリーンショット 2023-11-13 7.02.02.png
スクリーンショット 2023-11-13 7.02.14.png
スクリーンショット 2023-11-13 7.02.29.png
スクリーンショット 2023-11-13 7.02.45.png
スクリーンショット 2023-11-13 7.02.54.png
デプロイが完了するとこちらの画面になります。
ウェブアプリの コピー をクリックして、URLをコピーしてテキストエディタなどにコピペしておきます。
→次の手順で使用します。
スクリーンショット 2023-11-13 7.03.13.png

GPTsを作成

スクリーンショット 2023-11-13 9.58.59.png
Upload files は無し。
Capabilities も何も設定しません。
一番下の
Use conversation data in your GPT to improve our models
のチェックボックスもOFFにします。
スクリーンショット 2023-11-13 7.13.14.png

GPTsのCustom Actionsを設定

前の項目のスクショで説明した歯車のアイコンをクリックしてCustom Actionsの設定画面を開きます。
スクリーンショット 2023-11-13 9.59.29.png

Schemaは以下のコードをコピペします。
コピペしたら、前の章でコピーしておいたデプロイしたURLの一部(/macros以下)を、貼り付けます。
上のスクショで赤文字で説明している箇所に貼り付けます。

例えばデプロイしたURLが

https://script.google.com/macros/s/AKfycbzR2GGFg_9Ilnv55jzZDBQ3J_miH_OIQUn3qDJpPDBWSlnw-OT6H6rRZhkJ57EIijUYEQ/exec

の場合

/macros/s/AKfycbzR2GGFg_9Ilnv55jzZDBQ3J_miH_OIQUn3qDJpPDBWSlnw-OT6H6rRZhkJ57EIijUYEQ/exec

の部分を貼り付けます。

Schema
{
  "openapi": "3.1.0",
  "info": {
    "title": "Get name data",
    "description": "Get lastname and firstname by id",
    "version": "v1.0.0"
  },
  "servers": [
    {
      "url": "https://script.google.com"
    }
  ],
  "paths": {
    "ここにデプロイしたURLの /macros以下 のアドレスを設定": {
      "get": {
        "description": "Get lastname and firstname by id",
        "operationId": "GetNameByid",
        "parameters": [
          {
            "name": "id",
            "in": "query",
            "description": "ID No.",
            "required": true,
            "schema": {
              "type": "string"
            }
          }
        ],
        "deprecated": false
      }
    }
  },
  "components": {
    "schemas": {
      "NameResponse": {
        "type": "object",
        "properties": {
          "lastname": {
            "type": "string"
          },
          "firstname": {
            "type": "string"
          }
        }
      }
    }
  }
}

ためしてみる

よろしければ、こちらからお試しください。

スクリーンショット 2023-11-13 9.25.59.png
Custom Actionを実行していいか聞いてきますので、
Allow か Always allow をクリックします。
→Always allow をクリックすれば、再度聞いてきません。
スクリーンショット 2023-11-13 7.04.28.png
Custom Actionが実行され、1010の番号に対応する苗字「黒田」の回答を得ました。
スクリーンショット 2023-11-13 9.26.36.png
スクリーンショット 2023-11-13 7.05.12.png

Custom Actionでは番号 1010 が送られていることがわかります。
スクリーンショット 2023-11-13 9.26.51.png

Custom ActionsがあるGPTsの公開について

Custom Actions の Privacy Policy(プライバシーポリシー)が空白だと、Only people with a link や Public で第三者に公開できないです。
→Only me で自分だけ使用するならOK。
スクリーンショット 2023-11-13 9.34.13.png

Google Siteでプライバシーポリシーのページを用意して公開しました。
スクリーンショット 2023-11-13 9.27.07.png

プライバシーポリシーのサイトはこちら

設定したプライバシーポリシーは、ユーザーがGPTsを実行する時に確認ができます。
スクリーンショット 2023-11-13 9.26.51.png

考察

Google Apps Scriptのデプロイ方式について

デプロイ方式は「ウェブアプリ」の他に「実行可能API」もあります。
「実行可能API」で試したところ、Google Apps Scriptにデータがうまく渡されなかったので、今回は「ウェブアプリ」のデプロイ方式を採用。

Custom ActionsからGoogle Apps ScriptのAPIにデータを渡すところ

Schemaの設定

"id" が4桁の数字の番号にあたります。
数字ではなく文字列として渡しています。
GPTsはこのSchemaの設定を元に、ユーザーからの質問文を解析して、4桁の数字の番号を抜き出して、APIにデータを渡します。
スクリーンショット 2023-11-13 6.55.37.png
APIに渡すデータを増やしたい場合は、赤枠で囲った部分をコピーして、カンマ "," で区切ってコピーします。

Google Apps Scriptのコード

JSON形式でデータを受信して、JSON形式のデータから id を取り出し、searchQuery変数に代入
スクリーンショット 2023-11-13 12.16.07.png

Google Apps ScriptのAPIからCustom Actionsにデータを返すところ

Google Apps Scriptのコード

searchQuery変数でGoogleスプレッドシートを検索し、ヒットしたら
苗字 → lastname
名前 → firstname
でJSON形式のデータを作成して、返します。
スクリーンショット 2023-11-13 12.19.36.png

Schemaの設定

受信したJSON形式のデータから
lastnameとfirstnameを取得し、GPTsがそれを日本語に置き換えて、ユーザーに回答します。
スクリーンショット 2023-11-13 10.15.21.png
やり取りするデータを増やしたい場合は、赤枠で囲った部分をコピーして、カンマ "," で区切ってコピーします。

おわりに

今回紹介したGPTsからGoogleスプレッドシートのデータを取得するのは、Zapier使えばノーコードでできます。

Zapierの無料プランの制限を気にせず運用したい場合や、もっと複雑なことやりたい場合にGoogle Apps Scriptを使ってみるのはいかがでしょうか。

JavaScriptのプログラミングが必要ですが、ChatGPTでプログラムしてもらえる時代です。
ここで紹介しているコードもChatGPTをつかって書きました。
→もちろんデバッグや、多少の手直しは自分でやっております。

Google Apps Scriptを改造すれば、例えばGoogleスプレッドシートに独自の英単語帳を作って、ランダムにGPTsに返すことも可能です。

Googleスプレッドシートに連携するAPIのいいところは、データの更新が楽なこと。
更新の都度、GPTsの設定画面を開いて、ファイルをアップロードする必要がないので、常に最新のGoogleスプレッドシートの情報を取得できます。

GoogleスプレッドシートだけでなくGoogleドキュメントやGmail、Googleカレンダーと連携すれば、アイディア次第でGPTsの活用がいろいろ広がりそうです。

この記事を参考にご自身でCustom ActionsのAPIを開発する際の一助になれば、幸いです。

最後までご精読いただき、ありがとうございました。

補足

初めてデプロイ後に、Google Apps Scriptを編集した場合、こちらの手順でデプロイします。
「デプロイを管理」を選択。
スクリーンショット 2023-11-13 9.22.42.png
右側のペンのアイコンをクリック
スクリーンショット 2023-11-13 11.32.41.png
一旦、バージョンをクリックして、
スクリーンショット 2023-11-13 11.32.50.png
新バージョンを選択して、デプロイします。
スクリーンショット 2023-11-13 11.33.04.png
この手順でデプロイすれば、デプロイのURLは変更されません。
→GPTsのCustom ActionsのSchemaを編集する必要はありません。

参考資料

Google - Google サイトの使い方
https://support.google.com/sites/answer/6372878?hl=ja

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