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PythonとJavaScriptの例外処理について

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プログラミングにおけるエラーと例外処理の基本

プログラミングにおいて、予期せぬ問題が発生することは避けられません。例えば、存在しないファイルを読み込もうとしたり、数値をゼロで割ろうとしたりするような場合です。このようなプログラム実行中に発生する問題を例外と呼びます。例外が発生すると、通常プログラムは途中で異常終了してしまいます。

しかし、例外処理を行うことで、このような例外が発生した場合でもプログラムが中断することなく、適切な対応をすることができます。この記事では、PythonとJavaScriptにおける例外処理の基本的な構文と具体的な使用例を解説します。

Pythonの例外処理

Pythonでは、try-exceptを用いて例外を処理します。これにより、エラーが発生する可能性のあるコードを監視し、実際にエラーが発生した場合には、あらかじめ定義しておいた処理を実行できます。

基本的な構文

try:
    # 例外が発生する可能性のある処理
    実行するコード
except 例外型:
    # 指定された例外が発生した場合の処理
    例外が発生した場合の処理
[except 別の例外型:]
    # 別の例外が発生した場合の処理 (必要に応じて複数記述可能)
[else:]
    # tryブロックで例外が発生しなかった場合の処理 (省略可能)
[finally:]
    # 例外の発生有無にかかわらず、最後に実行される処理 (省略可能)

具体的なコード例

  1. ゼロ除算エラー (ZeroDivisionError) の処理:

    x = 10
    y = 0
    try:
        result = x / y
        print("計算結果:", result)
    except ZeroDivisionError:
        print("エラー: 0で割ることはできません。")
    

    このコードでは、**tryブロック内でゼロ除算x / yを実行しようとしています。もしyが0の場合、ZeroDivisionErrorが発生します。この例外はexcept ZeroDivisionError:**ブロックで捕捉され、「エラー: 0で割ることはできません。」というメッセージが表示されます。プログラムは異常終了せずに続行します。

  2. 未定義の変数へのアクセス (NameError) の処理:

    try:
        print(undefined_variable)
    except NameError:
        print("エラー: 変数が定義されていません。")
    

    ここでは、未定義の変数undefined_variableにアクセスしようとしています。これにより**NameErrorが発生し、except NameError:**ブロック内の処理が実行されます。

  3. 複数の例外を処理する:

    x = 10
    y = 0
    z = 'abc'
    try:
        result = x / y
        print(z + 1) # TypeErrorが発生する可能性
    except ZeroDivisionError:
        print("エラー: 0で割ることはできません。")
    except TypeError:
        print("エラー: 型が一致しません。")
    except NameError:
        print("エラー: 変数が定義されていません。")
    

    複数の**except**ブロックを記述することで、異なる種類の例外に対して個別の処理を行うことができます。この例では、ゼロ除算エラーと型エラー (TypeError)、名前エラー (NameError) をそれぞれ処理しています。

  4. elseブロックの使用:

    def divide(a, b):
        try:
            result = a / b
        except ZeroDivisionError:
            print("エラー: 0で割ることはできません。")
        else:
            print("計算結果:", result)
    
    divide(10, 2)
    divide(10, 0)
    

    elseブロックは、tryブロック内で例外が発生しなかった場合のみ実行されます。上記の例では、divide(10, 2)はエラーなく計算できるため、「計算結果: 5.0」と表示された後、elseブロックの「計算結果: 5.0」が出力されます。一方、divide(10, 0)ではZeroDivisionErrorが発生するため、elseブロックは実行されません。

  5. finallyブロックの使用:

    try:
        f = open("sample.txt", "r")
        content = f.read()
        print(content)
    except FileNotFoundError:
        print("エラー: ファイルが見つかりません。")
    finally:
        if 'f' in locals() and f.closed is False:
            f.close()
            print("ファイルクローズ処理を実行しました。")
    

    finallyブロック内のコードは、tryブロックで例外が発生したかどうかに関わらず、tryブロックの終了時に必ず実行されます。ファイル操作の後処理(ここではファイルを閉じる処理)など、例外の有無にかかわらず実行する必要があるコードを記述するのに便利です。

