OSIモデルレイヤーの説明
OSI(Open Systems Interconnection)モデルは、ネットワーク通信を7つの異なる層(レイヤー)に分けて、通信の仕組みを階層的に説明したものです。各レイヤーの役割や使用する機器、具体例、重要用語を詳しく説明します。
1. アプリケーション層 (Application Layer)
- 役割: ユーザーとネットワーク間の直接的なインターフェースを提供し、アプリケーションがネットワークサービスを利用できるようにします。プロトコルにはHTTP、FTP、SMTPなどが含まれます。
- 具体例: ウェブブラウザがサーバーにHTTPリクエストを送り、サーバーがレスポンスを返す。電子メールクライアントがSMTPを使用してメールを送信します。
- 使用する機器: コンピュータ、スマートフォン、サーバー。
- 重要用語: HTTP(HyperText Transfer Protocol)、FTP(File Transfer Protocol)、SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)。
2. プレゼンテーション層 (Presentation Layer)
- 役割: データの形式やエンコーディング、暗号化、圧縮を担当し、異なるデータ形式間の変換を行います。データのセキュリティやデータ構造の変換もこの層で行われます。
- 具体例: SSL/TLSプロトコルを使用してデータを暗号化し、ウェブブラウザとサーバー間の通信を保護します。
- 使用する機器: 暗号化/復号を行うサーバーやデバイス。
- 重要用語: SSL(Secure Sockets Layer)、TLS(Transport Layer Security)、データ暗号化、文字コード変換。
3. セッション層 (Session Layer)
- 役割: 通信セッションの確立、管理、終了を行います。通信の途中でセッションが中断された場合に再開する機能も含まれます。
- 具体例: クライアントとサーバーが通信セッションを確立し、一定時間の非アクティブ後にセッションがタイムアウトする。
- 使用する機器: コンピュータ、サーバー、ネットワーク機器。
- 重要用語: セッション確立、セッション再開、タイムアウト、ソケット通信。
4. トランスポート層 (Transport Layer)
- 役割: データの送受信の信頼性を確保し、エンドツーエンドの通信を管理します。データをセグメントに分割し、誤り検出や再送なども行います。主なプロトコルにはTCPとUDPがあります。
- 具体例: TCPがデータの信頼性を確保し、データが正しい順序で受信されるようにします。UDPはリアルタイムのビデオストリーミングなどで使用されます。
- 使用する機器: ルーター、ファイアウォール。
- 重要用語: TCP(Transmission Control Protocol)、UDP(User Datagram Protocol)、フロー制御、パケット再送。
5. ネットワーク層 (Network Layer)
- 役割: パケットの送信経路を決定し、異なるネットワーク間でデータを転送します。IPアドレスを使って送信元と送信先を特定します。
- 具体例: ルーターがIPパケットを適切な宛先にルーティングします。
- 使用する機器: ルーター、スイッチ。
- 重要用語: IPアドレス(Internet Protocol Address)、ルーティング、ICMP(Internet Control Message Protocol)、IPsec(Internet Protocol Security)。
6. データリンク層 (Data Link Layer)
- 役割: 隣接するネットワークデバイス間でフレームを転送します。物理層のエラー検出や修正を行うこともあります。イーサネットやWi-Fiなどが使用されます。
- 具体例: イーサネットを使用して、データフレームが送信され、MACアドレスを使って宛先のデバイスを特定します。
- 使用する機器: スイッチ、ネットワークカード(NIC)、アクセスポイント。
- 重要用語: MACアドレス(Media Access Control Address)、イーサネット、Wi-Fi、フレーム転送。
7. 物理層 (Physical Layer)
- 役割: 実際のデータの物理的な伝送を行います。電気信号や光信号を介してビット単位でデータを転送します。
- 具体例: 光ファイバーや銅線ケーブルを使って、デジタル信号が物理的に送受信されます。
- 使用する機器: 光ファイバーケーブル、イーサネットケーブル、ハブ、リピーター。
- 重要用語: 光ファイバー、電気信号、ビット転送、物理メディア。