AI(機械学習)の使われ方は大きく3つに分類でき、目的に応じて必要なデータ量も異なります。この記事では、それぞれの使い方と必要なデータ量について詳しく説明します。
- モデルのパラメータを学習する方法
AIモデルを特定のタスクやドメインに最適化するため、データを用いてモデルのパラメータを学習する方法です。この場合、ファインチューニングやゼロからの学習(スクラッチ学習)も含まれます。
特徴: モデルの性能向上や、特定の用途に合わせた精度を得るために、データを使ってモデルのパラメータを更新・学習します。事前学習済みモデルがない場合や、より専門性の高いデータが必要なケースに適しています。
必要なデータ量: 数千~数百万件程度の大量のデータが求められ、データが豊富であればあるほどモデルの精度が向上します。
例: 医療診断や需要予測など、企業独自のデータでゼロからモデルを構築するケース。また、画像分類モデルのファインチューニングを行う場合も含まれます。
- 事前学習済みモデルの特徴量抽出機能を利用する方法
事前学習済みモデルをそのまま活用し、パラメータの更新は行わず、データから抽出される特徴量(ベクトル)を利用する方法です。これにより、少量のデータでも高い効果を得られるのが特徴です。
特徴: 事前学習済みモデルが持つ特徴量抽出機能を使って、分類やクラスタリングなどのタスクに適用します。モデルのパラメータは固定されたまま、データの特徴だけを活用するため、新規データ準備の負担が少ないです。
必要なデータ量: 数百~数千件のデータで十分で、少量のデータでも効果的に機能します。
例: 顔認証やテキストのテーマ分類など、特定の特徴を利用したタスクに最適です。
- 事前学習済みモデルをそのまま利用する方法
モデルのパラメータを変更せず、事前学習済みモデルをそのまま使用する方法です。この場合、学習やファインチューニングが不要で、少量のデータで即座に利用できるのが特徴です。
特徴: 事前学習済みモデルをそのまま利用し、新しいデータへの適応や調整が不要です。少量のプロンプトデータだけで有用な結果を得られるため、データ準備が非常に手軽です。
必要なデータ量: 最小限のデータ(数件~数十件)で十分です。
例: ChatGPTの質問応答やDALL-Eによる画像生成など、幅広いタスクに即座に対応できるシーンに適しています。
各方法のスケール感とデータ量のまとめ
1つ目の方法は特定ドメインに特化したタスクのために大量のデータを必要とし、2つ目は特徴量抽出のために少量のデータで済みます。3つ目は新規データがほぼ不要で、すぐに使える汎用的な方法です。
これらの分類は、AIをどのように活用するかを決める際の指針になります。使用する目的やデータの量に応じて、適切な方法を選択しましょう。
まとめ
AIの活用には、それぞれの方法に適したデータ量や学習方法が存在します。モデルの学習や特徴量の抽出、事前学習済みモデルの利用という3つのアプローチを理解することで、目的に応じた最適なAI利用が可能となります。