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スクラム経験1年の開発者が認定スクラムマスター研修(CSM)に参加してみて思ったこと

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はじめに

株式会社アトラクタが主催する、認定スクラムマスター研修(CSM)に、7/24-7/26の3日間オンラインで参加し、晴れて合格となったので、その記録を残します。

この記事で書くこと・書かないこと

書くこと

  • 研修のざっくりした流れ
  • 研修に参加した個人的な学び
  • 試験の概要
  • 研修に参加するうえで事前にやっておくべきこと

書かないこと

  • 研修の細かい内容
  • スクラムの概要・説明
  • CSM合格に向けた具体的な勉強方法

目次

認定スクラムマスターとは?

Scrum Allience®️が提供する認定資格で、研修主体は複数あります。
私は冒頭にも記載しましたが、株式会社アトラクタで受講しました。

研修主体一覧は、下記の記事がわかりやすかったので参考までに。

事前準備

マストの準備

  • 研修1ヶ月前まで
    • 費用の振り込み(オンラインだったので22万円でした。宿泊だと30万円弱でした。)
  • 研修前日まで

やっておいてよかったこと

  • 事前に聞きたいことを洗い出す
  • 実務でのスクラムを忘れて、学んだ方法で実践するという姿勢を持っておく

過去に参加したメンバーの話をもとに、上記2つを行ないましたが、改めてやっておいてよかったなと思いました。
特に、CSMは受け身だと全く(は言い過ぎかもしれませんが)意味のない研修となってしまうので、疑問点を解消していく場として使うのが、現場を変えていく近道だと思いました。
また、いつも行っているスクラムを研修でもやりがちですが、そこをぐっとこらえて原点からスタートして取り組むのも新たな発見があるのでおすすめです。

研修の流れと学び

1日目

ざっくりした流れ

1日目は、スクラムに関するインプット(と質疑応答)がメインでした。
一通り自己紹介やチームでの顔合わせをした後、学びたいことのバックログを作成していき、研修でそのバックログを消化していく、という形でした。
休憩は1時間に1回あり、その前後で質疑応答を行ってくださるので、疑問点は都度解消することができます。

学び

PBIは明確に書くこと

私たちのチームでは、学びたいことのバックログの1位に「スクラムマスターの心構えを学ぶ」というPBIを置いていました。それを見た講師の方が、「どういう状態になったら終了なのか」というお話をしてくださり、終了条件がわからないPBIは一生動かない、ということを学びました。
実務でも、受け入れ条件が曖昧になってしまうPBIが発生している部分も多少あるので、ここは気をつけないといけないなということを痛感しました。

無駄なものは作らない

最初に要求を全部集めても、それがあっている保証はない、一度機会を逃すと機能を追加するのが当面先になるので、とりあえず必要そうなものをたくさん入れようとする力が働く、これは良くない、ということを学びました。製品が大きいと保守は二乗で必要になるからそう言った意味でも最低限を早く作っていくことが大事とのことでした。

「沈黙に耐える」はスクラムマスターの重要スキル

新メンバーがスクラムに入った時は、「子ども扱いしないこと」が大事だというお話がありました。(これに関しては、牛尾剛さんの『世界一流エンジニアの思考法』でも触れられています。気になる方はこちらから)
そうした環境を作ったうえで、スクラムマスターは意見を言ってもらうように話を振って、出てくるまで辛抱強く待つのも一つの手だ、ということを学びました。
実務では、開発未経験からスクラムチームに入ったのにも関わらず、メンバーの方が常にフラットな視点で見てくださる+スクラムマスターは平等に話を振ってくださるから、自分の言いたいことが言えるんだなとてもありがたく思いました。

2日目

ざっくりした流れ

2日目は実践がメインでした。
デイリースクラムを行い、研修で学びたいことのバックログを整理したあと、いよいよ実践に入ります。
チームでプロダクトビジョンとスクラムの役割を決定し、

  • スプリントプランニング
  • スプリント(インクリメントの作成)
  • スプリントレビュー
  • レトロスペクティブ
  • バックログリファインメント

上記の一連の流れを2周行いました。(バックログリファインメントは1周のみ)

学び

ペルソナは明確にしておく(できればプラグマティックペルソナ)

ユーザーストーリーの作成がかなり重要だということを学びました。
私たちのチームは、ペルソナを設定せず、誰向けのアプリケーションなのかを考えずに議論を進めていたため、結局誰も欲しがらないアプリケーションをインクリメントとして披露してしまいました。
スクラムはできるだけターゲットを明確に、できればプラグマティックペルソナ(実際に存在するペルソナ)であるべき、とのことでした。

