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動かないものを動かす技術

Last updated at Posted at 2023-12-11

この記事は SUPER STUDIO Advent Calendar 2023 の11日目の記事になります。

概要

ここのところ会社やチームなどで、しばらく動いてないなーというタスクや課題やチケットなどを動かすということを考える機会が多くあったので、そのことについて言語化しておこうと思って、この記事を書きました。
ここに書かれたことは、至極当たり前のことが多いので、読む人によっては得るものが何もないこともあると思いますが、伝わる人に伝わればと思い、残します。

書くこと

二つの観点を書きます。

  • やらない課題を消すという話
  • 動かない課題を動かすという話

やらない課題を消すという話

やる予定のない課題は消すのが基本

課題表やチケットなどで管理されていることが多いと思いますので、その前提で書きます。

やるつもりのない課題は全体を振り返るときに目に入らない方がいいです。
やらない課題を消した方がいいと考えるのは以下の観点です。

  • 課題の全体を眺めたときに、課題の数が多すぎるとすべてをやっつけようという気持ちが薄れます。
    • それを扱うチームの規模や状況によりますが、単純にチケットが10個なら全部対応できる気がするけれど100個では対応できる気がしません。全部内容を覚えておくのもつらくなります。
  • 振り返りの時、これは特に進捗がないです、と毎回振り返る時間が無駄です。
    • 課題内容がうろ覚えの場合、毎回これなんでしたっけと思いだしたりして、また時間を浪費しがちです。
  • 進捗率の見積もりの邪魔になります。
    • チケットが10個あったときに塩漬けのチケットが2つあったら、「全体で見たときには、今5/10終わっていますが、うち2つは実質進捗に影響はないので5/8で…」みたいな無駄な計算をして進捗を報告していることがあります。

そのため、基本的にやらない課題は消すことを考えた方がいいと思います。
もし覚書しておきたいのであれば、塩漬けにしているというステータスを作っておいて、振り返りの時にはフィルタリングして見えないようにしておいた方がいいでしょう。
スプリントで毎回持ち越している課題などについても同じことが言えるかもしれません。やらない可能性の高いものは、一旦スプリントからは抜いたほうが生産性は高いかと思います。

課題を消すための判断

内容による判断

まずは、チケットの内容によって、その課題が必要か必要でないかを判断します。

その課題がなぜ課題に上がったか、ということを確認するのは大事です。
そこに追加されたのには何かしらの理由があります。
課題の起案者がいればその人に聞けばよいですが、すでに起案者がいない場合も多々あります。
その場合は、現在のメンバーによって解釈するわけですが、そもそも誰も内容が思い出せないものは消しましょう。必要になったら、また追加すればいいからです。

内容以外の側面の確認

課題でやりたいことがある程度わかったら、次にその課題がどのくらい大事であるかを考えます。

必要度、重要度

その課題がどの程度やらなければいけないか、です。

  1. やらなければいけない
  2. やった方がいいが、やらなくてもなんとかなる
  3. 重要ではない、やらなくてもいい
緊急度

そのタスクをどのくらいすぐにやらないといけないか、です。

  1. すぐにやった方がいい
  2. いずれやった方がいい
  3. いつかやりたいが、急いでない
やる気

今のチームメンバーの中で、その課題に対してどのくらいやる気が出るか、です。

  1. みんなやりたい、やる気がある
  2. やりたい人がいる
  3. 誰もやる気がない

考えること

そもそも、重要でなくて急いでなくて、誰もやる気がないようなものはいつまでたっても実行されません。消しましょう。

これで、どの課題も少しはやる可能性の残っているものだけになったわけですが、基本的には残ったものの中で優先順位をつけて実行していくことになると思います。
すぐに取り掛かれるものの量には限度があるので、おそらく(1)次のふりかえりまでに進んでいてほしいもの(2)課題自体が終わったら次に着手するもの(3)直近で着手する見込みがないが残してあるもの、くらいに分かれることになります。

