この記事は、SmartHR Advent Calendar 2024 シリーズ2、17日目の記事です。
昨日は @hakozaruさん@mottyさんのGAS × New Relic を駆使して立ち向かうパフォーマンス改善でした。
はじめに
今年の7月にデータ連携というプロダクトを開発するユニットのチーフを拝命しました。私のキャリアで初めてのマネジメントポジションということもあり、これまでの半年間チーフの役割や振る舞いについて自問自答を繰り返してきました。その中で、私が思い描くチーフの振る舞いがドラクエの僧侶の振る舞いとよく似ていることに気がつきました。
というわけでこの記事では、私が思い描くチーフとしての振る舞いをドラクエの僧侶になぞらえて整理してみました。
SmartHRにおけるチーフとは
SmartHRではひとつのプロダクトを担当するユニット(2〜7名ほどで構成)が組織の最小単位になっており、ユニットにはチーフが1名つきます。チーフはいわゆるプレイングマネージャーのことで、プロダクト開発にプレイヤーとして携わりながら、担当するプロダクトの事業目標を達成するためにユニットに対するマネジメントも様々な側面から行います。
メンバーのパフォーマンスを最大化することで、プロダクトの事業目標の達成やメンバー自身の成長を支援することが期待されるポジションだと理解しています。
※ 開発組織やレポートラインに関するより詳しい説明はSmartHR開発組織についてをご参照ください。
ドラクエにおける僧侶の重要性
僧侶がいないパーティの末路
- 短期的な火力は高い
- ただし長期戦を強いられるボス戦においては、HPを削りきれず行き詰まる
- 回復をアイテムに頼る場面が増えるため、長旅がしづらい
- 回復アイテムの調達には時間とゴールドがかかる
- 長旅がしづらいのでレベル上げやゴールド稼ぎの効率も悪い
...非常に厳しいですね。
僧侶がいれば
- 回復呪文を駆使することで長期戦に対応できる
- 長期戦に持ち込めばボス戦でも勝ち筋が見えてくる(総合的な火力は前者を上回る)
- 状態異常も回復できるのでパーティを健全に保てる
- 補助呪文で味方にはバフを、敵にはデバフをかけ戦闘が安定する
- 攻撃呪文で自ら戦闘に加わることもできる
- 長旅がしやすくなるので、レベル上げやゴールド稼ぎの効率もよい
回復やサポートの役割を担う僧侶の存在は、ボス戦の攻略や長旅を続けるための肝であることは明白です。
この話を
- パーティ -> ユニット
- 味方 -> メンバー
- 敵・ボス -> 事業課題
- 旅 -> ユニットの運営
- レベルアップ -> メンバーの成長
などと置き換えてみると、僧侶の役割とチーフの役割がよく似ていることが見えてきます。
僧侶に学ぶチーフの振る舞い
というわけで、チーフの振る舞いを僧侶になぞらえて整理してみます。
ユニットを健全に保つ
僧侶はホイミで傷ついた味方を回復したり、キアリーで味方のどく状態を治したりします。パーティの健全な状態を保つことで長期戦に対応でき、ボス戦の攻略が見えてきます。また、長旅がしやすくなることでパーティのレベル上げやゴールド稼ぎが効率的になります。
チーフは、メンバーやユニットの状況を観察し何かしら不健全な状態があれば是正を試みます。1on1やユニットでの振り返りの場を活用するのがよさそうです。メンバーやユニットの状態を健全に保つことは困難な事業課題に挑戦する上で不可欠なことかと思います。また、事業課題の解決を繰り返すことでメンバーは成長し、ユニットのパフォーマンスは更に高まっていきます。
メンバーのポテンシャルを引き出す
僧侶はスカラを使うことで味方の守備力を高め、敵からのダメージを軽減させられます。通常状態では勝ち目のなかった敵の攻略筋が見えてきます。
※ 本当はバイキルトを例に出したかったんですが、僧侶はバイキルト使えないので...
