はじめに
最近よく耳にするUX、デザイン思考って結局何をしたらいいのか分からないですよね。やるべきことも多いし、有識者も少ないし、、、。少しずつ始めていくしかないと思います。その中で、必ずやるのが「アイディア出し」です。ユーザ調査、ペルソナ、カスタマージャーニーマップ、ユーザビリティテストなどももちろん重要ですが、良いアイディアを生み出せなければ他のフェーズが活きません。そのため、アイディア出しのやり方についてまとめていきます。
UXDの流れ
大まかな流れは下記の通りです。必ずしも順番を守る必要はなく、何度も繰り返し行っていくことが重要です。当記事は「4. アイディアを考える」の参考になれば幸いです。
- 目的を明確にする
- ユーザを調査する(ユーザインタビュー)
- ユーザを明確にする(ユーザモデル)
- アイディアを考える
- ユーザシナリオを考える
- アイディアを実践する
- 作成したものをテストする
アイディア出しについて
種類
アイディア出しには色んな手法があります。私は下記のカテゴリーに分けて考えています。自分にとってアイディアを出しやすいものを見つけてみて下さい。
- 右脳:ひらめき得意タイプ
- 左脳:論理的タイプ
- 個人:一人でもみんなでも
- グループワーク:4,5人グループで
前提
アイディア出しをやる上で、マインドセットは重要です。普段アイディア出しをする機会の少ない人、慣れていない人、頭でっかちになりがちな人、論理的すぎる人にはマインドセットが重要となります。
- 質より量を重視
- 発散のタイミング
- しょうもないアイディアだと思っても全部吐き出すこと
- 他人のアイディアを批判しないこと
- 「Yes, And」のマインドで取り組むこと
- 斬新さ、面白さ、新規性、有用性にこだわりすぎないこと
- 楽しんでアイディア出しをすること
アンチプロブレム(グループ、左脳)
- 必要な時間:30m~60m
- お勧め度:★☆☆☆☆
- 特徴:実際の課題と反対のことをテーマにして考える方法です。行き詰ったとき、普通のアイディアしか出せないときに使うのがお勧めです。ただ、課題の反対を考えるのが難しいです。
- やり方
- 自分が一番解決したいと思う課題1つ決めます。
- その課題の反対の課題を挙げます。
- 反対の課題を解決するためのアイディアを自分で考えます。
- グループ内で紙を回して、反対の課題を解決するアイディアを追加していきます。
- 反対の課題を解決するアイディアから、本来の課題を解決できないか考えます。
- 例(後輩育成)
ブレーンライティング(グループ、左脳)
- 必要な時間:30m~60m
- お勧め度:★★★☆☆
- 特徴:ブレーンストーミングだとどうしても声の大きい人や最初に出た意見に偏りがちです。その欠点を補い、みんなの意見を平等に出せる手法となります。
- やり方
- テーマに対して自分がどのように解決したいかを2つ書きます。
- グループ内で紙を回して、それぞれアイディアを追加していきます。
- 例(後輩育成)
アイディアしりとり(グループ、右脳)
- 必要な時間:30m~60m
- お勧め度:★★★★☆
- 特徴:そのままですが、しりとりで出たワードからアイディアを考える手法です。グループで話しながらアイディア出しを行えます。これも無限にアイディアを出せます。
- やり方
- グループで1枚の紙を使って行います。
- 1人目の人がしりとりの最初のワードを書きます。
- 全員でそのワードについてアイディアを考え、話します。
- 2人目がしりとりを続けます。
- 同様に話しながらアイディアを出していきます。
- 基本的にしりとりをした人が最初にアイディアを出すようにした方が偏りがなくなります。
- 例(後輩育成)
ブレーンストーミング&SCAMPER,TRIZ(グループ、右脳)
- 必要な時間:30m~60m
