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Siemens Industrial EdgeのPerformance Insightによる可視化とNotifierによる異常通知

Last updated at Posted at 2023-04-03

はじめに

以前、記事にしました二酸化炭素濃度モニタリングリモートデモシステムのデータを産業向けエッジコンピューティング"Industrial Edge"のアプリケーションOperation InsightとNotifierを使用して可視化、通知を行うことができるようデモ環境をアップデートしました。本記事におきましてはそのアップデート手順を紹介いたします。

デモ構成

図1に二酸化炭素モニタリングシステムに関するMindSphereとIndustrial Edgeのコンポーネントを示します。
図1.png

使用アプリケーション

本デモを行うにあたり使用するアプリケーションは以下の通りです。
・Perfromance Insight
・Notifier
・IE Databus
・Deta Service
・SIMATIC S7 Connector

アプリケーションブロックダイアグラム

各アプリケーションの相関関係を図2に示します。
図2.png
PLCで取得したデータをS7 Connector(S7はSiemens PLCの標準プロトコル)をIE Databusへ送り、IE Detabusにおいてデータを統合しData Serviceへ送信。Data Serviceで各種データを保存し、そのデータをPerfromance Insightで可視化、分析したり、Notifierによりスマートホンなどのモバイルデバイスへの情報通知を行います。

設定手順

①SIMATIC S7 Connectorの設定
Industrial Edge Management(IEM)のManagement(ポート番号9443(IEMのIPアドレス:9443))から設定します。

・メニューバーよりData Connectionsを選択しSIMATIC S7 Connectorをクリックします。
図3.png

・図4のLaunc App画面が開きます。PLCと接続するIndutrial Edge Device(IED)のチェックボックスにチェックを入れ、Launchをクリックします。
図4.png

・図5のSIMATIC S7 Connector Configrator画面が開きます。Add Data Sourceをクリックします。
図5.png

・図6のData Source Add画面が開きます。Opitimized S7-Protocol(S7-1200/1500)を選択します。
図6.png

・図7のようにData Source 画面が拡張されます。Name欄に任意の名前。PLC Type欄に使用しているPLCのタイプ、IP Address欄にPLCのIPアドレスを入力しAddをクリックします。(Legitimization、Securityに関しては任意の設定のためここでは割愛します。)
図7.png

・図8のようにData Sourceが図7で作成した名前で追加されます。"+"マーク(Add Tag)をクリックします。
図8.png

・図9のようにAdd Tags画面が開きます。TagとはPLC内の各データを指します。
図9.png
各パラメータは以下を意味します。
✓Name : タグの名称
✓Comments:タグの説明
✓Address:当該タグが格納されているPLCのアドレス
✓Data Type:データのタイプ(選択)
✓String Length:データタイプがStringの場合のデータ長
✓Acquisition Cycle:データの取得サイクル(選択)
✓Acquisition Mode:データの取得モード(選択)
✓Access Mode:PLCへのアクセスモード(選択)
✓Action:タグの追加または削除を行います。

・今回使用する二酸化炭素濃度センサーは二酸化炭素濃度の他に温度、湿度の取得が可能であるので、図10のように設定します。設定を入力したらAdd Tagsをクリックします。
図10.png

・図11のようになります。追加したデータソース(PLC)のチェックボックスをチェックし、Deployをクリックします。Delta operation is in progress...-> Delta operation sucessfull.と表示されます。
図11.png

・Deployが正常に完了すると図12のように、PLCおよびタグに緑色のチェックが付きます。画面右上の歯車マークをクリックします。
図12.png

・図13のS7 Connector Databus Setting画面が開きます。必要事項を入力しSaveをクリックします。各パラメーターは以下を意味します。
✓Databus ServiceName : IE Databusのサービス名を指定します。
✓UserName:IE Databusへデータを公開するためのアクセスユーザー名を指定します。
✓Password:IE Databusへデータを公開するためのアクセスパスワードを指定します。
✓Payload Version:Payloadのバージョンを指定します。1.5が推奨です。
✓Browse Timeout:ブラウズタイムアウトを指定します。
✓Bulk Publish:データの一括公開を指定します。
図13.png