これは、チーフがメンバーのポテンシャルを引き出して最大のパフォーマンスを発揮してもらう様子に似ています。1on1の場で課題解決の壁打ち役になったり、モチベーションを引き出すように努めます。
困難な事業課題を取り扱いやすくする
ルカニを使うことで敵の守備力を下げ味方の物理攻撃を通りやすくします。物理耐性が高い敵に特に有効で、そのままではまるで刃が立たない敵であっても戦いの土俵に引き込めます。
これは、そのままでは扱いづらい事業課題をブレークダウンしタスク単位で取り扱える状態にする営みに似ています。スクラムでいうところのプランニングやリファインメントの部分に相当するかと思います。
他にも、会社のバリューや組織のスローガンなど抽象度の高い事柄についてその解釈を議論する場を用意することで、メンバーが自分ごととして捉えられるように働きかけることも重要です。
取り組むべき課題を見定める
ニフラムやバシルーラは敵を戦闘から退場させることができます。強力な敵に刺さることもあり消耗を回避できる一方、倒す訳ではないので経験値やゴールドは貰えません。使い所を見定める必要があります。
例えばハラスメント事案が発生した場合は、被害メンバーの意思を尊重しつつもハラスメント相談窓口を活用するなど問題の早期解決に努めます。乗り越えるというよりは、問題の除去に専念するのがよさそうです。
一方で、困難だが取り組む価値があるような課題もあります。メンバーと共に立ち向かうことでプロダクトやメンバーの成長に繋がります。
ユニットやメンバーの成長につながるのか?取り組むべき課題なのか?を見定めることが重要です。
本来やるべきことに集中できる環境を整備する
フバーハを使うことで強力なブレス系のダメージを軽減できます。ブレス攻撃のリスクをコントロールすることでHP管理がしやすくなり、戦士や武闘家が攻撃に専念できる状況を維持します。
例えば雑務を自動化したり、面倒なタスクを巻き取ったりすることでメンバーが本来業務に専念できる状況を維持し、ユニットとして挙げられる成果を最大化します。一方でタスクを巻き取りすぎることで属人化を招く場合もあるので、適度なバランスを保つことが重要です。
課題解決に加わる
パーティが安定したタイミングではバギで攻撃に加わります。ただし、回復やサポートそっちのけで攻撃ばかりしていると、たちまちパーティは崩壊し全滅してしまいます。 パーティが安定したら の条件を忘れてはいけません。
まさにプレイングマネージャーの「プレイング」の部分です。ユニットやメンバーのサポートを優先しつつ、具体的な課題解決、価値創出に加わります。
ユニットのために砕け散る覚悟を持つ
メガンテは自分の命と引き換え敵全体に大ダメージを与えることができます。砕け散ります。
メンバーが最大限のパフォーマンスを発揮しユニットとして創出できる価値を最大化できるように、利他的に振る舞う覚悟があるとよさそうです。砕け散りたくはないので、あくまで「覚悟」にとどめておきたいです。
ユニットの人員を管理する
(僧侶の文脈からそれますが)ルイーダの酒場では、新しい仲間をパーティに加えたり、パーティの仲間を離脱させることができます。パーティのバランスを見ながら編成を考えます。
チーフとして、ユニットに補うべきメンバー像を言語化し、マッチするメンバーを引き入れる活動も大切です。採用活動にも積極的に貢献したいところです。
逆に、どうしてもユニット内でパフォーマンスを発揮できないメンバーがいるのであれば、より活躍の場があるユニットへの異動も検討します。メンバーの離脱はユニットとして痛手ですが、全体最適の観点で個々のメンバーが最大のパフォーマンスを発揮することが最優先と考えます。
ユニットのサポート役だけに甘んじない
僧侶の最も大事な役割は回復/サポートですが、他の職業を経験することで賢者などの上級職に転職できます。賢者はさらに強力な回復魔法に加え攻撃魔法も多く扱えるため、パーティの総合力がグッと高まります。
チーフとしてユニットのサポート役を全うしつつも、自身の能力開発も怠らないことが重要と考えます。地道な努力を続けることで、より困難で抽象的で、しかしながら価値のある課題と向き合えるようになると思います。プレイングマネージャーとして一段上を目指したいです。
まとめ
SmartHRにおけるチーフの振る舞いをドラクエの僧侶になぞらえて整理してみました。あくまで個人の見解ですが、正解があるものでもないのでいろんな考えに触れることが大切かと思います。
同じようなポジションで奮闘されている方にとって何かの参考になれば幸いです。