マーケティングには、日常的に触れない専門用語が多く存在します。これらの用語を理解することは、マーケターとの円滑なコミュニケーションや、ビジネスの機会損失を防ぐ上で重要です。本稿では、特に重要となる50のマーケティング用語を、ビジネスの流れに沿って解説します。
まず、マーケティング活動の成果を測る上で基本となる用語を理解しましょう。
- CPA (Cost Per Action) は、顧客獲得単価を意味し、例えば1万円の広告費で10人の新規顧客を獲得した場合、CPAは1000円となります。顧客が特定のアクション（問い合わせなど）を起こすのにかかったコストを示す指標です。
- CPO (Cost Per Order) は、顧客が実際に注文するまでにかかったコストを指します。CPAよりもさらに購入に近い段階のコストを示すため、より具体的な成果を測る指標となります。
- CV (Conversion) は、顧客が最終的な目標とする行動（購入、登録など）を起こしたことを意味し、日本語では制約と訳されます。
- CVR (Conversion Rate) は、コンバージョン率のことで、例えば100人がLINE登録し、そのうち10人が顧客になった場合、CVRは10%です。制約率とも呼ばれます。
- LTV (Life Time Value) は、顧客生涯価値と訳され、一人の顧客が生涯にわたって企業にもたらす利益を示します。CPOがLTVを下回っている場合、売れば売るほど赤字になる可能性があります。
次に、広告の費用対効果を測る指標として重要なものに、以下のものがあります。
- ROAS (Return On Advertising Spend) は、広告費用対効果のことで、かけた広告費に対して何倍の売上があったかを示す指標です。例えば、1万円の広告費で10万円の売上があった場合、ROASは1000%となります。
- ROI (Return On Investment) は、投資収益率のことで、ROASが売上ベースであるのに対し、ROIは利益ベースで投資効果を測ります。売上から原価などを差し引いた利益で計算されます。
広告運用に関する基本的な用語は以下の通りです。
- CPC (Cost Per Click) は、クリック単価のことで、1クリックあたりにかかった広告費用を示します。主に広告業界で用いられます。
- インプレッションは、広告が表示された回数を意味します。
- CTR (Click Through Rate) は、クリック率のことで、表示された広告がクリックされた割合を示します。
- PV (Page View) は、ページビューのことで、ウェブページが閲覧された回数を示します。一般的に、インプレッション数にCTRを掛けるとPV数になります。
目標設定と管理には、以下の用語が用いられます。
- KPI (Key Performance Indicator) は、重要業績評価指標のことで、目標達成に向けた中間指標となります。
- KGI (Key Goal Indicator) は、重要目標達成指標のことで、最終的な目標を示します。KPIはKGIを達成するための要素となります。
様々なマーケティング手法を理解することも重要です。
- DRM (Direct Response Marketing) は、ダイレクトレスポンスマーケティングの略で、リストに対してメールやLINEなどを通じて直接的な反応（レスポンス）を促し、成約に繋げるマーケティング手法を指します。
- リストマーケティングは、顧客や潜在顧客の連絡先リストを活用して行うマーケティングです。メールアドレス、電話番号、LINEなどがリストに含まれます。
- ファンマーケティングは、ファンを育成し、その熱狂的な支持によって売上を向上させるマーケティング手法です。
- インフルエンサーマーケティングは、影響力のある個人（インフルエンサー）に商品やサービスのPRを依頼するマーケティング手法です。
顧客を深く理解するための用語として、以下が挙げられます。
- カスタマージャーニーは、顧客が商品やサービスを認知してから購入に至るまでのプロセスを可視化したものです。
- ペルソナは、架空の顧客像を具体的に設定したもので、ターゲット顧客をより深く理解するために用いられます。
- セグメントは、顧客を特定の属性（年齢、性別、興味など）に基づいて分類したグループのことです。
