この記事では、AppiumとFlutterを使ったE2Eテスト自動化の概要について説明します。
E2Eテストとは
E2E(End-to-End)テストは、アプリケーション全体の機能を統合し、実際のユーザーの操作を模擬してテストを行う手法です。このテストは、アプリの重要な部分で不具合を発見するための最終的な防衛策となります。たとえば、ユーザーがログインして商品を購入するまでの一連の操作が正常に機能するかを確認します。自動化ツールを使用することで、人間のテスターよりも低コストで迅速かつ正確にテストを実行でき、いつでも繰り返し実行可能です。
FlutterDriverの概要
FlutterDriverは、Flutterアプリ専用のテストフレームワークで、アプリのウィジェットツリーを直接操作することができます。以下のような操作を自動化できます。
- UIエレメントの操作
- テキスト入力のシミュレーション
- ボタンクリックの自動化
これにより、FlutterアプリのUIテストを実現し、UIの動作が意図した通りであることを確認できます。
Semantics
FlutterDriverを効果的に利用するためには、Semanticsの設定が重要です。Semanticsは、UI要素に意味を持たせることで、テストフレームワークが要素を正確に識別し操作できるようにします。以下のコード例のように、ボタンやテキストフィールドにラベルを付けることで、テストスクリプトが特定のUI要素を簡単に見つけ、操作することができます。
Semantics(
label: 'Increment',
child: ElevatedButton(
onPressed: _incrementCounter,
child: Text('Increment'),
),
)
この設定により、テストスクリプトがUI要素を簡単に特定し、操作することができます。XCUITestでのアクセシビリティラベル設定と同様の考え方です。
テストスクリプトの作成例
FlutterDriverを使用したE2Eテストの基本的な流れは以下の通りです。
-
flutter_driver
パッケージをプロジェクトに追加 - テストファイルを作成(例:
test_driver/app_test.dart
) - テストスクリプトを記述
以下は、カウンターアプリのテスト例です:
import 'package:flutter_driver/flutter_driver.dart';
import 'package:test/test.dart';
void main() {
group('Counter App', () {
FlutterDriver driver;
setUpAll(() async {
driver = await FlutterDriver.connect();
});
tearDownAll(() async {
if (driver != null) {
await driver.close();
}
});
test('increments the counter', () async {
final counterTextFinder = find.byValueKey('counter');
final buttonFinder = find.byValueKey('increment');
await driver.tap(buttonFinder);
expect(await driver.getText(counterTextFinder), "1");
});
});
}
このスクリプトでは、インクリメントボタンをタップし、カウンターの値が正しく増加するかをテストしています。
Appiumを使ったFlutterアプリのテスト
Appiumは、iOS、Android、Flutter、モバイルWebアプリを対象にした強力な自動テストツールです。Appiumを使用すると、FlutterコンポーネントとWebViewの両方を同じテストフレームワークで自動化できるため、WebViewを含むFlutterアプリのテストでも一貫性を保つことができます。これにより、クロスプラットフォームのテストが効率的になり、テストスクリプトの再利用性が高まり、保守コストも削減されます。
Appiumを使わずにFlutterアプリを自動化する場合、FlutterDriverを使用しますが、WebViewなどの非Flutterコンポーネントを直接操作するのは難しいです。別のツールや手動テストが必要となり、テストの一貫性が欠けるリスクがあります。
Appiumの例
実装例はこちらの記事が詳しいです。
MagicPod
MagicPodは、使いやすい操作画面とプログラミング不要でテストを作成できる機能が特徴のE2Eテストサービスです。特に日本の市場向けに調整されており、初心者でも簡単に使えるとされています。内部的にはAppiumというツールが使われているようです。QAEがプログラミングをせずにテストシナリオを作成できるため、ソフトウェアエンジニアの工数を使わずにテスト整備できるのが魅力です。
テスト実行のタイミング
E2Eテストの自動実行は、PR作成時などのCI実行のタイミングで行うのが理想的です。また、倹約的に実行タイミングを減らすなら、夜間やチームが作業していない時間帯に絞ってテストを実行することも考えられます。これにより、コード変更があるたびにテストが自動で実行され、不具合を早期に検出できます。少なくともリリース前にはテストを実行し、リリース後の安定性を確保しましょう。
まとめ
AppiumとFlutterを組み合わせたE2Eテスト自動化は、特にWebViewを含む複雑なアプリケーションで効果的です。クロスプラットフォーム対応のテストを一貫して実施できるため、開発効率が向上し、品質の高いアプリを迅速にリリースできます。E2Eテストの自動化により、バグの早期発見が可能となり、結果的にユーザー満足度の向上につながります。