2023年10月4日5日に 『PLATEAUサミット (自治体交流会) in 茅野』 が長野県茅野市で開催されました。
公式レポートはこちら (国土交通省 Project PLATEAU Webサイト)
このイベントのファリシテーションを 古橋先生といっしょに拝命いたしました。
その一環で「PLATEAU 1st Step to RPRP (Regional Pride Role Play)」 というワークショップ(シリアスカードゲーム!?)をつくったのでその経緯をここにメモします。
つくりはじめたのは8月ごろだったでしょうか。
全国から自治体のPLATEAU担当者さんが集まるのですが、事前アンケートなどから 「PLATEAU をどう活用していくか」 について、やはり関心がつよいことがわかりました。
それぞれの担当者さんは、普段から Project PLATEAU のWebサイトほか、たくさんの情報をすでに研究されています。
それらのユースケースを紹介していったとしても、驚きや学びは少ないでしょう。
もっとなにか「気づいて」いただけるセッションを用意できないか。
そういう観点から「新しいワークショップをつくってしまおう」となりました。
いろいろな要素から検討したのですが目的を整理すると次の3点を大切にしながら組み立てました。
- よその自治体の事例を受け身で学ぶのではなく、自分ごとにして考えてもらいたい。(また、現段階での事例は成功事例というより挑戦事例も多くシンプルに横展開できる状況のものは多くはない)
- 通常業務やいままでに調べた Project PLATEAU の固定概念に囚われずに発想を広げてもらいたい
- せっかくリアルイベントで一同に会するのだから、普段会えない他の自治体の同じ立ち位置の方と仲良くなっていただいて、イベント終了後もオンラインなどで PLATEAU の現場情報を交換し切磋琢磨できるような関係性を築いて欲しい
いろいろ相談する中(主に Facebook Messenger のグルチャ そして時々のオンラインMTGで)
- 仲良くなってもらうためにはグループワーク形式はどうだろう
程度からワークショップの輪郭をつくりはじめたのですが、やはりなにかしら「芯」となるようなものを探しました。
そんななか古橋先生から 「『PLATEAU 1st Step』 というユースケース開発ガイドを国土交通省が準備していて内山さんも推している。これをストーリーに載せてみるのはどうだろうか」と提案がありました。
私は勉強不足だったため、その開発ガイド(冊子)の存在を知らなかったのですが、紐解いてみるとたしかに自治体の担当者さんが第一歩 (1st Step) を踏み出すためのガイドとしてとてもしっかりしている。
と同時に、「ひとりでただ読んだだけだと、なかなか血肉にもならないだろうな」、「これをワークショップの『芯』として活用させていただと、サイズ的に2時間くらい考える時間をつくれそうだな」と感じました。
さてそうなってくると、あとはいかに「自分ごと」にしつつ「発想を広げてもらう」仕組みをどう作るかです。
そんなこんなで、追加で次の仮説が生まれてきました。
- 発想を広げてもらうためには何か役割を演じてもらう手法が最適かもしれない(いわゆるロールプレイ)
- 課題地域についても(自分ごとだからと)実際に働いている自治体を対象に考えはじめると、知りすぎていることが発想を閉じてしまうことにつながるかもしれないし、産みの苦しみ的なのに悩まされそうだから、地域自体もペルソナ化してしまったほうが面白くなりそう。
です。
そこにワークショップ作りはオンラインコミュニケーションではあったのですが阿吽の呼吸?で「プロトタイプ的なワークショップになってもいいから、参加者が面白いと感じながら学べる仕組みにしたい」というコンセプトもしっかりもっていました。
そこで確か
「カードゲームっぽくしてみませんか」
とふと思いつきました。
個人的にロールプレイといえば、TRPG で D&D で、、、カードを自分で書いたりしながら、、、ダイスもふって、、、という素養というか趣味というかそこからくる固定概念も加味しつつ
イベントの当日スケジュールが
「午前は 『PLATEAU CMS ハンズオン』 受け身でデジタルなパソコン業務っぽい時間」
という内容が決まりつつあったので、1日の全体設計を鑑みて
「午後は自発的に手や脳を動かすアナログなゲーム感覚を大事にする時間」
と、メリハリをつくりたかったのです。
「なにか手触りあるツール」
をアナログ的につかって、手や脳をうごかしてもらうシーンがちょうどいいのでは?とも感じ始めていた頃でした。
ここまで決まるのもそこそこ早かったのですが、それなりに産みの苦しみがありました。
ですがここから古橋先生との共同作業、めっちゃ早くて楽しかったです。(文を書いている途中ですがありがとうございました)
まず
(古) 「地域のペルソナは ChatGPT に考えてもらおう」