- ターゲットは、自社の商品やサービスを提供する特定の顧客層のことです。ペルソナ設定やセグメント分析に基づいて決定されます。
効果的なコミュニケーションを図るためには、以下の用語を理解しましょう。
- キャッチコピー / コピーは、商品やサービスの魅力を短く表現し、顧客の注意を引くための文言です。
- コピーライティングは、顧客の行動を促すための文章を作成する技術です。
- ブランディングは、商品やサービス、企業に対する顧客のイメージを形成・向上させる活動です。
顧客を集めるための活動に関する用語は以下の通りです。
- アド (広告) / アドバタイズメントは、商品やサービスを宣伝するための活動全般を指します。
- リスティング広告 / 検索広告は、検索エンジンの検索結果に連動して表示される広告です。
- ディスプレイ広告は、ウェブサイトやアプリの広告枠に表示される画像や動画などの広告です。
- リターゲティング広告 / リタゲは、過去に自社サイトを訪れたユーザーなど、特定の行動を取ったユーザーに再度表示する広告です。
- SNS広告は、Facebook、Twitter、Instagramなどのソーシャルメディアプラットフォームに掲載される広告です。
- エンゲージメントは、**SNSなどにおけるユーザーの反応（いいね、コメント、シェアなど）**を示す指標です。
- オウンドメディアは、自社が所有・運営するメディア（ブログ、ウェブサイト、SNSアカウントなど）の総称です。
- SEO (Search Engine Optimization) は、検索エンジン最適化のことで、自社サイトが検索結果の上位に表示されるように対策することです。
- MEO (Map Engine Optimization) は、マップエンジン最適化のことで、Googleマップなどの地図検索エンジンで自社の情報が上位表示されるように対策することです。
集客した顧客を販売に繋げるための用語は以下の通りです。
- LP (Landing Page) / ランディングページ / 着地ページは、広告などを経由してユーザーが最初にアクセスするウェブページで、商品の購入や問い合わせなどの特定の行動を促すように設計されています。
- LPO (Landing Page Optimization) は、LP最適化のことで、LPのコンバージョン率を向上させるために分析・改善を行うことです。
- リストイン / オプトインは、顧客がメールマガジンやLINE公式アカウントなどに登録することを意味します。
- アフィリエイトは、成果報酬型広告のことで、他者に商品やサービスを紹介してもらい、その成果に応じて報酬を支払う仕組みです。
- ダブルオプトインは、リスト登録時に本人確認を二段階で行うことで、リストの質を高める手法です。
- バズは、口コミなどによって情報が爆発的に広まる現象を指します。
- エバーグリーンローンチは、特定の期間を設けず、常に商品やサービスの販売を行う手法です。
- プロダクトローンチは、新商品やサービスを一定期間に集中的にプロモーションし、販売する手法です。
- オファーは、顧客に対して提示する提案（商品内容、価格、特典など）のことです。
- クロージングは、販売プロセスの最終段階で、顧客に購入を決断させるための活動です。
- レター (販売ページ) は、商品やサービスの魅力を文章で伝え、購入を促すためのウェブページです。
- ウェビナー / Webセミナーは、オンラインで開催されるセミナー形式の販売手法です。
- セールス / 販売は、商品やサービスを顧客に提供し、対価を得る活動です。
既存顧客のLTVを向上させるための用語は以下の通りです。
- アップセルは、顧客が購入した商品よりも高価格帯の商品やサービスを勧めることです。
- クロスセルは、顧客が購入した商品とは別の種類の商品やサービスを合わせて勧めることです。
- ダウンセルは、顧客が高価格帯の商品を購入しなかった場合に、より低価格帯の商品やサービスを勧めることです。
これらのマーケティング用語を理解し、それぞれの指標を把握することで、より効果的なマーケティング戦略を立て、実行することが可能になります。日々の業務や学習を通じてこれらの用語に慣れ、自身のマーケティング力を高めていくことが重要です。