もし、過去にフーリエ変換が特許が取れるのか、取れた場合にどんな影響があるのか、をまじめに考察してみる。
もし、Fourier変換が特許をとられていて、使用料をはらわないといけない状況になったら、物理の理論研究者の大半が破産しそう。 https://t.co/MdL0xkb97u
— 加藤岳生 (@takeokato719) August 10, 2019
結論
- フーリエ級数の概念が公開されたのは、1807年が最初。
- 特許の存続期間は大体20年なので、仮に出願されていても、1827年頃には権利が切れていた。
- アルゴリズムが特許として権利化が認められるのは、1980年後半以後の話なので、1807年当時は難しそう。
- アルゴリズムそのものの検証のためならば、研究目的で利用できそう。
出願時期はいつになるのか?存続期間は?
出願時
特許には、すでに公知ではない「新規性」が求められる。
フーリエ級数を導入した論文が査読を受けたタイミングを、出願タイミングとみなすならば1807年ですかね……。2世紀前ですよ…。
権利終了(存続期間)
特許は発明を公開し、内容を公開して産業発展に寄与する代わりに、しばらくは自分のところで独占的に使うわー、というもの(ものすごく雑ですが)。
よって、権利が行使できる存続期間がある。大体、どの国も出願した日から20年間と。
国 | 存続期間 |
---|---|
日本 | 出願日から20年間 |
米国 | 出願日から20年間 |
フランス | 出願日から20年間 |
権利化できるだろうか?
(ソフトウェアの)アルゴリズム単体で権利化できるかどうか、という議論に関しては、カーマーカー法というキーワードで歴史を確認するとよくわかる。昔は物と密接につながってないとダメだった。
短くまとめると、1985年に出願された数学理論の発明が初めて成立し、それからアルゴリズムも特許として認められるようになりましたと。
が!!フーリエさん、フランス人で、発明したときエジプトからフランスに帰ってきているのですよね…。出願するならば、フランスになるんだろうなあ・・・と。
フランスの知的財産法を確認すると、特許から除外する項目に「数学的方法」、ってめっちゃ書かれてる。1807年当時じゃ無理だったんじゃないかなあ…。
大学ではどこまで利用できる?(研究利用とは)
このあたりはこの論文が非常にわかりやすい。
こちらも簡単にまとめると、発明そのものの検証などのために利用するのは、日本・米国ともに認められる(判例次第)。営利などそれ以外の目的になるとグレイゾーンからアウト。
ぎりぎり前処理などで実用に耐えられるのかを検証するために使う分もセーフかもしれない、かなあ……。まあ、判例ベースで考える話なので、いかんともしがたいが。
まとめ
1807年はどんな時代?
熱力学に関して言えば、まだシャルルの法則とか人工的に水を凍らせるとかレベルですね…。
歴史背景は、例えばファラデーの人物史みるとわかるが、「貴族」とかの時代と・・・(若干、引く…)