はじめに
Siemens社オープンクラウドプラットフォーム "MindSphere" と産業向けエッジコンピューティング "Industrial Edge" のお客様向けデモシステムを構築しました。
二酸化炭素濃度、温度、湿度をセンサー(CDR-24HTL)で測定しその測定データをMindSphere、Industrial Edgeで可視化するとともに、PLCを用いて自動換気機構を制御します。
また、別のセンサー(CO2-Mini)を設置しRaspberryPiでデータを取得し可視化を行いました。
PLCデモシナリオ
以下にPLCで制御するデモシナリオを示します。
- 二酸化炭素濃度が700ppm以下であれば青色LEDが点灯。
- 二酸化炭素濃度が700ppm以上になると換気のための吸気ファン、排気ファンが動く。併せて青色ランプが消灯し赤色ランプが点滅。
- 換気が行われ二酸化炭素濃度が700ppm未満になると吸気ファン、排気ファンが停止。青色ランプが点灯する。赤色ランプの点滅は継続。
- 確認ボタン押下にて赤色ランプ点滅は停止。
- 二酸化炭素濃度、温度、湿度の推移はMindSphereおよびIndustrial Edgeで可視化。
構成機器と役割
- Siemens ET200SP CPU:論理回路を制御します。
- Siemens ET200SP Analog Input Module:電流、電圧等のアナログ入力のインターフェイスとなります。
- Siemens ET200SP Digital Input Module:On/Off入力のインタフェースとなります。
- Siemens ET200Sp Digital Output Module:On/Off出力のインタフェースとなります。
- Siemens SIMATIC IPC227E:Industrial Edge Deviceとしてアプリケーションを動かします。
- Siemens MindConnectNano:IoTデバイスとMindSphereとのゲートウェイです。
- CDR-24HTL:二酸化炭素濃度、温度、湿度のセンサーです。ET200SP Analog Input Moduleへ4mA-20mAのレンジで電流を出力をします。
- CO2-Mini:二酸化炭素濃度、温度のセンサーです。RaspberryPiへUSBインターフェイス経由でデータを出力します。
- RaspberryPi:CO2-Miniから取得したデータをNode-REDを用いてIndustrial Edge Deviceへ送信します。
- Industrial Edge Management:Industrial Edge Deviceの管理、クラウドからファームウェアやアプリケーションのダウンロード等のIndustrial Edgeの総合的な管理を行います。
MindSphere・Industrial Edgeコンポーネント
図1に二酸化炭素モニタリングシステムに関するMindSphereとIndustrial Edgeのコンポーネントを示します。
PLCリモートデモ環境の構築
リモート操作によるデモをおこなうため、二酸化炭素充填システムを併せて構築しました。
二酸化炭素充填シナリオは以下の通りとなります。
- 二酸化炭素注入のためPLCのデジタルアウトプット信号をオン
- リレーに電流が流れ、コイルの接点が閉まる
- コイルの接点は二酸化炭素ボンベのソレノイドバルブ電源に組み込まれており、電源が印加されることでソレノイドバルブが開き二酸化炭素がプラスチックボックス内に流入し二酸化炭素濃度が上昇する
- 二酸化炭素濃度が900ppmを超えるとソレノイドバルブを閉じて二酸化炭素の流入を停止する
PLC信号系ブロックダイアグラム
PLCラダー図
Industrial Edge Deviceでの可視化
二酸化炭素濃度、温度、湿度をIndustrial Edgeに標準で準備されているIE Flow Creatorを用いて実施しました。
IE Flow Creatorはジュアルプログラミング用のフローベースの開発ツールであるNode-REDをベースとしております。
図4にIE Flow Creatorのフロー図、図5に可視化したグラフを示します。
MindSphereでの可視化
MindConnectNanoを使用しMindSphereに接続し、MindSphere上でも可視化を行いました。
図6にMindSphereに標準で準備されているOperations Insightで可視化したグラフを示します。
RaspberryPiデモ
PLC二酸化と同様に二酸化炭素濃度センサー(CO2-Mini)のデータをRaspberryPiを介してIndustrial Edge Deviceに送り可視化しました。CO2-MiniとRaspberryPiはUSBケーブルで接続されています。
Industrial Edge Deviceへのデータ送信はRaspberryPiにインストールしたNode-REDで行い、Industrial Edge Deviceでの可視化はNode-REDベースのIE Flow Creatorで行っております。
デモシステム外観
図7にデモシステムの外観を示します。制御機器が設置されている制御ボックス、センサーが設置されているセンサーボックス、二酸化炭素ボンベ、RaspberryPiの4つで構成されています。
図8に制御ボックスを示します。PLCのCPU、Analog Input Module、Digital Input Module、Digital Output Module、Relay、電源、ブレーカーで構成されています。
図9にセンサーボックスを示します。二酸化炭素センサー(CDR-24HTL、CO2-Mini)、吸気ファン。排気ファン、表示灯(赤、青)、リセットボタンで構成されています。
図10に二酸化炭素ボンベを示します。ボンベ本体、レギュレーター、スピードコントローラー、バブルカウンター、圧力開放バルブ、ソレノイドバルブで構成されています。
おわりに
今回、二酸化炭素の濃度を測定し濃度が上昇したら換気を行うデモシステムを構築しました。
二酸化炭素ボンベを設置したことにより、リモートからでもデモを行えるようになりました。
一般的なセンサーの出力は4-20mAや1-5Vが多いので、様々な業界におけるデータの可視化、分析などに応用することができます。
デモ環境にはいくつかのアプリケーションの導入を予定しており、このデモシステムとの連携を進めていくことを考えています。
※SiemensおよびMindSphere、IndustrialEdgeは、Siemensの登録商標または商標です