はじめに
HRBrainでQAエンジニアを担当しております。
皆様は「QAエンジニア」という職種をご存知でしょうか。
非IT系の方はもちろんのこと、IT系の方でもイメージが湧かない方は多いのではないでしょうか。
本記事では、「QAエンジニア」についてご紹介した後、HRBrainの一員として意識していることや、QAエンジニアへの転向について書かせていただきます。
この記事は、HRBrain Advent Calendar 2022 9日目の記事です。
QAエンジニアとは
Quality Assurance( = 品質保証 )
QAエンジニアの「QA」とは「品質保証」を意味する英熟語の頭文字をとったものです。
その名の通り、製品品質の担保を至上命題とし、品質向上・維持に向けた幅広い活動を担当します。
QAエンジニアとテスターの違い
よく混同されるのはテスターとの違いでしょう。
組織によって定義は異なり明確な線引きはありませんが、私が考える両者の違いは以下のとおりです。
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テスター
- 既存のテスト仕様書やテストケース一覧をもとにテストを実行
- テストケースの正確かつ迅速な消化が最重要
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QAエンジニア
- 製品仕様を把握して検証業務全体を担当
- テスト観点の整理
- ケースの作成、実行、進捗管理
- 不具合候補発見後の対応
- 「バグの作り込み」の抑止
- 製品仕様を把握して検証業務全体を担当
検証業務を担当するという点は両者共通ですが、テスターが「実行」という一点に特化するのに対し、QAエンジニアはより幅広い工程に関与します。
HRBrainのQAエンジニアとして意識していること
そんな幅広い領域を担当するQAエンジニアですが、HRBrainのQAエンジニアとして私が意識していることを僭越ながらご紹介します。
「体験」を通して製品仕様を理解すること
HRBrainではアジャイル開発を採用しており、スピード感が重視されます。
無論、ハイスキルなテックリードやエンジニアによって入念に設計されていますが、アジャイル開発である以上、「包括的なドキュメントよりも動くソフトウェア」という考えのもとでプロジェクトは進行します。
こうした環境の中でも、QAエンジニアは製品の仕様を幅広く、そして正確に把握する必要があります。
包括的なドキュメントが存在しない環境下では、製品に実際に触れて仕様を理解する他ありません。
そのため、ドキュメントが完璧ではないことに過剰な拒否反応を示すことなく、「今、目の前にあるものが仕様書であり設計書」という考えのもとで、様々な観点でいじくり回して仕様を確認する好奇心が求められます。
テスト観点にアタリをつけること
アジャイルは、ウォーターフォールモデルと比べて開発サイクルが短いため、QAの準備期間も短くなりがちです。
網羅的なテスト設計やケース一覧を作成すると時間内でQAタスクを消化しきれなくなってしまいます。
そのため、品質低下を抑えつつテストケース数を削ることを継続的に行わなければなりません。
完璧な正解は存在しない、永遠の課題です。
不具合が出そうな箇所を予測すること
テスト観点のアタリのつけ方、ケースの削り方はケースバイケースですが、その中でも「不具合が出そうなところを予測すること」は、普遍的な観点と言えます。
例えば、製品種別によらず、不具合が出やすいのは境界値や同時実行制御系といった側面でしょうか。
弊社サービスを含め、多くのSaaSには権限設定(特定の操作の実行可否を制限する機能)があります。
例えば、ある人物が権限を要求する操作を実行する裏で、別の人がその人から権限を外したらどうなるでしょう。
操作を実行する直前に最新の権限保有状態を再確認していないと、「権限を持っていない人が操作できる」という状態が発生します。
場合によっては、権限昇格攻撃にも繋がってしまいますね。
QAエンジニアへの転向について思うこと
「QAエンジニア ≒ テスター」と考えられがちですが両者は似て非なるものであり、QAエンジニアは考えることが多いと同時に、様々な領域の知識を活かす機会に恵まれています。
テスト経験者はもちろんのこと、他職種から転向する場合でも、それまでのエンジニア経験を十二分に活かせるでしょう。
私自身、新卒では金融系SIer(インフラエンジニア)に入社し、その後、化学メーカー(QA&プログラマ)、第三者検証(QA)と進み、そしてHRBrainに入社しました。
インフラエンジニア時代に得た知識は、自社製品と他社サービスを連携するQAに活用できましたし、コードを書いた経験は、上述のような同時実行制御を始めとするテスト観点の検討に活きています。
第三者検証での経験は、言わずもがなですね。
システムエンジニアという職業は、「アプリ系か、インフラ系か」という二者択一のキャリア選択を求められる傾向がありますが、その両方に手を伸ばせることは、QAエンジニアの魅力であり、楽しさです。
最後に
「システムエンジニア」という職業において、「QAエンジニア」という職種の間口は特に広いです。
私がお世話になった転職エージェントいわく、IT未経験者を採用する会社さえも存在する・・・とのことでした。
この事実は、過去にどのような経験を積んだかによらず、あらゆる経験や知識を活かせる可能性に富む職種であることを示唆します。
「品質」に興味がある方はもちろんのこと、新たなキャリアに挑戦したいという方は、ぜひ一度「QAエンジニア」という職種をご検討なさってはいかがでしょうか。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。