ここで発生する、着手する見込みがないが残してあるもの、という中に長い間動かないものが生まれます。
先ほどの話で、着手する見込みがないものはできるだけ減らしたいわけですが、これをどのくらい残すかは課題の総量をみて決めることになると思います。具体的には、例えば課題表に100個課題が残っているとして、それでふりかえりの運用が回りそうか、イメージができるかどうかです。チームの規模や個々の課題のボリュームなどでも異なります。
大事なのは、残っている課題が全部完了できると感じられる程度の量まで減らすことだと思います。メンバーの共通意識の中で、できなくて当然という意識が出始めると、個々の課題を完了させるというモチベーションが低くなります。まだ終わっていません、と言いやすくなりますので。

思ったより消せない場合

思ったより課題が消せない場合があると思います。
その状況は、おそらく優先順位付けがうまくできていない状態と思われます。

一つの切り口として、もう少し大雑把なくくりで課題をカテゴリ分けし、そのカテゴリごと課題を落とすのがよいと思います。
例えば、100個の課題を20~30個ずつぐらいの4つのカテゴリに分けられたとします。その場合、カテゴリ単位で優先度を考え、他の3つのカテゴリより優先度が低そうな1つをカテゴリごと落としてしまいましょう。これで20~30個の課題が消せます。
個々の課題単位で見るとそれなりに優先的にやりたい課題はあると思うのですが、思ったより課題が多いと感じられるような状況ではいずれにせよすべては達成できないので、直近の課題としては落としてしまっても構わないと思います。他の優先したカテゴリの進捗がよく余裕が出たら、また復活させればよいのです。
最終的にどれを落とすかは、管理者の責任で決めましょう。これこそが管理者の仕事です。

動かない課題を動かすという話

課題表には残っているものの、長期にわたり進んでいない課題というものはどのチームにもありがちです。
これをどう動かしていこうかということを考えます。

ブロック要因を考える

課題から消していないわけなので、何かしら課題としているわけですが、進んではいないので、進まない理由があります。
そのブロック要因を確認して、進める必要があります。

ありがちなブロック要因

チームの誰も進められない状態の課題について考えます。

  • どこから手を付けていいかわからない

課題が大きすぎることが多いです。
複数の課題をまとめて一つの課題にしてしまっていたり、複数の課題をまとめて解決してしまおうとしてしまったりしています。
まとめて解決する方法が思いついているのならそれでも良いのですが、そうでなければ小分けにしてからそれぞれの解決策を模索しましょう。
おそらく、もっと小さい課題に分割できるはずです。

  • どう進めていいかわからない

問題に対する解決策のイメージが抽象的すぎて進め方がわからないパターンです。

何に困っているのかの分析が足りないことが多いです。
何を解消したいのかもう少し具体的になると、解決策がイメージできたり、もっと課題を細かく分割できたり、何かしらの道筋を見つけられたりします。
問題の範囲を狭めることで、少しだけ前に進めることもあるでしょう。とにかく少しずつ前に進むことで先が見えてくるかもしれないので、タスクをとにかく小さくして進めた実績を作るのも必要かもしれません。

  • 誰に聞いていいかわからない

何かしら今の状態を改善を試みたいのだけれど、何かしら過去の経緯があったり(ありそうだったり)、既存システムにどの程度影響があるか分からなかったり、そういった理由で、実際に手を付けても良いものか判断できないようなケースです。

とりあえず、相手が分からなかったら、関係ありそうな担当者に聞いて回るしかありません。まだそれほど無差別ヒアリングができていない場合は、実行しましょう。
特に確認の相手がチーム外の部門だった場合は、その確認にきちんと回答する義務が無いので放置されることはありがちです。こういう場合は上司(チームリーダー、部門長)を使いましょう。上司はそういうことをするための人です。

ヒアリングに力を尽くし、結局あまり有用な情報が得られなかった場合、もうやってしまうのも一つの手です。
やってしまって良いかどうかは責任者が決め、結果怒られたら謝りましょう。
課題を解決していくには失敗もつきものです。

  • 優先度が上がらない

他の課題があって、その課題の対応中に優先度の高い課題の差し込みがあって、という状況のチームにありがちな現象です。

優先度が高くないが、進めたい課題がある場合は、優先度が高い課題と並行してそれを進めるしかありません。
あくまで今の優先課題はこれだが、少し手が空いたり、集中しすぎて少し飽きたりしたときに、ついでに手を付ける感じで少しずつ進めるということになります。