ターゲットは少しずつ拡大する

また、あるチームでは、1週目のスプリントでは、ターゲットを「東京都○○区に在住の人」のようにかなり絞ったために、ステークホルダーが自分事と認識しやすくなったためか、FBが山のように来たのに対し、2週目のスプリントでは、ターゲットを「全国」に広げると、FBが全く来なくなってしまったという場面がありました。
ターゲットは一気に広げず、ステークホルダーが自分ごととして考えられるかどうかを考えながら広げていくという観点もかなり重要だということを学びました。

機能ではなく価値を届ける

上記とつながりますが、ペルソナを明確にしなかったことで、機能だけが充実してしまい、スプリントレビューが機能ベースのFBしかいただけない場となってしまいました。
これはインクリメント作成時にありがちなレビューなので、細かいバグや仕様の話はせず、どんな価値が提供できるようになったのかを実際のスプリントレビューでは伝えていきたいなと思いました。

スプリントレビューはFBしてもらいたい観点を伝える

スプリントレビューはFBしてもらいたい観点を伝えるべきだということを学びました。こちらも上記とつながりますが、本来は価値の部分でステークホルダーからFBをもらいたかったのに、細かいバグや仕様の話になり、時間がきてしまったということになりかねないため、これは大事だなと思いました。

インクリメントは具体的に

ペルソナの解像度を高める、のようなPBIばかりだとステークホルダーが苦い顔をするようになってしまうので、理想ではないとのことでした。実務だと、機能追加以外のPBIはどうしてもステークホルダーが喜ぶようなインクリメントを出すのが難しいので、この辺りはスプリントゴールの設定も含め課題に感じました。

3日目

ざっくりした流れ

最終日は、スクラムマスターとは何かについて考えるのがメインでした。
デイリースクラムで学びたいことのバックログを精査し、スクラムマスターの講座や質疑応答の時間で解決していき、最後に学びをどう自分たちの実務で持ち帰るかについて話し合いました。

学び

スクラムマスターは我慢が大事

よくあるスクラムマスターの例として、干渉しすぎてチームが自立できなくなってしまうことが挙げられます。特にアジャイル未経験のメンバーだと、指示を待つことに慣れている=指示されたことに対してしか仕事をしない=結果の責任を問われない、という状態にあるため、なかなかこの状況を変えるのは難しいとのことでした。上手くコーチングしながらチームが自走できる状態に持っていくのも、座学だけでは学べず、実践を通して試行錯誤していくしかないのだなと思いました。

スクラムマスターはPOへの支援も欠かさない

ここの観点は自分の中で抜けていたところだなと思いました。プロダクトゴールの定義と管理方法について探すことを支援したり、必要に応じてステークホルダーとのコラボレーションを促進したりと、POへの支援もスクラムマスターの責任なので、スクラムマスターはどのメンバーとも積極的に関わっていく必要があるなと感じました。

チームがうまく回ったらスクラムマスターはチームの外へ

チームがうまく回れば、最終的にスクラムマスターは必要ないのではないか、という意見が私たちの班の中で出ました。質疑応答の場で聞いてみると、「チームに対するスクラムマスターはいらなくなるが、チームの外へ枠組みを広げていく必要がある」とのことで、チーム外となるとなかなか必要なくなる、とまではいかないのだなということを学びました。

寝不足なスクラムマスターはしょうもない

スクラムマスターは、チームのメンバー全員とフラットに話せる必要があるため、機嫌が悪いスクラムマスターはだめ、つまり寝不足は敵!とのことでした。スクラムマスターでなくても睡眠はしっかり取りたいものです。

試験について

  • 試験時間:60分
  • 問題数:50問
  • 合格数:37問以上
  • 選択式

2回まで無料で受験でき、3回目からはUS$25かかります。問題文の言語は選択することができます。(見た限りかなりの言語に対応していました)
90日以内に受けないと有料になってしまうので、早めに受けるのをおすすめします。スクラム経験がある人は、スクラムガイドとアジャイルソフトウェア開発宣言に目を通しておけば、当日中に合格できると思います。
3日目の研修は午前までだったので、昼食をはさみ、研修が終わった2時間後ぐらいに受験しました。

おわりに

研修は実践メインということもあり、何もスクラムの経験がない状態で研修に挑むより、実務と比較できる状態で研修に臨む方が、学べることも多いのではないかと感じました。
認定スクラムマスター取得という形になりましたが、今回の研修を通して自分や自チームの良い点や課題も見えたので、研修の学びを取り入れていきたいと思います。

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