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GitHub Universe2024に参加してAI-Nativeな開発について考えてみた

Last updated at Posted at 2024-12-16

本記事はNECソリューションイノベータ Advent Calendar 2024の12/18の記事です。

はじめに

2024年10月29日、10月30日にサンフランシスコ(Fort Mason Center)で開催されたGitHub Universe 2024に参加してきました。
私個人としては、初めての海外カンファレンス参加で、セッション内容はもちろん、日本とは違う文化にも触れて、とても良い刺激を受けることができたと感じています。この記事では特に印象に残ったセッションを取り上げて、AI-Nativeな開発について考えてみたいと思います。

イベントについて

GitHub Universe は毎年秋に開催されている、GitHub社の開発者向けカンファレンスで、今年はちょうど10回目の開催でした。2023年度は3500人(2022年比で1.5倍)の開発者が参加していることからも、生成AIやCopilotの盛り上がりに合わせて世界中の開発者からの注目度が上がっていることがわかります。今年は、「AI」「Developer Experience」「Security」の3つの観点から、100以上のセッションが行われました。

会場ゲートにはTHE WORLD’S FAIR OF SOFTWARE(世界ソフトウェア博覧会)と銘打たれています。

メイン会場の入り口を抜けると、Keynote会場です。会場は海に面した立地で、会場外の景色同様のゴールデンゲートブリッジとアルカトラズ島がデザインされたオープニングムービが流れています。

KeynoteではGitHub Sparkや、GitHub Copilotで利用するLLMのモデルが選択できるようになることなど多くの新発表がありました。
また、CopilotがGitHubのプラットフォーム全体に広がって、実装、テストだけでなくプロセス全体にCopilotが浸透してきていることも強調されていたように思います。

多くの新発表の内容についてはGitHub公式ブログに掲載されているので、このレポート内では内容は割愛します。気になる方はこちらをみてください。

印象に残ったセッション

印象的だったセッションについて紹介し、私なりに考察したいと思います。

AI-native product development lifecycle: Disrupting how software is developed today

このセッションはyoutubeに公開されているので、興味のある方はぜひ全編をご覧ください。以下では簡単に内容をまとめます。

セッションでは、AIによるプロダクトマネジメントや開発プロセスの変革について述べられています。AIを活用することで市場投入までの時間を短縮し、製品価値の最大化を図ることが可能になるとされていました。
それ以外にも、
・AIがバイアスを排除し、より客観的な意思決定を支援する役割を果たすこと
・プロダクトマネージャーが「ミニCEO」としての役割を担うこと
・品質、コンプライアンス、アクセシビリティに関する新たなアプローチが求められること
等の変化が起こるだろうということです。
全体として、AIはソフトウェア開発の多くの側面を再定義し、効率と価値を高める方向にあることが示されました。

製品開発において起きる変化としては、エンジニアにとって価値のあるスキルが変化し、エンジニアが果たす役割が変化するとされています。
具体的には、
・伝統的なテストエンジニアの役割が廃止されつつあること
・開発に必要なAIモデルの選択ができる必要があること
・UXの観点で、多くの作業が自動化されるからこそ、人間同士の交流や共感により注目すること
が挙げられています。
また、エンジニア組織自体も変化していく中で、企画・開発・運用全体が統合されていくことや、その組織全体で成果ベースのビジネスモデルが求められるようになるだろうという話もありました。
そして、最後に「No change in the way you work = no impact」と、エンジニアの働き方を変えなければ、ビジネスを変えていくことはできないというメッセージがありました。

AI-Nativeな開発ってどんな開発だろう?

まず初めに、ここでいう「開発」がMVP開発なのか、実際の製品開発やその運用なのかという観点を分ける必要があると思います。

MVP開発なのであれば、今回発表されたGitHub SparkやV0などを活用すれば、短時間にまず動くものを作ることのハードルが下がっている流れを感じます。要件をあげることが人間の役割で、設計実装は全てAIがやってくれますね。

次に、私たちが業務で取り組むような、もっと大規模な実際の製品開発やその運用だとして、GitHub Copilotをはじめとするツールを活用することを考えてみます。
この場合には、各プロセスについて人間の承認が必要で開発プロセスそのものは変わっておらず、エンジニアの役割も大きくは変化していないように感じます。今はAIを活用した開発の段階で、AI-Nativeと言える開発に至るまでにはまだまだ大きな変化が待っていそうだなと考えています!

個人的には、変化は下流フェーズから起こるだろうと思っています。
実際に、実装の部分ではCopilot等のツールがコード生成を助けてくれている実感があること、また、紹介したセッションの中でも伝統的なテストエンジニアの役割が廃止されつつあり、MicroSoft社ではテストエンジニアの採用が減ってきているという事例が紹介されていました。
今回のイベントで、GitHub社の方やイベント参加者とディスカッションした際にも、Copilotのコード生成は機能要件は実現できるものの、非機能要件の実現については難しく、人間による判断や設計が必要だと感じる、との話が多く出てきていました。
機能要件の実装に関してAIが担うことができるのであれば、その実装に対応するテストの設計、実行もAIが自律的に実行できるようになっていくスピードは速いのではないかと考えています。

余談(セッション以外の感想など)

今回、初めてサンフランシスコに行ったのですが、Waymoという自動運転タクシーが走っていることに衝撃を受けました。サンフランシスコ市内は急な坂道も多く、運転しやすい街ではないと思いました。でも、そんな場所でまだまだ先のことだと思っていた自動運転が実現されていました。街の中を歩いていれば、運転席には誰も人が乗っていないWaymoと当たり前にすれ違います。
初めは乗るのに緊張していたのですが、いざ乗ってみると運転が荒めの人間の運転手さんよりも安心できるかも・・・という実感もあり、近未来を体験したようでとても感動しました!車の様々な箇所にある出っ張りの部分にセンサーやカメラが搭載されているそうです。

また、イベントでの女性登壇者・参加者の多さも印象的でした。2日間のKeynoteで登壇した11人のうち4人が女性です。日本国内の開発者イベント全般では登壇者が全て男性であることも珍しくないですよね。
ジェンダーフリーが叫ばれる時代ではありますが、女性は男性の3倍の量の言葉を話し、より共感的なコミュニケーションを好む傾向があるというような話もあります。
イベントの中ではAI-Nativeな時代の人間同士の交流や共感の重要性について言及があったり、今回発表されたGitHub Sparkなどの自然言語からアプリケーション開発の取り組みも始まったりしています。対話・共感や自然言語が重要になるような開発プロセスが広がると、IT業界においても女性の特性を活かせる場面が増えていくかもしれないとも感じています。私自身もエンジニアとして活躍できる領域を増やせるように頑張りたいなと気持ちが引き締まりました!

今回が初めての記事投稿でした。
ここまで読んでいただいた方、ありがとうございます。
それではまた、別の記事でお会いできたら嬉しいです。

#本記事の内容は個人的な所感や感想であり、組織の公式見解ではありません。

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