XBRLについて
官公庁や金融監督当局などの情報開示・データ授受に利用されているXBRLについての情報をまとめます。
XBRLとは
XBRL(eXtensible Business Reporting Language)は、事業報告に用いられるXMLベースの言語です。日本語では「拡張可能な事業報告言語」と訳されています。XBRLで扱われる事業報告情報は主に財務情報(バランスシート、損益計算書、キャッシュフロー)が主でしたが、近年では非財務情報(経営情報・企業の社会的責任・環境報告など)にも適用されつつあります。
XBRLの仕様
XBRLの仕様は XBRL International で公開されています。今回の概論については、XBRLの基本的な仕様「XBRL 2.1 Specification」をベースに説明しますが、その他応用的なXBRL技術の仕様についても公開されています。詳細は XBRL Specifications の一覧から参照ください。
「XBRL 2.1 Specification」については、JIS規格(JISX7206)として登録されていますので、JIS検索から日本語訳の閲覧が可能です。
XBRLの構成技術
XBRL(XBRL 2.1 Specificationの場合)のデータは以下の技術を利用して表現されます。
- XML
- XML Namespace
- XML Schema
- XLink
特にXBRLのタクソノミはXMLSchemaを、リンクベースはXLinkの技術を利用して記述するため、XBRLの内容を紐解くためには上記のようなの知識をある程度有していることが前提となります。
XBRLの基本構成要素
XBRLは主に2つの要素で構成されています。
- インスタンス文書
- タクソノミ文書
これらの構成要素は「報告内容」と「報告書フォーマット」の対となっており、どちらか片方について中を見たとしても、内容を完全には理解することはできません。このため、通常、XBRLファイルの内容を閲覧する場合は、専用のビューアやエディタを利用する必要があります。
インスタンス文書
インスタンス文書は報告書を構成する要素の中で言えば「報告内容そのもの」にあたります。インスタンス文書はXMLファイルとして定義され、報告情報はXMLの要素としてタグづけされた状態で表現されます。ただし、項目名や勘定科目などの情報はタクソノミ文書に定義されており、インスタンス文書には含まれません。データの作成者によって、XMLタグに項目を連想できるような名前を付けていることが多いですが、正確な項目名はタクソノミ文書と一緒に閲覧しなければ確認できません。
報告情報の要素に対しては「年度」の情報(コンテキスト情報)、「単位」の情報(ユニット情報)を付与することができます。これらの年度・単位の情報もインスタンスの中に定義します。
なお、インスタンスのファイル拡張子は「.xml」や「.xbrl」等、作成主によって異なる場合があります。
タクソノミ文書
タクソノミ文書は報告書の「フォーマット」にあたる部分です。タクソノミ文書もインスタンス文書と同様にXMLファイルとして定義されますが、前述のXML技術(XML Schema、XLink)を使用して定義されます。タクソノミ文書は以下の2つの要素により構成されています。
- タクソノミスキーマ(XML Schema)
- リンクベース(XLink)
タクソノミスキーマ
タクソノミスキーマはインスタンスで表現される項目(要素)の情報をXML Schemaを利用して定義します。具体的には、財務情報であれば勘定科目、非財務情報であれば報告項目、というような単位で項目を定義します。タクソノミスキーマファイルはスキーマなので、ファイルの拡張子は「.xsd」となります。
リンクベース
リンクベースには、タクソノミスキーマで定義した項目間の関係をXLinkを利用して定義します。XBRL 2.1 Specificationの場合、以下のような内容を各種リンクベースで定義します。
- 各項目の名前:Label Linkbase(ラベルリンク)
- 各項目間の表示順序:Presentation Linkbase(表示リンク)
- 各項目間の関係情報:Definition Linkbase(定義リンク)
- 各項目間の計算情報:Calculation Linkbase(計算リンク)
- 各項目の参考情報:Reference Linkbase(参照リンク)
XBRL 2.1 Specificationに定義されていない応用的なリンクベースも存在しますので、これらを組み合わせてより高度な情報を定義することも可能です。
リンクベースの定義はタクソノミスキーマとは別ファイルとして定義することができます。このときファイルの拡張子は「.xml」となります。