・図14の画面に戻るので、Start Projectをクリックします。
図14.png

・プロジェクトのスタートが完了すると図15のようにデータソースのStatusおよびBus Adapterが緑色表示になります。
図15.png

②Databusの設定
・次にIE Detabusの設定を行います。All System Appsタブをクリックします。
図16.png

・図17の画面に遷移するので、Databusをクリックします。
図17.png

・設定を行うIEDを選択し、Launchをクリックします。
図18.png

・User追加ボタン(+)をクリックします。
図19.png

・図20のUser Add画面が開くので、必要事項を入力しOKをクリックします。各パラメーターは以下を意味します。
✓Topic:MQTTトピック名を入力します。S7 Connectorを使用する場合トピック名は以下にする必要があります。
 タグメタデータ:ie/m/j/simatic/v1/s7c1/dp
 タグデータ:ie/d/j/simatic/v1/s7c1/dp/r/#
 アラームメタデータ:ie/m/j/simatic/v1/s7c1/ev
 アラームデータ:ie/d/j/simatic/v1/s7c1/ev/#
 コネクタ/コネクタ診断ステータス:ie/s/j/simatic/v1/s7c1/status
 ここで ie:Industrial Edge
     m:metadata
     j:json
     simatic:Payloadスキームモデル
     v1:Payloadスキームモデルバージョン
     s7c1:SIMATIC S7 Connector instance 1
     dp:data point
     d:data
     r:read
     ev:event
     s:ststus
を意味します。これらのトピックは以下の要素で構成されています。
ie/{payloadType}/{encoding}/{msgStructureScheme}/{msgStructureSchemeVersion}/{provideAppInstanceId}/{payloadMsgType}/{accessmode}/{connectionname}/{collectionname}
✓User Name:S7 Connectorで設定したユーザー名を指定します。
✓Password:S7 Connectorで設定したパスワードを指定します。
✓permission:権限を以下より選択します。
◆No Permission:権限なし
◆Subscribe Only:Detabusからデータの読み取りは可能であるが、他のアプリケーションでの使用は不可
◆Publish and Subscribe:Detabusへのデータ送信およびIEデータバスのデータを他のアプリケーションでの使用可能
図20.png

・トピックを追加する場合はTopic追加ボタン(+)をクリックします。
図21.png

・図22の画面が開きます。User名を選択しTopic名の入力および権限の選択をします。
図22.png

・今回は図23の内容で設定しました。次に設定をIndustrial Edge Runtimeに展開するためにDeployをクリックします。
図23.png

・正常に展開されると図24のように緑色のインディケータが表示されます。
image.png

③Data Serviceの設定
・ブラウザにIEDのIPアドレスを入力しログインします。ログインが完了すると図25の画面が開くのでData Serviceをクリックします。
図25.png

・図26の画面が開きます。メニューバーのConnectorsをクリックします。
図26.png

・図27の画面が開きます。メニューバーのSIMATIC S7 Connectorをクリックします。
図27.png

・図28の画面が開きます。Editをクリックします。
図28.png

・図29の画面が開くので、必要事項を入力しSaveをクリックします。各パラメーターは以下を意味します。
✓Broker URL:MQTTブローカーのurlを入力します。Databusがブローカーとなるのでtcp://ie-databus:1883と入力します。
✓Metadata topic:メタデータのトピックを入力します。②Databusの設定で指定したie/m/j/simatic/v1/s7c1/dpを入力します。
✓Status:S7 Connectorの状態を設定します。Activatedに変更します。
✓User Name:②Databusの設定で指定したユーザ名を入力します。
✓Password:②Databusの設定で指定したパスワードを入力します。
図29.png

・図30のようにStatusがACTIVE、ConnectionがCONNECTEDと表示されます。
図30.png

・以上でPLCからData Serviceまでの接続が確立されました。次にData Serviceでデータの格納場所を設定します。データの格納場所をAssetと呼びます。Assetはデータを階層構造にすることができます。
各タグデータのことをVariableと呼びます。今回の例ではCO2 Concentration, Temperature, HumidityがVariableとなります。また、VariableをまとめたものをAspectとすることができます。
今回は当社技術センターの名称であるNETFCというAssetを作成しその配下にCO2 MonitorというAssetを作成することにしました。
Data ServiceのAsset & Connectivity画面でedge横の・・・をクリックし、Add child assetをクリックします。
図31.png