やりたい人のやる気に頼ることになるので、そもそもやりたい人がいない場合は解決は期待できません。
やりたい人がいるうちは、過度な期待をせず進捗を見守りましょう。やりたい人がいなくなったら、もうその課題は一旦消してしまっても良いかもしれません。

それでも進め方が本当に思いつかない場合

こうなってくると、その課題を解決するには、チームの実力不足です。
チームを超えて他の部門やもっと上位の経営層に助言を求めましょう。
それでもだめな場合は、素直に課題の達成を諦めましょう。
どのみちしばらく動いていなかった課題ですし、課題と共生するしかありません。

自分が担当者として進めたいが進みが悪い場合

動かしたい課題があり、それを自分が進めていきたいがなかなか進まない、ということがあるでしょう。
一人で解決するような課題は、自分次第でどうとでもなりますが、複数人が絡む問題だったり、チームの運用方針を変えるような話だったり、人を巻き込まなければいけない場合は、歩みが止まりがちになります。

二人目が見つかるまでは自分が頑張る

動いていない課題は、担当者以外それほど興味が強くありません。
興味のない人はよほど余裕がない限りは動かないので、その課題への対応はひたすら自分が頑張ることになります。
対応を進めていくうちに、興味を持ってくれたり、少しくらいタスクを分担してくれたりする人が現れることがあります。
その二人目の存在を大事にして、ゆっくりでも進捗を積み重ねられるように頑張りましょう。

MTGの使い方

進めたいスピードに合わせて、関係者を集めるMTGを定期的に設定してしまいます。
そのMTGで進捗状況を確認して、進んでいる感じを出しましょう。

二人目が見つかるまでは、多くの場合このMTGは一人目の自分がひたすら喋る会になります。
それでも諦めないで喋り続けると、賛同者が現れることがあります。それを期待しましょう。

参加者に意見を聞いて、必要であれば次回MTGまでのタスクを振ってお願いしましょう。
まだそれほど興味の湧いていない参加者は、次回のMTGまでにタスクをやってきてくれないこともあると思いますが、それはそれで協力してもらえるまで待ちましょう。

大事なのは一人目の自分が進捗を出し続けることです。
特に、MTGで2回連続で進捗がないです、と言う状態になるのだけは避けましょう。
進捗がないです、が続くと、他の人も進捗がないです、を言いやすくなり、全体的に進みが悪くなります。

データは泥臭く集める

必要なデータを集めたいが、それがあまり綺麗にまとまっていないことがあります。
その際、データを整形するツールを作りたくなることがありますが、まだ見るポイントが明確でないデータを最初からツールでどうにかしようとするのはやめましょう。

状況にもよりますが、1000件くらいのデータなら頑張れば手作業で分類できます。手作業で分類した結果、あまりいいポイントを得られない場合もあります。それは意味のないパターンを見つけたと思って、別の切り口を探しましょう。
集計した結果、このデータを継続的に見たいね、とある程度目星がついたところでツールの作成に着手しましょう。
これを最初からツールでやろうとすると、無駄なツールをたくさん作ることになりますし、ツール作成の過程でつまずくと、今何をしたいのかがだんだんわからなくなってきます。

相手のことをきちんと考える

自分がやりたいことをするために、面倒なことをお願いしなければいけないシチュエーションが発生することがあります。
いかに自分にとって大事な課題を達成するためとはいえ、相手の時間を使い、場合によっては相手の元々持っているタスクに割り込むような形になるので、お願いの仕方には最大限の配慮をしましょう。
良好な関係でしか頼めないことはたくさんあります。

傾向が見えたとき賛同者は現れる

進まない課題は、大抵終わりが見えていない事が多いです。
最初の試行錯誤の段階で興味の無い人も、何かしら課題の達成への道筋が見え始めたり、自分が意識していなかった切り口が提供されたりすると、興味を持ってくれたり、活動自体に賛同してくれる様になることがあります。
課題を解決するのに、味方は多いほうが良いです。

最後に

まとまりがあまりよろしくないですが、一旦今考えていることを書き下しました。
すべての進まない課題に立ち向かう同士に、幸あれ。

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