序
最近ではノート PC でもメモリが 16GB 以上のモデルも増え、Linux を扱うにしても Windows や macOS 上に VM として入れたり、Docker container として利用するようなことが多いかと思います。
とはいえやはり VM を利用すると特に IDE と組み合わせて作業するときなどには全体で大量のリソースを必要とし、起動までの待ち時間や操作中のレスポンスも気になってきます。
かたや Windows や macOS の機能がふだんからそこまで必要かというと、Office suite の機能もブラウザで済むようになった今、むしろ UNIX 機能を重視してもよいのでは、と思われてきます。
今回は、Linux をふだんの作業環境として使うための、それこそ 10 年ぶりくらいの、PC への Linux 直接インストールの記録です。
目的
ふだん使いの PC 要件を満たしつつ、快適な開発環境の構築を目指します。Linux で。
- 一般的なブラウザ利用
- Netflix などの視聴
- Docker
- Visual Studio Code
環境
-
Dell XPS 13 9343 (Intel Core i5 5th gen, 8GB memory)
- 購入から 5 年くらいは経っているものです。
- もともとの Windows は partition を整理して残し、dual boot にします。
- Ubuntu 19.10
- 書いている時点で最新 20.04 がリリースされています。
インストール
ありがたいことにほとんど素のインストールで問題ありませんでした。追加で以下の対応を行いました。
Wifi driver
使用した Dell XPS 13 では悪名高い? Broadcom の wireless card が搭載されており、Ubuntu を USB 起動で試したときにすでに driver がそのままでは入らないことを確認していました。おそらく こちら にあるような "Additional drivers" から入れる方法で対応できるのだと思いますが、今回は SSD の換装も予定していたので、ついでに wireless card を Intel 製のものに置き換えました。これによりあっさり認識され、今のところ不具合も感じられていません。
購入したのは Intel AX200NGW というカードで、Wifi と Bluetooth がついているものです。たしか 2,800 円くらいでした。もともとついているものとほぼ同等の形状で、気をつければ差し替えは難しくありませんが、ケーブルをさすちいさなコネクタの場所がすこし違っていて、長さのあまったケーブルの取り回しに注意が必要でした。(末尾に画像をつけました)
日本語入力
Ubuntu 19.10 標準では ibus という framework で入力を受け付けています。日本語入力は Google 日本語入力の OSS 版である mozc を使えるようにするため ibus-mozc をインストールしました。
apt install ibus-mozc
トラブル
日本語入力
わたしの普段の使い方がちょっとマイナー寄りのせいなのもあるのですが、以下のような不都合が生じました。
- かな入力 で US キー配列 を使用できない (意図しない文字が入力される)
- Shift を含む shortcut が動作しない (設定は可能だが押しても何も起こらない)
これらに関しては残念ながらソースの変更が必要でした。いずれも完全な修正には手間がかかりそうでしたので、ひとまず自分が使うのに不都合ない程度に対応しました。mozc は二年ほど前に開発が止まったようで、将来の利用に不安が残ります。
音声
音量調整を触っていたら急に「ヘッドホン利用時にだけ左側だけ聞こえない」状態になりました。Windows を起動して試すことでハードウェア故障ではないことはわかり、結局は alsamixer での調整で回復しました。最初に触ったときにはわからず、ここ の解説でたすかりました。
で、使い勝手は?
いまのところ、非常によいです。install 直後から Windows をほぼ起動しなくなりました。バッテリーの持ちも Windows に比較して同等か、むしろよいように感じます。
ブラウザは Chrome を利用していますが、Windows での利用にくらべて明らかに軽いです。PC を起動してから使えるようになるまでの時間がかなり短く感じます。Windows 版 Chrome ではこれまた悪名高い "Software reporter tool" の暴走に困ることもままありましたが、そういったものとも無縁なのがうれしいです。
日々 Netflix を観ていますが、音声含め Windows での利用と差を感じません。extension も、そこまでヘビーユーザーではありませんが不都合なく動作しているようです。
Docker も非常にキビキビ動作してとても快適です。こちらは Linux が本家なので当然といえばそうですね。メモリが 8GB ということで、minikube でどこまでいけるかを試してみたいと思っています。WSL で一喜一憂することを考えたら天と地の差を感じます。
VS Code でも今のところ不具合を感じていません。Remote - container extension で local docker container とつないでみましたが、やはり非常に快適です。
長期間利用でどうなるか、様子を見ていきます。まずは 20.04 への upgrade ですね。
おまけ
今回は、ストレージ容量増加 (250GB -> 1TB) のために SSD の換装と、driver の不安払拭のために wireless card の換装を行いました。左下に見切れているのが SSD (M.2 SATA タイプ)、中央にふたつ並んでいるのが換装中の wireless card です。標準装備のカードでは黒と白のケーブルがつながっているコネクタが左右にひとつずつわかれているのに対し、左の Intel のカードでは右側に寄っているのがわかります。
(MAC address が印刷されていたのでちょっと加工しています)