・NameにAsset名を入力しAdd Assetをクリックします。
図32.png

・NETFC Assetが作成されました。NETFC横の・・・をクリックし、Add chile assetをクリックします。
図33.png

・NameにAsset名を入力しAdd Assetをクリックします
図34.png

・CO2 monitor Assetが作成されました。次にこのAssetにVariableを作成します。Add multiple variablesをクリックします。
図35.png

・図36のVariableの追加画面が開きます。SIMATIC S7 Connectorを選択し、①SIMATIC S7 Connectorの設定で設定したタグ(CO2 Concentration、Humidity、Temperature)のチェックボックスをチェックし、Saveをクリックします。
図36.png

・Variableが作成されましたのでAcceptをクリックします。
図37.png

・3つのVariableが接続されました。単位を設定するためにTemperatureのeditマークをクリックします。
図38.png

・編集画面が開くのでUnitに℃と入力し、Edit Varaibleをクリックします。
図39.png

・TemperatureのUnit欄に℃が適用されました。
図40.png

・同様に、CO2 Concentration、Humidityについても単位設定を行います。
図41.png

以上でData Serviceの設定は終了となります。

④Perfomance Insightの設定
Data Serviceで取得したデータをPerfomance Insightで可視化します。
・ブラウザにIEDのIPアドレスを入力しログインします。ログインが完了すると図42の画面が開くのでPerformance Insightをクリックします。
図42.png

・My Plantをクリックします。
図43.png

・CO2 Monitor Assetをクリックし次にAdd dashboard-> User-defined dashboardをクリックします。
図44.png

・ダッシュボード名を入力しSaveをクリックします。
図45.png

・グラフを作成します。Add first widgetをクリックします。
図46.png

・ウィジェットのタイプとウィジェット名を指定します。ウィジェットタイプは以下の通りです。
✓Diagram:経時データを図として表示します。
✓Value:現在値を表示します。
✓Gant:機器の状態を色表示します。
✓Gauge:制限値を超えているかどうかを色で表示します。
✓Pi:消費量または数量の分布を表示します。
✓Heatmap:データの強度を表示します。
✓Bar 3D:3D棒グラフを表示します。

今回は一例としてValueを使用するものとします。
Widget nameには任意の名前を入力します。この名前はWidgetの左上に表示されます。今回はCO2センサーの型式であるCDR 24HTLとしています。Dateには日時の取得方法を入力します。設定後Nextをクリックします。
図47.png

・図48のParameterの設定画面が開きます。Select Parameterをクリックします。
図48.png

・図49のSelect Parameter画面が開きます。表示するParameterを選択しOKをクリックます。今回はCDR 24HTLで取得できるCO2 Concentration、Humidity、Temperatureを選択しました。
図49.png

・次に各パラメーターの設定を行います。図50の画面が開くので、CO2 ConcentrationのEditをクリックします。
図50.png

・図51のParameter Edit画面が開くので、必要事項を入力しOKをクリックします。各パラメーターは以下を意味します。
✓Alternative label:このラベルはダッシュボードの詳細ビューの凡例に表示されます。
✓Aggregation:データの表示方式を選択します。
✓Visualization/Number of decimal places:小数点桁数を指定します。
✓Visualization/Color:表示色を指定します。
✓Limits/Alert:Alertを検出する閾値を指定します。
✓Limits/Warning:Warningを検出する閾値を指定します。
図51.png
今回はAlternative labelを二酸化炭素濃度。AggregationをLast。Visualization/Number of decimal placesを2。Limits/Alertを上限1000。Limits/Warningを上限800と設定しました。
New KPI InstanceではParameterを使用したKPIを作成することができますが、今回はセンサーデータの取得のみとしてKPIは作成していません。
Humidity、TemperatureについてもParameterを編集してNextをクリックします。
図52.png

