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MapLibre GL JS の expression 事例

Last updated at Posted at 2023-12-09

背景

MapLibre GL JS を使って地図描画をしていると、複雑な条件を使って何かを描画したいことにちょくちょく直面。悲しいことに、MapLibre GL JSのドキュメントを見てもイマイチ使い方が分からないことも多々💦
ということで、それぞれ使い方を試しつつ、まとめてみました。

MapLibre GL JS の細かい書き方については記載していないので、ご了承ください。

事例

その前に、単純なケース

通常、GeoJSONのプロパティ値が以下のようなデータであった場合、

データ
{ "properties": { "data": 20 } }

その値に応じて円の色を変えるといったときは、このように記述する。

円を着色
"circle-color": [
  "step",
  ["get", "data"], // properties の data の値を取得
  "#ffffff", 5, // 5 まで白
  "#ffe100", 10, // 10 まで黄色
  "#76ff00", 15, // 15 まで緑
  "#00fffa", 20, // 20 まで水色
  "#7700ff" // 20 以上 紫
],

オブジェクトの値を取得

データが上記のように単純だと話は早いが、そうもいかないケースもある。
以下のように階層構造を持つオブジェクトになっている場合。

データ
{ "properties": { "data": { "2020": 20, "2021": 15, "2022": 10, "2023": 5 } } }

このようなケースでは、以下のように get を繰り返すことで値を取得することができる。

取得方法
"circle-color": [
  "step",
  ["get", "2020", ["get", "data"]], // get を何度も繰り返す
  "#ffffff", 5,
   <>
],

["get", "data"] で まずは { "2020": 20, .... } をオブジェクトとして取得して、そのオブジェクトから、再度 ["get", "2020"] で値を取り出している。
分かれば単純だけど、いきなりこのケースに直面すると、結構思考が停止する(した)。

See the Pen maplibre template by humo (@humo-tech) on CodePen.

配列の値を取得(at)

オブジェクトとくれば、配列。

データ
{ "properties": { "data": [ 20, 15, 10, 5 ] } }

配列の取得に使うのは at
["get", "data"] で まずは [ 20, 15, 10, 5 ] を配列として取得して、その配列からのN番目の値を ["at", 2] といった形で取得する。

取得方法
"circle-color": [
  "step",
  ["at", 2, ["get", "data"]], // at で 配列の値を取得
  "#ffffff", 5,
   <>
],

See the Pen maplibre expressions (object) by humo (@humo-tech) on CodePen.

配列がproperties に直接書かれている場合(properties)

そんなケースないかもしれないけれど「propertiesに配列が直接定義されている場合」って、値取れるんだろうか?と思って実験してみた。

データ
{ "properties": [ 20, 15, 10, 5 ] }

結論としては、以下の方法で取れました(知らなかった)。

取得方法
["get", "2", ["properties"]

properties は「プロパティをオブジェクトで返してくれる」。配列で返ってきてくれれば at で取得するのだけれど、オブジェクトで返ってくるので、get で取得。
何かほかにも方法知ってる方いれば、教えてくださいm__m

文字列の整形 (format)

地図上に文字を表示したい場合に、ちょっと工夫を加えるケース。

通常は、こんな感じで記述

データ
{ "properties": { "name": "東京", "density": 6409.29 } }
通常の方法
{
  "text-field": ["get", "name"]
}
テキストつなげる
{
  "text-field": ["concat", 
    ["get", "name"], 
    "\n", 
    ["get", "density"]
  ]
}

See the Pen maplibre expressions (concat) by humo (@humo-tech) on CodePen.

それでも十分色々表現できるけれど、2つの項目(この場合 name と density)でフォントサイズ変えたり、色変えたりといったこともしたいケースが出てくる。
そんなときに役立つのが format

記述方法
"text-field":[
    "format",
    ["get", "name"], {"text-color": "#000"}, // name は黒で表記
    "\n", // 改行を繋げて
    ["get", "density"], {"text-color": "#f00", "font-scale": 0.8}, // density は 赤文字で少し小さめに

]

See the Pen maplibre expressions (concat) by humo (@humo-tech) on CodePen.

