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ZOZOテクノロジーズその3Advent Calendar 2018

Day 13

Pandasでネストした多対多データのjsonファイルを扱う

Last updated at Posted at 2018-12-13

ネストした多対多データのjsonファイルを扱う中で、行の対象を変えることがあります。
Pandasを用いてそれを行う方法を紹介します。

多対多のデータの例として、ファッションアイテムとコーディネートのデータを取り上げます。
WEARのようなコーディネート投稿サイトでは、1つのコーディネートに対し複数のアイテムが使われ、逆に、1つのアイテムが複数のコーデに使われることがあります。
なので、コーディネートとアイテムは多対多の関係にあります。

このようなデータにおいて、行の対象をコーディネートからアイテム、アイテムからコーディネートにする方法を紹介します。

具体的には、以下のような2つの形のDataFrameを行ったり来たりする変形を行います。

以下、行がコーディネートのDataFrame

スクリーンショット 2018-12-10 14.34.19.png

以下、行がアイテムのDataFrame

スクリーンショット 2018-12-10 15.13.05.png

先にコードだけ載せます。

コーデ→アイテム

import pandas as pd
from pandas import json_normalize

df_items = json_normalize(df.to_dict("records"),
               "items", "set_id")
               
df_items.sort_values("item_id")

アイテム→コーデ

df_items.groupby("set_id")\
    [df_items.columns.difference(df.columns)]\
    .apply(lambda df_group: df_group.to_dict("records")) \
    .rename("items")\
    .reset_index()

データの確認

jupyter notebook で実行していきます。
sample.json にデータがあるとし、読み込みます。
初めは、行がコーディネートの形だとします。

import pandas as pd

json_file = "./sample.json"
df = pd.read_json(json_file)

df
スクリーンショット 2018-12-10 14.34.19.png

items カラムの各行には、そのコーデで使っているアイテムのリストが入っています。
アイテムは辞書で表現されているので、辞書のリストが各行に入っています。

具体的に、 items カラムの1行目を見てみます。
このコーデは5つのアイテムを使っていることがわかります。

df["items"].iloc[1]
\[{'index': 1,
  'name': '黒のテーラードジャケット',
  'price': 2735.0,
  'likes': 1864,
  'image': 'http://example.com/06.jpg',
  'categoryid': 3},
 {'index': 2,
  'name': '赤のセーター',
  'price': 8.69,
  'likes': 416,
  'image': 'http://example.com/07.jpg',
  'categoryid': 62},
 {'index': 3,
  'name': '白シャツ',
  'price': 1794.0,
  'likes': 156,
  'image': 'http://example.com/03.jpg',
  'categoryid': 35},
 {'index': 4,
  'name': '黒スキニー',
  'price': -1,
  'likes': 21,
  'image': 'http://example.com/08.jpg',
  'categoryid': 4240},
 {'index': 5,
  'name': '○ld sk○○l',
  'price': 28.0,
  'likes': 417,
  'image': 'http://example.com/08.jpg',
  'categoryid': 3336}\]

行をコーディネートからアイテムにする

上記のような 辞書のリスト のカラムに対し、リストの各要素であるアイテム(辞書)を行とするDataFrameを作るには pandas.io.json.json_normalize を用います。

from pandas.io.json import json_normalize

df_items = json_normalize(df.to_dict("records"),
               "items", "set_id")
               
df_items.sort_values("item_id")

上記のコードを実行すると、以下のように行がアイテムのDataFrameを得られます。

スクリーンショット 2018-12-10 15.13.05.png

上記のコードの詳細を追っていきます。

.to_dict("records")

json_normalize(df.to_dict("records"),
               "items", "set_id")

df.to_dict("records") はDataFrameを辞書(のリスト)にするのですが、方法がいくつかあり、orient という引数で指定します。
orient="records" では以下のように、各行を辞書としたリストが作成されます。各辞書のキーは「カラム名」、バリューは「その行、列での値」になります。

[
    {
        "items": [
            {
                "item_id": 10,
                "name": "モッズコート",
                "price": 135.0,
                "likes": 7,
                "image": "http://example.com/10.jpg",
                "categoryid": 4
            },
            {
                "item_id": 11,
                "name": "黒のタートルネック",
                "price": 845.0,
                "likes": 1996,
                "image": "http://example.com/11.jpg",
                "categoryid": 46
            },
            {
                "item_id": 8,
                "name": "黒スキニー",
                "price": -1,
                "likes": 21,
                "image": "http://example.com/08.jpg",
                "categoryid": 4240
            },
            {
                "item_id": 12,
                "name": "Dr.マーチソ(8ホール)",
                "price": 62.0,
                "likes": 1,
                "image": "http://example.com/12.jpg",
                "categoryid": 106
            }
        ],
        "likes": 408,
        "name": "寒い冬も怖くない、ドラゲナイコーデ",
        "set_id": 202407512,
        "views": 2554
    },
    ...
]

json.json_normalize

json_normalize(df.to_dict("records"),
               "items", "set_id")
  • data=df.to_dict("records"):変形したいDataFrameを辞書のリストにしたもの
  • record_path="items":要素を展開したい 辞書のリスト のカラム名
  • meta="set_id":展開後も残しておきたい元のDataFrameのカラム名

