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7/10/2020期サイエンス誌内容集約 in 日本語

Last updated at Posted at 2020-07-13

このシリーズは科学界で最も権威ある Science誌の最新期を短い日本語に要約して皆さんにお届けします。この雑誌は週刊誌なので、毎週の内容を1~2回に分けてその週のうちに更新を目指します。各論文のタイトルから原文に飛べるので、大学院生、新しい技術を求める起業家、科学に興味ある方はぜひご覧になってください。

#歯と顎の由来に関する新しい説(Teeth and jaws)
地球で最初に誕生した脊髄動物はウナギのような顎がない魚類である。
その後、声を発しコミュニケーションを取るためか、獲物を取るためなど
環境に適応するために歯や顎が生まれたとされてきたが、
Vaškaninováらの研究により、もしかしたらこの変化はもっと先天的(原文:ancestral)
なものかもしれない。

#毒素開発に関する新しい手法(Engineering a toxin)
現在、任意に選んだGタンパク質共役受容体(タンパク質の一種)にのみ作用する薬を開発するのが難しい状態が続いている。
そんな中、Maedaらはヘビの神経毒素を観察することにより、その中の一つMT7という毒素はM1AChRという受容体にのみ作用することを発見した。さらに、彼らはMT7を別の受容体M2AChRに作用させるような手法を開発したため、これが特定の受容体にのみ作用する薬の開発の基盤になると期待されている。

#遺伝的疾患に関する因子を発見(An inherited disorder makes WAVEs)

WAVE regulatory complex(WRC)は免疫に関するアクチンタンパク質の形成を仕切る複合物だと知られているが、その詳細な作用はまだ明らかになっていない。
Cookらは、WRCを形成する遺伝子にミンセンス変異(missence variants)が見られる五人の患者を調査した所、この遺伝的疾患にWRCが関わる可能性が高いことを発見した。

#長距離で強い相互作用を引き起こす(Strongly coupled at distance)

量子技術の領域においては複合(hybrid)な量子システムの構築が期待されている。
しかし、強い相互作用の下で起きる量子現象を引き起こすためには、今まで極近距離に原子を近づける必要があった。そこで、Kargらはレーザーを用いれば原子がお互い近くにいなくても強い相互作用が起きることを示した。

#北極海において浮遊生物が栄える新たな要因(Food for thought)
地球温暖化により気温が上昇し、開放海域が広がった北極海において、
植物性の浮遊生物の数がここ数十年上昇し続けてきた。
従来では、気温上昇が浮遊生物の大幅な増殖の原因であると考えられてきたが、
Lewisらにより、増殖速度が予想より早く、何らかの原因で外部から栄養となり得るものが流れ込んできたことがわかった。したがって、今後数十年北極海の生命活動はより活発になると予想できる。

#血漿を用いて「賢さ」を伝播できる(Plasma transfers exercise benefit in mice)
運動は体の様々部分に良い影響をもたらしてくれることは昔からわかっている。
さらに、Horowitzらの研究により、これは血漿を介して別の個体に給与することができることが判明した。
彼らは運動を行なった若いネズミの血漿を、運動をしていない高齢なネズミに輸血した所、
高齢なネズミの認知能力が高まったことを観測した。

#リンパ管機能の解明(Roles of organ-specific lymphatic vessels)
リンパ管は全身に渡り様々臓器とやり取りを行なうことで知られている。
今回 Petrovaらはさらに臓器との関わり、血液系統の維持、大腸液への影響、ガンの誘発性など新たな視点でリンパ系統の詳細についてまとめた。この分野の入門者におすすめ。

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