と、オンラインMTG中になんらかのスクリプトを与えられて、生成がはじまり、ざざざっと、いいかんじのサンプルができあがったのです。
秒ですよ。秒! (ほんとは30秒くらい)
## 自治体のペルソナパラメータ
1. **地域特性**:大都市
- **推定人口**:3,000,000人
- **面積**:500平方キロメートル
- **主要産業**:金融、情報技術、観光
- **首長の性格**:積極的
2. **地域特性**:郊外
- **推定人口**:150,000人
- **面積**:300平方キロメートル
- **主要産業**:農業、商業
- **首長の性格**:保守的
3. **地域特性**:中山間地域
- **推定人口**:8,000人
- **面積**:1,200平方キロメートル
- **主要産業**:林業、観光
- **首長の性格**:積極的
4. **地域特性**:大都市
- **推定人口**:5,000,000人
- **面積**:650平方キロメートル
- **主要産業**:商業、エンターテインメント、建設
- **首長の性格**:保守的
5. **地域特性**:郊外
- **推定人口**:300,000人
- **面積**:500平方キロメートル
- **主要産業**:製造業、物流
- **首長の性格**:積極的
6. **地域特性**:中山間地域
- **推定人口**:12,000人
- **面積**:1,500平方キロメートル
- **主要産業**:漁業、手工業
- **首長の性格**:保守的
7. **地域特性**:大都市
- **推定人口**:1,500,000人
- **面積**:400平方キロメートル
- **主要産業**:教育、医療、研究開発
- **首長の性格**:積極的
8. **地域特性**:郊外
- **推定人口**:100,000人
- **面積**:350平方キロメートル
- **主要産業**:酪農、観光
- **首長の性格**:積極的
9. **地域特性**:中山間地域
- **推定人口**:5,000人
- **面積**:900平方キロメートル
- **主要産業**:鉱業、観光
- **首長の性格**:積極的
10. **地域特性**:大都市
- **推定人口**:4,000,000人
- **面積**:600平方キロメートル
- **主要産業**:不動産、メディア、IT
- **首長の性格**:保守的
これだけで、わくわくしてきました。
役割カードをつくるにしても
- 普段は首長さんや議会さんにアレコレいわれてるかも(おっと)しれないから、そっちの立場になってみるのは?
- 発想をどんどんひろげていただくために、無責任な新入職員はどうだろう。ルーキーって呼んだ方が面白みがでないかな?
- 首長さんも正確が保守派か革新派かによって、意見の組み立てが変わるよね。
GenAI に負けてられないぞ!と、どんどんアイデアがでてきます。
他のカードなにがあったらいいだろう
- 予算も大事だよね。
- 少なかったら知恵を捻るよね
- 青天井だと何を思いつくだろう
- ハプニング or ラッキー カードみたいな要素があるとすこしゲーム要素とならないか
- 震災や洪水は抑えで
- 首長が選挙で急に変わるのはどうだろう
- 映画や大河ドラマのロケ地決定と 3D都市モデルは関係しないかな
とても楽しいブレーンストーミングでした。
そして「ワークショップの名前どうしようか?」も、半分くらい ChatGPT にアイデアだしを助けていただきつつ
「Regional Pride と Roll Play が 両方 RP だから、なんか RPRP がいいんじゃない?」
と、
「PLATEAU 1st Step to RPRP (Regional Pride Role Play)」
と決定しました。
まず試しにちいさくプリンターで作ってみて雰囲気を確認しつつ
ワークショップ自体がプロトタイピングな実験段階なので制作予算はゼロにちかいのだけど、とはいえカードをプリンター自作だとちょっと手触り感がダサい仕上がりになりそうでそれだとテンションがさがちゃうかもなので、リーズナブルなカード印刷屋さんをさがしつつ、、、デザインもライセンスがオッケーな素材を切り貼りして、、、D.I.Y で、、、
印刷台紙の割り付け的に余りもあったので、遊びでスタッフカードも
(あとでもちょっと画像あれば差し込みます)
いつもデジタルな手でさわれないものをつくることがほとんどなので、カードが物理で届くとワクワクしますね。
そして、そのワクワク感そのままに、いよいよ迎えた当日。
詳しくは イベントの公式レポート に丁寧に書いていただいていますので省略しますが、
「参加者のみなさんがきちんと主役となって、考えて、発表して、一緒に楽しい時間をつくっていただいたファシリテーション側としても感謝感謝のワークショップになりました」
本当にありがとうございました。