- お勧め度:★★★★★
- 特徴:ただのブレーンストーミングは初心者が実践すると、どうしても行き詰ってしまうことが多くなります。そのため、私はSCAMPER(スキャンパー)やTRIZ(トゥリーズ)などのリストとブレーンストーミングを組み合わせるのがお勧めです。
- やり方
- SCAMPER,TRIZの内容を1枚のカードに1つずつ書きます。
- カードを裏にしてグループの真ん中に置きます。
- カードを1人ずつ引いて、引いた人がカードに書いてあるアイディアを出します。
- グループで他のアイディアがあれば出します。追加でもいいです。
- 次の人がカードを引いて、同様に進めます。
- 引いた人が1分以内にアイディアを出せなければ、もう一枚引いてアイディアを出してください。
- 例(後輩育成)
- 上下逆さまにしたらどうなるか→後輩から先輩に教える
- 何を犠牲にできるか→自分の時間
- 一部を変えてみたらどうか→別の先輩にも見てもらう
マンダラート(個人、左脳)
- 必要な時間:60m
- お勧め度:★★★★☆
- 特徴:アイディアを広い視点で漏れなく考えることができる手法です。宿題として出すのがお勧めです。後に行うアイディア出しの幅も広がります。
- やり方
- 真ん中にアイディア出しのテーマを書きます。
- その回りにカテゴリーを書きます。
- カテゴリーからアイディアを書き出します。
- 全てのマスを埋めることに集中してください。
- 例(後輩育成)
カタログ法(個人、右脳)
- 必要な時間:10m~30m
- お勧め度:★★☆☆☆
- 特徴:連想を重視する手法です。目についたものからアイディアを考えます。左脳タイプには少し難しいかもしれません。
- やり方
- 色んな分野の本や雑誌を準備する。(ファッション雑誌、インテリア雑誌、IT雑誌、マンション雑誌、絵本、絵画の本、料理本、フリーペーパーなど)
- 本・雑誌を流し見る。
- イラストやワード、絵、写真など目についたものからアイディアを考える。
- 例(後輩育成)
- 黄色の服→レベル分けのネームカードを作る
- 料理本の作り方→後輩1人1人の取扱説明書を作る
- 雑誌の〇〇ランキング→やりたいこと・興味のあるランキングを付ける
エクスカーション(個人、右脳)
- 必要な時間:10m~60m
- お勧め度:★★★★★
- 特徴:無限にアイディアが出せます。行き詰ったときや頭を柔らかくしたいときなどにお勧めです。簡単にいうと、「他のものを参考にしてアイディア出してみよう」という手法です。「他のもの」を何にするか迷いますし、結構選ぶセンスが必要になってきます。まずは、やってみないと分からないので自分が知っているものなら何でもいいです。
- やり方
- 自分が知っている動物・職業・場所・スポーツなど1つ決めます。
- 決めたものの特徴や連想することを何でもいいので10個くらい書き出します。なるべく細かく書いた方がいいです。
- 決めたものの特徴・連想することを基に、アイディア出しのテーマに置き換えて考えてみます。
- 例(弓道→後輩育成)
- 参考
- 動物(猫・犬・ニワトリ・ワニ・カラス・象・キリン・コアラ・ナマケモノ・ライオン・ラクダ・熊・羊・牛・馬・カンガルーなど)
- 職業(医師・看護師・薬剤師・救急隊・裁判官・弁護士・警察官・消防士・教諭・教授・記者・写真家・アイドル・デザイナー・エンジニア・美容師・営業職・ベビーシッターなど)
- 場所(アメリカ・日本・オーストラリア・中国・ディズニーランド・熊本・沖縄・北海道・東京・京都・大阪・名古屋・小学校・田んぼ・公園・ビル・高速など)
- スポーツ(テニス・バスケ・柔道・弓道・バドミントン・野球・サッカー・ボクシング・ラグビー・卓球・ボウリングなど)
- その他(料理・洗濯・仕事・趣味・服・色・文化・Amazon・LINE・Instagramなど)