数値の整形 (number-format)

上の例で、3桁カンマが欲しいな、小数第1位まででいいな、と思うケースでは、number-format で整形ができる。

記述方法
[ "number-format", // number-format を使うと、3桁カンマが入る
  [ "get", "density" ],
  { "min-fraction-digits": 1, "max-fraction-digits": 1 } // min/max-fraction-digits で桁数調整
],

なお、{ "min-fraction-digits": 3 } のように指定すると、データが 29.12 だった場合に 29.120 とゼロ埋め表示してくれるみたいです。

See the Pen maplibre expressions (format) by humo (@humo-tech) on CodePen.

代替データ(coalesce)

symbol 機能で、マップ上に画像を表示する際に、あらかじめ用意した画像以外を呼び出してしまったときの fallback として、coalesce の機能が使えます。
なお、発音難しいこの coalesceは(こあれす?)、 与えられた値を順番に評価していって、最初にnullじゃない値が返ってきたものを使用してくれる ものになります。

データ
properties: { "image": 'kitten1' }

coalesce を使わない普通の書き方↓。この場合、存在しない画像は何も表示されない。

記述方法
"icon-image": ["get", "image"]

coalesce を使ってフォールバック画像を表示する書き方↓。こう書くと、存在しない画像を指定してしまった場合にダミーの画像を替わりに表示してくれます。

記述方法
"icon-image": [
  "coalesce", 
  ["image", ["get", "image"]], 
  "dummy"
]

なお、ここで突如出てくる image は、画像があるかどうかを判定して、あれば画像パスを、なければ null を返してくれるものとなっています。このことにより「存在しない画像(null)の替わりにdummy画像を表示する」という動きをしてくれます。

以下の例で石川県あたりにある「ダミー」画像は、そのようにして表示されたものになっています。

See the Pen maplibre expressions (coalesce) by humo (@humo-tech) on CodePen.

ポリゴン内判定(within)

「特定のポリゴン内にあるかどうか」の判定をしてくれるもの。
これを使うと「ポリゴン内にあるもの」と「そうでないもの」でスタイルを分けることができるようになる。

'circle-color': [
  'case',
  ['within', areaPolygon],
  '#f0f',
  '#0ff'
],
areaPolygon の値
{
"type": "FeatureCollection",
"features": [
  {
    "type": "Feature",
    "geometry": {
      "coordinates": [
        [
          [
            139.44336833463933,
            35.989952696688704
          ],
          [
            139.5366426753509,
            35.57883425456254
          ],
          [
            140.02011467470146,
            35.588948481200916
          ],
          [
            140.29838312448936,
            35.90185508166421
          ],
          [
            139.6268078713709,
            36.12442624848467
          ],
          [
            139.44336833463933,
            35.989952696688704
          ]
        ]
      ],
      "type": "Polygon"
    }
  }
]
}

See the Pen maplibre expressions (at (Array)) by humo (@humo-tech) on CodePen.

例はあげないですけれど、地名表記の言語設定に within を用いれば、例えば「北方領土の地名は必ず日本語で表示する」ということも、できたりします(日本語表記の定義があることは前提)。

変数(let/var)

properties から計算で求めた値を、何度も使いまわしたいときに、let/var を使うことができます。
MapLibre公式サイトからの抜粋になりますが、こんな感じです。

let/var 実装例
'fill-color': [
  // 人口(population)と面積(sq-km)から 人口密度(density)を計算
  'let',
  'density',
  ['/', ['get', 'population'], ['get', 'sq-km']],
  [
    'interpolate', ['linear'], ['zoom'], 
    // zoomレベル8まで
    8,
    [
      'interpolate',
      ['linear'],
      ['var', 'density'], // 人口密度の値で色を変える
      274,
      ['to-color', '#edf8e9'],
      1551,
      ['to-color', '#006d2c']
    ],
    // zoomレベル10まで
    10,
    [
      'interpolate',
      ['linear'],
      ['var', 'density'], // 人口密度の値で色を変える
      274,
      ['to-color', '#eff3ff'],
      1551,
      ['to-color', '#08519c']
    ]
  ]
],

距離(distance)

MapLibre GL JS では、未サポートだった、、、。
(MapBox GL JS ver3 ではサポートされた)
距離に応じた着色とかができるんだと期待しています。

まとめ

MapLibre GL JS の Expressionを色々試してみました。
知らなかった機能もチラホラ。
何かのお役に立てば幸いです。

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