はじめに
本記事は Bing Chat Enterprise を使用して、学習指導案、指導計画、発問、総合評価問題を作れるかどうかを実験した結果です。
なぜ Bing Chat Enterprise を使用するのか
対話型生成AIサービスといえば、OpenAI の ChatGPT が有名です。Microsoft も個人が利用できる Bing Chat と組織が利用できる Bing Chat Entperise の2種類のサービスを提供しています。では Bing Chat Enterprise を使うべきなのでしょうか。
Bing Chat Enterprise の 「プライバシーと保護」についてのドキュメント を見ると 「Microsoft はプロンプトと応答を保持しないため、基になる大きな言語モデルのトレーニング セットの一部として使用することはできません。」 と書かれています。要するに、ユーザーが入力した情報やその回答はマイクロソフトが利用しないため、情報漏洩の心配がないのです。
教育機関が Bing Chat Enterprise を使用するにはどうすればよいのか
Bing Chat Enterprise は、Microsoft 365 A3 もしくは A5 の教員向け(Faculty)ライセンスを付与されたユーザーのみが利用できます。
前提条件
Bing Chat Enteprise を使用してこれらの資料を作成する際は、文部科学省が作成した 小学校学習指導要領解説 を参照させました。
本記事では 【社会編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 を使って社会の指導案、指導契約書、発話計画を作成してみます。
指導案、指導計画案の下書きの作成
プロンプト
あなたは小学校の社会科の教師です。
{指導要領解説}を参照して、社会科学の{指導案}を作成します。
{単元名}: 安全な暮らしを守る
{指導案}を作成: 以下の項目をいれること。
- {単元名}:
- {単元名}の目標を箇条書きで作成
- {児童観}を箇条書きで作成
- {教材観}を箇条書きで作成
- {指導観}を箇条書きで作成
- {単元名}の観点別評価基準は以下の3項目
- {知識・技能}を箇条書きで作成
- {思考・判断・表現}を箇条書きで作成
- {主体的に学習に取り組む態度}を箇条書きで作成
{指導計画案}を作成: 以下の盲目に沿った形で、学習活動を箇条書き作成する。
-導入: 問題、課題をつかむ、見通す
-展開: 調べる、調べたことを発表し、全体で話し合う
-終末: 調べたことを元に、学習問題についてまとめる
# 参照情報
{児童観}: 児童観とは子供はどのようなものであるかについてのおとなの見方。目標から俯瞰した子どもたちの実態を表現します。
{教材観}: 教材観とはその単元(教材)で教師が教えたい学習内容と学習方法である。 その時間でしか教えることができない内容を書く。
{指導観}: 指導観とは何か 指導観とは、教えたい内容と子どもの実態のズレを埋めるために、どのような指導をするのかをいうことだ。 子どもを目標に近づけるための手立てである。
{指導要領解説}
https://www.mext.go.jp/content/20230308-mxt_kyoiku02-100002607_003.pdf
出力結果
発問計画の作成
この指導計画を元に45分の授業での発問計画を作成させます。
この指導案、指導計画案を参照し、45分の授業の発問計画を作成してください。
教員主導の典型的な授業だとの指摘を受けたので、以下のプロンプトを追加して、発話計画を再作成してみました。
教師主導の授業ではなく、学習者が自ら学ぶ授業にします。
自分たちで仮説を立て、検討し、試行錯誤し、解決方法を見つけていく授業計画を作成させます。インターネット検索ができる端末を使うようにします。
総合評価問題の作成
プロンプト
- 総括的評価を行うための例題を5問作成してください。
- 10問の構成は、記述式の問題を2問、単一選択式の問題を1問、複数選択式の問題を1問、穴埋め問題を1問とします。
- 100点を満点として点数配分も例示してください。