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runAsyncとUIスレッドの役割

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Flutterでの非同期処理

Flutterアプリの開発において、非同期処理をどのように扱うかは、アプリのパフォーマンスとユーザー体験を大きく左右する要素です。特に、重い処理をUIスレッドで実行してしまうと、画面の描画が遅れたり、アニメーションがカクつくといった問題が発生する可能性があります。

この記事では、FlutterのrunAsyncメソッドとUIスレッドの役割について説明します。

FlutterのUIスレッドとは?

FlutterのUIスレッドとは、アプリのユーザーインターフェース(UI)の描画やユーザーインタラクションの処理を担当する主要なスレッドのことを指します。一般的に「メインスレッド」とも呼ばれるこのスレッドは、アプリの見た目や操作性に直接影響を与える重要な役割を担っています。

UIスレッドの主な役割には、以下の3つがあります。

  1. 描画処理: UIウィジェットのレンダリングやアニメーションの更新を行います。これにより、ユーザーに見える部分が常に最新の状態で表示されます。

  2. ユーザーインタラクションの処理: タップやスワイプといったユーザー操作は、UIスレッドでキャッチされ、適切なハンドラーに渡されて処理されます。

  3. アプリのロジック実行: アプリのビジネスロジックや状態管理も、通常はこのスレッドで実行されます。

UIスレッドが重い処理でブロックされると、アプリのレスポンスが悪くなり、ユーザー体験が損なわれる可能性があります。これを防ぐために、FlutterではrunAsyncなどのメソッドを使って重い処理をバックグラウンドで行うことが推奨されます。

ちなみに、iOSにおいても、メインスレッド(UIスレッド)がアプリの描画やユーザー操作を処理する重要な役割を担っています。重い処理はDispatchQueue.global().asyncを使ってバックグラウンドで実行し、UIスレッドがブロックされないようにすることがありますが、FlutterのUIスレッドはそれと同じようなものと捉えることができます。

runAsyncとは?

runAsyncは、Flutterで非同期処理をUIスレッドとは別のバックグラウンドスレッドで実行するためのメソッドです。これにより、重い計算やI/O操作をバックグラウンドで処理しながら、UIスレッドのパフォーマンスを維持することができます。

例えば、以下のようにrunAsyncを使って重い処理を実行し、その結果をUIに反映させることができます。

await runAsync(() {
  // 重い計算や処理をここに記述
  return heavyCalculation();
}).then((result) {
  // 結果を受け取ってUIを更新
  setState(() {
    _result = result;
  });
});

このコードでは、heavyCalculationという重い計算を別スレッドで実行し、その結果をUIスレッドに戻して表示しています。これにより、UIスレッドをブロックせずに重い処理を行うことができ、アプリのスムーズな動作が保証されます。

なお、runAsyncは、iOSでいうところのDispatchQueue.global().asyncDispatchQueue.background.asyncに相当します。

上記のコードを書き換えれば、以下のようになるでしょうか。

DispatchQueue.global().async {
    // 重い計算や処理をここに記述
    let result = heavyCalculation()

    DispatchQueue.main.async {
        // メインスレッドでUIを更新
        self.updateUI(result: result)
    }
}

FlutterのrunAsyncとiOSDispatchQueue.global().asyncはどちらも、バックグラウンドで処理を実行し、UIスレッドをブロックしないようにするために設計されています。これにより、複雑な計算や時間のかかるI/O操作を安全かつ効率的に処理しながら、ユーザーにスムーズなインターフェースを提供することができます。

Widgetテストでの使用例

ところで、pumpAndSettleを使ったウィジェットテストで、非同期処理が完了するのを待ってからUIの状態を確認するのに使う場合があります。これにより、テスト中にUIが完全に安定するまで待機し、確実なテスト結果が得られるようになります。runAsyncとpumpAndSettleを組み合わせることで、複雑なUIの非同期動作を正確にテストできます。

testWidgets('非同期処理を待ってからUIをテスト', (WidgetTester tester) async {
  // ウィジェットをビルド
  await tester.pumpWidget(MyApp());

  // 非同期処理をバックグラウンドで実行
  await runAsync(() async {
    await Future.delayed(Duration(seconds: 2)); // 擬似的な重い処理
  });

  // 非同期処理が完了し、UIが安定するまで待機
  await tester.pumpAndSettle();

  // UIが期待通りに更新されているかをテスト
  expect(find.text('処理完了'), findsOneWidget);
});

runAsync使用時の注意点

runAsyncを使用する際には、いくつかの注意点があります。

  • UIの更新: 非同期処理が完了した後、UIを更新する必要がある場合は、必ずsetStateなどのUIスレッドで動作するメソッドを使用してください。これを怠ると、エラーが発生したり、意図しない表示が行われる可能性があります。iOS開発でいうと、DispatchQueue.global().asyncなどのサブスレッド処理をした後で、DispatchQueue.main.asyncを使ってメインスレッドでUIを更新する実装に対応します。

  • パフォーマンス: runAsyncはバックグラウンドスレッドで処理を実行するため、パフォーマンス上の利点がありますが、過度に多用すると逆にパフォーマンスを低下させる可能性があります。バックグラウンド処理が増えると、メモリ消費やスレッド管理に負荷がかかるため、必要な場合にだけ使用するのが賢明です。

まとめ

FlutterのUIスレッドは、アプリのユーザーインターフェースのスムーズな描画やユーザーインタラクションの迅速な処理を実現するために不可欠です。UIスレッドの負荷を最小限に抑え、バックグラウンドで重い処理を効率的に行うために、runAsyncを効果的に利用していきましょう!

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