・次に表示の設定を行い、Nextをクリックします。各パラメーターは以下を意味します。
✓KPI Calculation Period:KPIの計算間隔を指定します。
✓Show statistics:ウィジェットに統計情報を表示する場合は有効にします。
✓Sort values by:パラーメーターの表示順序を指定します。
図53.png
今回はKPI Calculation Periodを1分、Show statisticsを有効、Sort values byをパラメーター順としています。

・ウィジェットのプレビューが表示されます。Create Widgetをクリックします。
図54.png

・ダッシュボードが表示されます。右上の・・・よりAdjust dashboard layoutをクリックします。
図55.png

・図56の画面が開くので、スワイプ、ドラッグアアンドドロップでウィジェットの大きさや位置を調整します。
図56.png

・位置、サイズを調整したらFinishをクリックします。
図57.png

・Dashboard画面に戻ります。
図58.png

・同様の手順でウィジェットを追加します。今回は、Diagram、HeatMapを用いて図59のDashboardを作成しました。
図59.png

⑤Notifierの設定
次にNotifierによる通知設定を行います。今回は二酸化炭素濃度が800ppm以上でWarning通知、1000ppmでAlert通知を行うこととします。
・ブラウザにIEDのIPアドレスを入力しログインします。ログインが完了すると図60の画面が開くのでNotifierをクリックします。
図60.png

・SettingからManage notification rulesをクリックします。
図61.png

・通知設定を行うAssetを選択します。
図62.png

・Add notification ruleをクリックします。
図63.png

・図64の画面が開くので必要事項を入力します。各パラメータは以下を意味します。
✓Notification Type:通知のカテゴリを指定します。
✓Notification text:通知メッセージを指定します。
✓Asset:通知が属するAssetを指定します。
✓Variable:通知の閾値を設定するVariableを指定します。
✓Value:閾値を指定します。
今回のAlertの場合、以下の設定となります。
✓Notification Type:Alert
✓Notification text:Carbon dioxide concentration exceeded 1000 ppm.
✓Asset:edge/NETFC/CO2 Monitor/
✓Variable:edge/NETFC/CO2 monitor/CO2 Concentration
✓Value:1000
図64.png
同様にWarningについても設定します。図65は設定後の画面となります。
図65.png

⑥Notifierアプリケーションの設定
NotifierはAndoroidおよびiOS対応のスマートデバイス向けのアプリケーションが準備されています。今回、iPhoneを用いて動作確認を行いました。設定手順及び動作確認結果は以下の通りです。
・アプリケーションを開くと図66のOverview画面が開くので、Add Connectionをタップします。
図66.png

・図67の画面が開きます。Industrial Edgeを使用しているのでEdgeをタップします。
図67.png

・図68の画面が開きます。Edge Server IPにIEDのIPアドレス、Username、PasswordにIEDのログインユーザー名とパスワードを入力し、Loginをクリックします。この時、IEDとiPhoneはIPリーチャブルである必要があります。
図68.png

・ログインが成功すると図69の画面が開きます。ここれはIEDとの接続状態の監視設定を行います。今回はこれを有効にしました。設定を入力したらSettingをクリックします。
図69.png

・図70の画面が開きます。IED NotifierからのPush通知を有効にするためPush notificationsをタップします。
図70.png

・図71の画面が開きます。Open system settingsをタップします。
図71.png

・図72の画面が開きます。通知の>をタップします。
図72.png

・通知を許可を有効にして。Notifierアプリケーションに戻ります。
図73.png

・StatusがEnableになります。Settingsをタップします。
図74.png

・実際の通知動作を確認します。Notificationをタップします。
図75.png

・二酸化炭素濃度が800ppmを超えると図77の画面が表示されます。併せて、音声やバイブレーションで通知します。
図76.png

・同様に二酸化炭素濃度が1000ppmを超えると図78の画面が表示されます。併せて、音声やバイブレーションで通知します。
図77.png

おわりに

今回、二酸化炭素の濃度、温度、湿度を測定し、測定したデータの可視化および異常通知を行うデモシステムを構築しました。
今回導入したアプリケーションにより様々な分野の産業向けDXに応用できるものと考えています。

※SiemensおよびIndustrialEdgeは、Siemensの登録商標または商標です

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