ミリ秒の情報をそのまま保存できない

RLMObjectのNSDate型プロパティは、そのまま保存すると、ミリ秒の情報をカットします。(執筆点のRealmの最新版は、Objective-C/Swiftいずれも0.98.0です。)マルチプラットフォームの互換性のためだそうです。

問題が起きるのは、例えば、1秒未満のうちに10連続でRLMObjectを生成したようなときです。NSDate型プロパティをキーにしてソートしても、順番が意図どおりにならない場合が生じます。10件全て同じ日時になるからです。

ミリ秒を保存するには?

ミリ秒の情報を保存するには、どうしたらよいか。

工夫としては、NSDateの値をDouble(NSTimeIntervalはDouble型の別名)やStringに変換して保存する方法 があります。(Realmの岸川さん、トルクスの山田さん、教えていただまきして、ありがとうございました。)

変換を意識しないで利用するには?

Double <-> NSDateの変換を意識せず利用するために、工夫できないか考えました。

次のような構造を作ってみました。NSDate型のコンピューテッドプロパティを用意して、それを通じて保存用のDoubleのプロパティにアクセスするというものです。

例えば、PersonオブジェクトでNSDate型のcreatedAtプロパティを使いたい場合は、以下のようになります。(Realm 0.98.0, Swift2.2)

Person.swift

class Person: RLMObject {
    //生成日時のプロパティ
    dynamic var createdAtDouble: Double = 0.0 //保存用。ミリ秒まで保存するため。
    dynamic var createdAt:NSDate { //コンピューテッドプロパティ 
        get {
            return NSDate(timeIntervalSinceReferenceDate: createdAtDouble)
        }
        set(date) {
            createdAtDouble = date.timeIntervalSinceReferenceDate
        }
    }
    
    //保存しないプロパティ
    override static func ignoredProperties() -> [String] {
        return ["createdAt"]
    }
    
    override init() {
        super.init()
        
        //デフォルト値をセット
        createdAt = NSDate()
    }
}

Personを保存すると、createdAtDoubleの値がRealm上に保存されているので、ミリ秒の情報を保持できます。一方、利用上は、Person.createdAtにアクセスするだけでNSDateとして扱えるので、扱いがラクになりました。

ソートキーはDouble型のプロパティ名

ソートキーは"createdAtDouble"とする必要があります。ignoredProperties()による除外が効いているので、"createdAt"でsortedResultsUsingProperty( )しようとすると、こうなります。

Terminating app due to uncaught exception 'Invalid sort property', reason: 'Cannot sort on property 'createdAt' on object of type 'Person': property not found.'

この点についても、なるべく意識せずに実装できるようにしたいです。

"createdAt"でソートしようとしたときに、代わりに"createdAtDouble"を使うように置き換える処理を入れました。例えば、次のような流れになります。

Person.swift

static func fetch(sortKey: String = "createdAtDouble") -> RLMResults {
　// 1. sortKeyが"createdAt"の場合、"createdAtDouble"とみなす。
  var workingKey = sortKey
  if sortKey == "createdAt" { workingKey = "createdAtDouble" }

 // 2. sortedResultsUsingProperty()の処理
   return Person.allObjects().sortedResultsUsingProperty(workingKey, ascending: true)
}

表面上は"createdAt"というキーでソートしているかのように実装できるようになりました。

参照

Realm Swift 対応しているデータ型
https://realm.io/jp/docs/swift/latest/#section-5

追記

Realm 0.101.0の仕様変更により、ミリ秒までNSDate型で保存できるようになりました。