アイテムの辞書に set_id は含まれていません。
もし、 meta 引数がなければ、変形後に set_id は持ち越されません。

また、 持ち越したいカラムが複数あれば、meta 引数をカラム名の リストで指定する こともできます。

上記以外にも引数があり、より複雑な整形ができます。
詳しくは公式ドキュメントで確認できます。

行をアイテムからコーディネートに戻す

今度は逆に、行をアイテムからコーディネートに戻します。

df_new = df_items.groupby("set_id")\
    [df_items.columns.difference(df.columns)]\
    .apply(lambda df_group: df_group.to_dict("records")) \
    .rename("items")\
    .reset_index()

df_new

上記のコードを実行すると、以下のように行がコーディネートのDataFrameに戻すことができます。
ただし、 df_items 作成時に落としたカラムは戻せません。

スクリーンショット 2018-12-10 15.25.33.png

上記のコードの詳細を追っていきます。

.groupby("set_id")

df_items.groupby("set_id")\
    [df_items.columns.difference(df.columns)]\
    .apply(lambda df_group: df_group.to_dict("records")) \
    .rename("items")\
    .reset_index()

groupby を行うと、引数で指定したカラムが同じ値を持つ行どうしをグループとしてまとめます。
結果として、 DataFrameを要素に持つSeriesのようなもの ができます。
各要素のDataFrameはグループを表し、指定したカラムは同じ値で統一されています。

今回は、コーデのidである set_id が同じアイテムのグループが作られます。

[df_items.columns.difference(df.columns)]

df_items.groupby("set_id")\
    [df_items.columns.difference(df.columns)]\
    .apply(lambda df_group: df_group.to_dict("records")) \
    .rename("items")\
    .reset_index()

この記述では、変形後のアイテムの辞書に set_id が入り込まないようにしています。

groupby の後も、DataFrameと同様に [[カラム名]] で使いたいカラムに絞ることができます。

DataFrame.columns には difference という演算が備わっており、 df1.columns.difference(df2.columns) とすることで、 df1 のうち df2 に含まれないカラム名を指定することができます。

今、 df_items のうち、 df と共有しているカラムは含めたくないので、 df_items.columns.difference.(df.columns) としています。
こうすることで、 json_normalizemeta を複数指定した場合にも対応できます。

.apply(lambda df_group: df_group.to_dict("records"))

df_items.groupby("set_id")\
    [df_items.columns.difference(df.columns)]\
    .apply(lambda df_group: df_group.to_dict("records")) \
    .rename("items")\
    .reset_index()

Series や DataFrame 同様、 groupby の結果にも apply を施すことができます。
apply で指定した関数の引数は、 各グループを表すDataFrameになります。

今回の例だと、同じコーデでまとめたアイテムを行とするDataFrameです。
これを最初の形と同じく辞書にして、ほぼ完成です。

ただ、このままだと、コーデのid set_id を index に持つSeriesができるだけです。
元の形にするには、DataFrameにします。

.rename("items").reset_index()

df_items.groupby("set_id")\
    [df_items.columns.difference(df.columns)]\
    .apply(lambda df_group: df_group.to_dict("records")) \
    .rename("items")\
    .reset_index()

reset_index は index を振り直す以外に、Series を DataFrameにする ことにも使えます。
元の値とindexをカラムに持つDataFrameができます。
また、単純に振り直す場合は、 reset_index(drop=True) を使います。

ただ、これだけだと、できあがったDataFrameのカラムが [["set_id", 0]] となってしまいます。
なので、DataFrameにする前にSeriesの名前を rename"items" にしておくことで、 [["set_id", "items"]] とすることができます。

まとめ

Pandasを用いて、ネストした多対多データのjsonファイルを読み込んだDataFrameの行の対象を変える方法を紹介しました。

例としてファッションのデータを使い、行をコーディネート→アイテム→コーディネートと変形するコードを記載しました。

コーディネート→アイテムの場合は json_normalize 、 アイテム→コーディネートの場合は groupbyapply(lambda df:df.to_dict("records")) がキーポイントでした。

それでは皆さん、良いお年を!

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