はじめに
LaTeXでは以下のような縦揃えを用いた連立方程式・場合分けの数式を書くのは簡単で,
alignedat環境やcases環境を使えば書くことができます.
Wordでも同じように書きたい!というのがこの記事のモチベーションです.
\begin{equation}
\left\{
\begin{alignedat}{4}
x &+2y & &+3z & &= 1 & & \text{(A)} \\
-3x &+ y & &- z & &= 2 & & \text{(B)} \\
2x & & &- z & &= -1 & \qquad & \text{(C)}
\end{alignedat}
\right.
\end{equation}
\begin{equation}
f(x) =
\begin{cases}
e^{-1/x}, & x > 0 \\
0, & x \le 0
\end{cases}
\end{equation}
以上の数式はamsmathの数式環境まとめの方から拝借しました.
LaTeXでの数式についての詳細はこちらを参照してください.
方法
幾つか方法を示します.以下のように使い分けるのが現状良いと思います.
方法1 | 方法2 | 方法3 |
---|---|---|
揃えたい箇所が複数 | 揃えたい箇所が1箇所(または2箇所) | LaTeXコードが書ける.画像でも良い |
方法1:括弧のない行列を用いる
無難な方法ですが少々面倒です.
次の連立方程式を例に用いて方法を紹介します.
\begin{equation}
\left\{
\begin{alignedat}{4}
x &+2y & &+3z & &= 1 & & \text{(A)} \\
-3x &+ y & &- z & &= 2 & & \text{(B)} \\
2x & & &- z & &= -1 & \qquad & \text{(C)}
\end{alignedat}
\right.
\end{equation}
まず,括弧のない行列を必要な分だけ用意します.
そして,空白を埋め,
右クリック → 行列の間隔で列の間隔を小さくします(この場合は固定値で6pt).
あとは,スペースで各部分を調整します.
スマートな方法ではないですが,ある程度欲しかったものはできました.
方法2:&を使う
LaTeXと同様に,**&**を使うことで縦揃えをすることができます.
ただ揃えたい部分が複数ある場合の挙動がイマイチ理解できなかったため,その点ご存知の方はコメント頂けると幸いです.
方法2では,場合分けの例を用いて説明します.
まず,数式を入力します.
次に,揃えたい部分に「Space + &」を入力します.これによって,次のように位置が揃います.
&を入力しても目に見えないと思いますが,矢印キーで何かがそこに存在していることは感じ取れると思います.
そして,先ほど入力した「Space + &」の前にもう一つ「Space」を入力します.すると,長い空白が入力されます.
連立方程式の例もこの方法で一応できたのですが,
挙動を完全に理解できていないので縦揃えをする位置を試行錯誤する必要がありました(時折勝手に長い空白が入力される).
完全に挙動が理解できれば,方法2の方が簡単にできそうです.
方法3:別のソフトでLaTeXコードから画像を出力する
MathpixなどのLaTeXコードから画像を出力できるソフトを用いて,画像を出力しWordに貼り付けるという方法です.
ただMathpixでの出力はpng画像になると思うので,好ましくありません.
ベクター形式で簡単に出力できるソフトをご存知の方は,コメントにてご教授ください.
その他
方法2についての余談
&を使って縦揃えをする方法は主に「& + =」で等号揃えをする時に使われるようで,それ以外の用途として紹介されているサイトはありませんでした.
ただ,Word内で「よく使われるかっこ」として,場合分けの式が例示されていて,この式には&が使われていました.公式な用法ではあるようです.