1. はじめに
自分とOSSの関わり
こんにちは。インプリムのhmineです。
ふだんの業務では、自社の製品である、OSSのノーコード・ローコード開発ツール「プリザンター」の機能追加や製品改良を担当しています。
お客様にとって、ノーコード・ローコード開発ツールの選択肢はいろいろとある中でも、「OSSである」ということが、プリザンターのサービス仕様上の大きな特徴です。
OSSであるために、お客様ご自身による実行環境の構築と動作検証が可能であり、しかもコード改変も可能という、個人利用やテック指向の方にとっても嬉しい仕様となっています。
2024/10/23時点でプリザンターはAGPL-3.0ライセンスに準拠しています。最新の状況は以下GitHubのページをご確認ください。
- Implem.Pleasanter
私は約1年前にプリザンターの開発チームにジョインしました。そういったプロダクト成立の背景を鑑みて企画を立案する必要があると、最近意識しはじめたところです。
その延長上で、OSS業界全体の動向にも興味をもちはじめました。
今回視聴したイベント
2024/10/18(金)~2024/10/19(土)に開催された「オープンソースカンファレンス2024 Online Fall」のYouTube Liveを視聴し、国内または世界規模で現在進行しているOSSプロジェクトの最先端の事情について、セッションをいくつか伺いました。
本記事は、リアルタイム視聴したセッションについての簡単なレポートです。
2. リアルタイム視聴したセッションのレポート
サマリ
●2日目 2024/10/19(土)の以下セッションをリアルタイム視聴しました。
会場 | タイトル |
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A | ActiveDrectoryだけじゃない!WindowsでLDAPサーバを動かそう! |
B | 生成AI入門 |
A | 再認識Linux Professional Institute認定の概要とメンバーシッププログラム |
C | 関数型言語Elixirで組み込みLinux開発ができるNervesの紹介 |
B | 【MTG】BSDなひととき |
C | Debian Updates |
C | PostgreSQL Update 2024 |
A | ライトニングトーク |
●参考情報:タイムテーブル
コメント
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ActiveDrectoryだけじゃない!WindowsでLDAPサーバを動かそう!
- 「LDAPとは何か?」の解説からスタート。OpenDJの歴史的背景や強みについての講義。OpenDJのインストールから、Redmine連携/Apache連携までおこなうデモ。業務利用でメジャーなActiveDirectoryとの比較解説がわかりやすかった
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生成AI入門
- AIが社会的に認知されるきっかけになった画像生成AI。現代の汎用型AIである大規模言語AI。この2種のAIを中心に、生成AIの社会的影響やエンジニアが習得すべきAIの使い方についての講義。よく耳にするキーワードの総復習として繰り返し見直したい
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再認識Linux Professional Institute認定の概要とメンバーシッププログラム
- IT業界にいれば一度は耳にするLPIC。実際受験する場合はどのように受験するのか、試験区分はどのようになっているのかを総まとめ。LPIC以外ではWeb開発やセキュリティ等の各分野に特化したEssentialsの紹介も
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関数型言語Elixirで組み込みLinux開発ができるNervesの紹介
- 個人的にふだんの業務で触らない「組み込みシステム」について講義をうかがえる機会のため参加。Web開発でも使われているプログラミング言語Elixirの起源、Elixirを動作させるErlangの仮想環境、そして本題、組み込みシステムの開発をElixirで行えるOSS・Nervesについて。前述のようなバックグラウンドに基づく強み説明とデモ
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【MTG】BSDなひととき
- 個人的にふだんの業務で触らない「組み込みシステム」について講義をうかがえる機会のため参加。ワークステーションLUNAの「現在日本で動いているのは4~5台」というパワーワード
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Debian Updates
- Linuxディストリビューション等で知られるOS開発プロジェクト「Debian」の最新情報。韓国・釜山で行われるカンファレンスや、次の安定板Debian13の開発について
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PostgreSQL Update 2024
- 記憶に新しいPostgreSQL17のリリース。約15年前まだ性能問題も残されていた時代のリリースから、バージョンアップを重ね安定してリリースされるようになった現在まで、PostgreSQLのバージョンアップの歴史を総ざらい。あらゆる要件にマッチするPostgreSQLの強みの紹介
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ライトニングトーク
- さまざまな、5分間の濃いLT
3. 個人的に印象に残ったお話
「PostgreSQL Update 2024」 のいくつかのお話が印象に残りました。
- PostgreSQLは、処理のソースコードがきれい
- →きれいなコード、きになります!
- 企業から独立したソフトウェアであるが、AWSやAzure等ビッグテック企業のエンジニアが開発に貢献する取り決めがある
- →すごい体制のプロジェクトだと思いました!
- 位置情報、JSON、pgvector等の「キラー」ともいうべき強み(半面、向いていないのはIoTの処理等でよくある短期間、大量データの書き込み処理)
- →強みを知ってDBを活用したいです!
4. おわりに
私は、OSSコミュニティに関わるいくつかセッションを、2つの立場から視聴していました。
1. インフラの利用者として
プリザンター開発者であるということは、LinuxOSやデータベースといった、Webシステム構築に必須なインフラの利用者であるということです。各システムの特性を十分に引き出すため、経験・知識は日々アップデートが欠かせません。
2. OSSの開発者として
ローコード・ノーコード開発ツールという、プラットフォーム寄りのツールの側面も持つプリザンター。業務システム利用はもちろん、テック系業務の支援ツールとしてエンジニアのみなさまにも嬉しいツールになるように、今回お話をうかがった偉大な先行OSSプロジェクトから多くを学びたいと思いました。
以前からハードスキルの強化という個人の目標を立てていましたが、「無数のIT技術が存在する中で何を強化すべきか?」は何度考えても迷子になってしまうところです。
自社製品のOSS業界上の立ち位置からヒントを得られればと思う、今日この頃です。