SEIL/x86はIIJが提供しているソフトウェアルータです。
標準ではシリアルポート経由で運用を行うことができないので、設定を変更します。
構成
- ディスプレイ/キーボードで行う設定を、シリアルポート経由で実施するようにする
メリット
- ディスプレイが無い環境でも不便なく利用できる
- 仮想環境で使用するときでも都合が良い(VNC等のグラフィック環境を経由せずに直に設定できる。CUI環境のKVMホスト上で使うときにも便利)
- シリアル経由で設定できるとネットワーク機器ぽくて嬉しい
設定方法の概要
ルータ上で直接に設定変更できれば良いのですが、できません。
ですのでSEIL/x86のディスクイメージをマウントし、直接設定を追加します。
- 設定変更のための環境を用意する
- サイトからディスクイメージをダウンロード
- ダウンロードしたイメージをマウントし設定追加
- カスタマイズしたディスクイメージを元にインストール
設定手順
1.設定変更のための環境を用意する
SEIL/x86のディスクイメージはUFSでフォーマットされています。
編集し設定する為にNetBSDの環境を用意します。(ちなみにSEIL/x86もNetBSDベースです)
インストール先は物理環境でも構いませんが、仮想環境(VMwareとかVirtualBoxとか)の方が手軽でしょう。
(備考)
- Linux環境からだとUFSの読書きが厳しい
- FreeBSDだと上手くマウントできなかった(多分、私の知識不足)
インストール時の要点としては
- 基本的はインストールウィザードに通りでOK
- SSHを有効にする
ぐらいでしょうか
インストールが完了したらrootでログインしてネットワークの設定を行います
netbsd# echo "dhclient=YES" >> /etc/rc.conf
netbsd# sh /etc/rc.d/dhclient start
netbsd# ifconfig
wm0: flags=8843<UP,BROADCAST,RUNNING,SIMPLEX,MULTICAST> mtu 1500
capabilities=2bf80<TSO4,IP4CSUM_Rx,IP4CSUM_Tx,TCP4CSUM_Rx,TCP4CSUM_Tx,UDP4CSUM_Rx,UDP4CSUM_Tx,TCP6CSUM_Tx,UDP6CSUM_Tx>
enabled=0
address: 00:1c:42:99:ec:02
media: Ethernet autoselect (none)
status: active
inet 192.168.0.100 netmask 0xffffff00 broadcast 192.168.0.255
inet6 fe80::21c:42ff:fe99:ec02%wm0 prefixlen 64 scopeid 0x1
必要に応じてSSHログイン用のユーザを作成します
netbsd# useradd -m -g wheel sshuser
2.サイトからディスクイメージをダウンロード
ダウンロードページからSEIL/x86本体をダウンロードします
いくつかの形式で提供されていますが、ここではdiskimage形式を使用します
ダウンロードが完了したらファイルを展開し、中身(bootdisk.img)を先ほどのNetBSD環境に転送します。
転送方法は何でも良いですが、SCP(scpコマンドやWinSCP等)を使用するのが簡単です。
3.ダウンロードしたイメージをマウントし設定追加
NetBSD環境にディスクイメージを転送したら設定を行います
まずイメージをマウントし編集できるようにします
netbsd# mkdir /mnt/diskimg
netbsd# vnconfig vnd0 bootdisk.img
netbsd# mount /dev/vnd0a /mnt/diskimg/
マウントしたイメージに設定(設定ファイル)を追加します
netbsd# echo "console=com0" >> /mnt/diskimg/boot.cfg
netbsd# echo "speed=38400" >> /mnt/diskimg/boot.cfg
(注意) SEIL/x86を導入する機器に複数のシリアルポートがある場合、ポート名が"com0"で無いかもしれません
追加したらイメージのマウントを解除します
netbsd# umount /dev/vnd0a
netbsd# vnconfig -u vnd0
これでbootdisk.imgへの設定追加は完了です。
完成したbootdisk.imgを分かりやすい名前で保存しておきましょう。
4.カスタマイズしたディスクイメージを元にインストール
完成したディスクイメージを通常の方法でディスクに書き込みます。
# dd if=./bootdisk-serial.img of=/dev/USBメモリやCF等
# dd if=./bootdisk-serial.img of=KVMの仮想ディスク等
書き込んだディスクから起動し、シリアルポート経由でアクセスできれば成功!