  6. すべての例外をキャッチする (Exception):

    try:
        # 何らかの処理
        pass
    except Exception as e:
        print(f"予期せぬエラーが発生しました: {e}")
    

    **ExceptionはPythonのほとんどの組み込み例外の基底クラスです。except Exception:とすることで、システム終了以外のすべての例外を捕捉できます。例外オブジェクトはas**キーワードを使って変数(ここではe)に代入でき、エラーの詳細情報にアクセスできます。ただし、可能な限り具体的な例外型を指定する方が、予期しないエラーを適切に処理しやすいため推奨されます。

JavaScriptの例外処理

JavaScriptでも、try-catch-finallyを用いて例外を処理します。基本的な考え方はPythonと同様で、エラーが発生する可能性のあるコードを監視し、エラーが発生した場合には定義された処理を実行します。

基本的な構文

try {
  // 例外が発生する可能性のある処理
  実行するコード;
} catch (error) {
  // 例外が発生した場合の処理
  // errorオブジェクトには例外に関する情報が含まれる
} finally {
  // 例外の発生有無にかかわらず、最後に実行される処理 (省略可能)
}

具体的なコード例

  1. 基本的なtry-catchの使用:

    try {
      let num = 100;
      num = num + 1;
      nonExistentFunction(); // 存在しない関数を呼び出すとTypeErrorが発生する
      console.log("tryブロックの後の処理"); // エラーが発生するとこの行は実行されない
    } catch (error) {
      console.error("エラーが発生しました:", error);
      // errorオブジェクトにはnameとmessageプロパティなどがある
    }
    console.log("try-catchブロックの後の処理"); // エラーが発生してもこの行は実行される
    

    **tryブロック内のコードが上から順に実行されます。nonExistentFunction()の呼び出しでTypeErrorが発生すると、その時点でtryブロックの実行は中断され、catch (error)ブロック内のコードが実行されます。errorオブジェクトには、発生したエラーに関する情報が含まれており、ここではコンソールにエラーメッセージが出力されます。try-catch**ブロックの外にあるconsole.logは、エラーが発生しても実行されます。

  2. 意図的にエラーを発生させる (throw):

    function checkValue(value) {
      if (value > 20) {
        throw new Error("値が大きすぎます!");
      }
      console.log("値は正常です:", value);
    }
    
    try {
      checkValue(15);
      checkValue(30); // ここでエラーが発生
      console.log("tryブロックの後のcheckValue"); // エラーが発生するとこの行は実行されない
    } catch (error) {
      console.error("エラー:", error.message);
    }
    

    **throwステートメントを使うと、プログラム内で明示的にエラーを発生させることができます。checkValue関数では、引数valueが20より大きい場合に新しいErrorオブジェクトを作成し、throwしています。このthrowによって発生したエラーは、外側のtry-catchブロックのcatch**ブロックで捕捉され、エラーメッセージが表示されます。

  3. finallyブロックの使用:

    function processInput(input) {
      try {
        const num = parseInt(input);
        if (isNaN(num)) {
          throw new TypeError("数値ではありません。");
        }
        console.log("入力された数値:", num);
        return num * 2;
      } catch (error) {
        console.error("エラー:", error.message);
        return null;
      } finally {
        console.log("入力処理を終了します。"); // 例外の有無にかかわらず実行される
      }
    }
    
    console.log("結果:", processInput("123"));
    console.log("結果:", processInput("abc"));
    

    **finallyブロック内のコードは、tryブロックが正常に終了した場合でも、catch**ブロックでエラーが捕捉された場合でも、必ず最後に実行されます。上記の例では、processInput関数の引数が数値として解析できるかどうかにかかわらず、「入力処理を終了します。」というメッセージが最後に表示されます。これは、リソースの解放やログ出力など、必ず実行したい処理を記述するのに役立ちます。

まとめ

PythonとJavaScriptはどちらも、**try-except/catch文とオプションのfinallyブロックを提供することで、堅牢な例外処理を可能にしています。また、JavaScriptではthrow**ステートメントを使用して、プログラムの実行フローを制御するために意図的にエラーを発生させることができます。例外処理を適切に活用することで、予期せぬエラーによるプログラムの停止を防ぎ、ユーザーエクスペリエンスの向上に繋げることができます。

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