1. 動的スパース化における「重要な単語」の学習とは?
通常の Transformer モデルでは、すべての単語(トークン)が相互作用 します。しかし、動的スパース化では、「意味的に重要な単語」のみを選択し、計算を集中 させます。
例えば、
- ニュース記事の要約 → 主語・動詞・固有名詞が重要
- 金融データの分析 → 数値やトレンドワードが重要
- 会話データの処理 → 文脈を形成する単語が重要
こうした「重要な単語」を学習するために、以下の手法が使われます。
2. 重要な単語を学習するための手法
2.1 トークンの自己重要度学習(Token Importance Scoring)
動的スパース化では、各単語(トークン)の 「重要度」 を モデルが自動学習 します。具体的には、Attention 機構を使って以下のように計算します。
-
トークンごとのスコア計算
- 各トークンに対し、「どれだけ他のトークンと関連しているか?」をスコア化
- スコアが高いほど、その単語は「重要な単語」として選択される
- 一般的には
Softmax
を使って確率的に処理
-
閾値(Thresholding)によるフィルタリング
- 重要度が 一定の閾値 を超えるトークンのみを計算対象にする
- 例: 文章中の上位
K%
の単語のみを Attention に含める
-
バックプロパゲーションによる最適化
- モデルが訓練される中で、「どのトークンが重要か?」を自動で学習する
- これにより、文章ごとに最適なトークン選択が行われるようになる
2.2 学習時のマスク適用(Adaptive Token Masking)
動的スパース化では、「どの単語を計算するか?」を学習するために マスク(Masking) を活用します。
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マスクの種類
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Hard Masking
:重要なトークンのみを 1(計算)にし、他は 0(計算しない) -
Soft Masking
:確率的にトークンを選択し、0~1 の重みを適用する
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マスクの適用方法
- 最初はランダムにマスクを適用
- 学習が進むにつれ、「意味的に重要な単語」が選ばれるように最適化
- バックプロパゲーションで、「どの単語を残すと精度が高まるか?」を学習
こうすることで、最適なスパース Attention パターン を学習し、重要な単語を適切に抽出できるようになります。
3. 動的スパース化の代表的なアプローチ
3.1 Longformer (Sliding Window Attention)
- 手法: トークン間の関係をスライディングウィンドウ(局所的な範囲)で計算
- 学習方法: 「重要な単語は長距離でも関連性が高い」ことを学習し、スコアを動的に調整
3.2 BigBird (Random + Global Attention)
- 手法: 重要な単語をランダム選択 + グローバルな重要単語を維持
- 学習方法: 重要なトークンが選ばれる確率を学習し、適応的に更新
3.3 Dynamic Sparse Attention (DeepSpeed)
- 手法: 重要な単語を動的に決定し、計算量を削減
- 学習方法: 重要度スコアを自動学習し、最も情報を持つ単語を選択
4. 具体的な実装(PyTorch)
以下は、動的スパース Attention を学習するサンプルコード です。
import torch
import torch.nn as nn
class DynamicSparseAttention(nn.Module):
def __init__(self, hidden_dim, top_k=10):
super().__init__()
self.hidden_dim = hidden_dim
self.top_k = top_k # 重要なトークン数
self.attn = nn.MultiheadAttention(embed_dim=hidden_dim, num_heads=8)
def forward(self, x):
# (batch, seq_len, hidden_dim)
seq_len = x.shape[1]
# スコア計算 (簡易版: トークンごとの L2 ノルム)
importance_scores = torch.norm(x, dim=-1) # (batch, seq_len)
# 上位 k 個のトークンを選択
topk_values, topk_indices = torch.topk(importance_scores, self.top_k, dim=1)
# 選択されたトークンのみを計算対象に
x_selected = torch.gather(x, 1, topk_indices.unsqueeze(-1).expand(-1, -1, x.shape[-1]))
# Attention 計算
attn_output, _ = self.attn(x_selected, x_selected, x_selected)
return attn_output
# 実行
x = torch.rand(2, 50, 128) # (batch, seq_len, hidden_dim)
model = DynamicSparseAttention(hidden_dim=128, top_k=10)
output = model(x)
print(output.shape) # (2, 10, 128)
5. まとめ
動的スパース化が「重要な単語」を学習する仕組み
✅ トークンごとに「重要度スコア」を学習(Attention 重みの最適化)
✅ マスクを活用して適応的にスパースパターンを変更(Adaptive Token Masking)
✅ バックプロパゲーションで動的に最適化(トークン選択が学習される)
✅ DeepSpeed, Longformer, BigBird などで活用される(計算コストを削減)
動的スパース化は、大規模言語モデル(LLM)の計算最適化 に不可欠な技術です。
今後も、Sparse Attention の最適化技術が進化し、より効率的な LLM の学習・推論が可能になるでしょう!