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LaTeXの定理・証明環境をつくる

Last updated at Posted at 2021-09-10

数学の論文・レポートを書くときには、「定義」「定理」「証明」を並べて書くスタイルを使います。これをLaTeXで書くときの環境構築についてまとめました。

#サンプルコード
困ったらプリアンブルをまるっとコピーしてくれればokです。

プリアンブル

sample.tex
    \usepackage{amsthm}

    \theoremstyle{definition}
    \newtheorem{dfn}{Definition}[section]
    \newtheorem{prop}[dfn]{Proposition}
    \newtheorem{lem}[dfn]{Lemma}
    \newtheorem{thm}[dfn]{Theorem}
    \newtheorem{cor}[dfn]{Corollary}
    \newtheorem{rem}[dfn]{Remark}
    \newtheorem*{rem*}[dfn]{Remark}
    \newtheorem{fact}[dfn]{Fact}
    \renewcommand{\qedsymbol}{$\blacksquare$}

入力例1

\section{二等辺三角形}
\begin{dfn}
二等辺三角形とは、2つの辺の長さが等しい三角形のことである。
\end{dfn}
\begin{prop}
二等辺三角形の2つの底角の大きさは等しい。
\end{prop}

\section{正三角形}
\begin{dfn}
正三角形とは、すべての辺の長さが等しい三角形のことである。
\end{dfn}
\begin{prop}[正三角形と二等辺三角形]
正三角形は二等辺三角形である。
\end{prop}
\begin{rem*}
逆は成り立たない。すなわち、二等辺三角形がすべて正三角形とは限らない。
\end{rem*}
\begin{thm}
\label{angle_eq}
正三角形において、すべての角の大きさは等しい。
\end{thm}
\begin{proof}
正三角形$ABC$は、$AB=AC$の二等辺三角形だから、2つの底角は等しい。すなわち$\angle ABC = \angle ACB$である。
同様にして、$\angle BCA = \angle BAC, \angle CAB = \angle CBA$が成り立つ。
したがって、$\angle ABC = \angle BCA = \angle CAB$が成り立つ。
\end{proof}
\begin{cor}
正三角形の一つの内角の大きさは\ang{60}である。
\end{cor}
\begin{proof}
Theorem \ref{angle_eq}と、三角形の内角の和が\ang{180}であることから従う。
\end{proof}

出力例
image.png

#定理環境の構築

まず、amsthmパッケージを入れます。

    \usepackage{amsthm}

プリアンブルに\newtheorem命令を打ち込むと、新しく環境が定義できます。

    \newtheorem{env_name}{Caption}

ここでenv_nameは環境名、Captionは表題として表示される名前です2。環境名を同じにしても、Captionを定義、定理、……とするか、Def. Thm. ……とするかで、表示する名前を変えられます。

#環境を使う
実際に使う場合には、

    \begin{env_name}
    本文
    \end{env_name}

とします。

コメントを別に付けたい場合は、

    \begin{env_name}[コメント]
    本文
    \end{env_name}

とすれば、Caption 番号 (コメント) のように出力されます。

定理を参照したい場合には、まず参照したい定理に\labelコマンドでラベルを付けます。

    \begin{env_name}
    \label{hogehoge}
    本文
    \end{env_name}

その後、参照したい部分で\ref{hogehoge}とすれば、定理番号が自動で挿入されます。

#証明環境
proof環境は、\newtheoremで定義することなく使えます。

    \begin{proof}
    証明
    \end{proof}

デフォルトでは、表題として斜体の"Proof."が出力されます。これを日本語に変えたい場合には、

    \renewcommand{\proofname}{\textbf{証明}}

とすればよいです。立体3・太字の"証明."が出力されます。

#通し番号をつける
通常の場合、通し番号は環境ごとに別々につけられます。

    \newtheorem{dfn}{Definition}
    \newtheorem{prop}{Proposition}
    \newtheorem{thm}{Theorem}
    \newtheorem{cor}{Corollary}

image.png

これを通し番号にするには、各\newtheoremコマンドのenv_nameCaptionの間に、連動させたい環境名を[]でくくって入力します。

    \newtheorem{dfn}{Definition}
    \newtheorem{prop}{Proposition}
    \newtheorem{thm}[dfn]{Theorem}
    \newtheorem{cor}[dfn]{Corollary}

image.png
上の例では、DefinitionとTheorem, Corollaryがひとまとめに通し番号を振られており、Propositionは独立に通し番号がつけられています。

章ごと、ないしは節ごとに通し番号を振りたい場合は、\newtheoremコマンドの後ろに[section]ないし[subsection]をつけます。

    \newtheorem{dfn}{Definition}[section]
    \newtheorem{prop}{Proposition}
    \newtheorem{thm}[dfn]{Theorem}
    \newtheorem{cor}[dfn]{Corollary}

image.png
上の例では、Definitionおよびそれと連動するTheorem, Corollaryには、章番号に連動して通し番号がつけられます。Propositionには章とは独立に通し番号がつきます。

通し番号をつけたくない場合のコマンドは、newtheorem*で別に定義します。

    \newtheorem{env_name}{Caption}
    \newtheorem*{env_name*}{Caption}

と入力すれば、env_name環境では通し番号あり、env_name*では通し番号なしの環境を使えます。

#その他のカスタマイズ
amsthmパッケージの定理・証明環境は、多少のカスタマイズが利きます。主要なものを紹介。

##定理環境のスタイル
プリアンブルの\newtheoremコマンドの前にtheoremstyleコマンドを打つことで、定理環境のスタイルを変えられます。

\theoremstyle{plain}: 見出しが太字、本文は斜体
\theoremstyle{definition}: 見出しが太字、本文は立体
\theoremstyle{remark}: 見出しが斜体、本文は立体

日本語と英語を使う場合には、英語のみ斜体になるのは目立つのでdefinitionを使うのがいいでしょう。

##証明終了の記号

proof環境では、証明の最後に白抜きの四角がつくようになっています。これを黒の四角に変えるには、プリアンブルに

    \renewcommand{\qedsymbol}{$\blacksquare$}

を入力します4
 四角の代わりに"Q.E.D."ないしは"終"など、別のものを使いたい場合には、プリアンブルに

    \renewcommand{\qedsymbol}{Q.E.D.}

とか

    \renewcommand{\qedsymbol}{}

とかを入力すれば、正しく出力されます。

#参考文献

  1. コマンド\angle, \angを使うにはsiunitxパッケージが必要です。

  2. ただし、「定義」環境を作りたいときにenv_name = defとはできません。これは、すでにあるLaTeXコマンド\defと衝突するためです。「定義」環境にはdefinitionないしはdfnをおすすめします。

  3. 斜めになっていない通常の文字を、「斜体」に対して「立体」と呼びます。

  4. おれは黒四角のほうがかっこよくて好きだ。

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