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生成AIを活用した探求学習ガイドブック #2 (初等教育段階編)

Last updated at Posted at 2024-10-31

はじめに

教育において生成AIの活用が進む中、本書では特に初等教育段階に焦点を当て、生成AIを用いた探求学習の具体的な活用シナリオやプロンプト例を紹介しています。生成AIは、学習者が日常生活や自然の中で新たな発見を得るきっかけを作り、学びを深めるための強力なサポートツールとなり得ます。しかし、生成AIの利用には学習者の発達段階を考慮した慎重なアプローチが必要であり、学習者自身が答えにたどり着くための手助けを行う存在として活用されるべきです。

「生成AIを活用した探求学習ガイドブック #1」では、生成AIの基本的な活用方法とその教育的な意義について触れ、初等教育から高等教育にわたる様々な学年段階における生成AIの利用について説明しました。本書 「生成AIを活用した探求型学習ガイドブック #2」 では、特に初等教育段階において、学習者が主体的に探求を進められるよう、生成AIをどのように活用するかを具体的なシナリオとプロンプト例を交えて解説します。

本書の目的と構成

本書の目的は、初等教育段階での探求型学習に生成AIをどのように取り入れ、学習者が自ら疑問を持ち、それを解決するプロセスを支援する方法を提案することです。生成AIが示す情報や提示するヒントを活用しながらも、学習者が主体的に考えを進め、課題に取り組む力を養うためのガイドラインを提供します。

構成としては、まず初等教育段階における生成AI活用の意義と、探求型学習における生成AIの役割を概説します。その後、具体的な探求シナリオや生成AIによる支援の方法について、プロンプト例を交えながら解説します。学習者が自分で答えにたどり着けるような「ヒントの出し方」や、探求活動のプロセスを支える生成AIの活用ポイントについても詳細に説明します。さらに、生成AIを効果的に使うためのプロンプト設計や、生成AIの活用における注意点についても触れています。

初等教育段階での生成AIの意義

初等教育段階の学習者は、身の回りの現象や自然の仕組みに対して好奇心を持ち、疑問を抱きやすい時期です。生成AIはこうした学習者の素朴な疑問に対して、答えを直接教えるのではなく、考察を深めるためのヒントや情報を適切に提供するサポート役 としての役割を果たします。生成AIを通じて学習者が新しい視点を得ることで、学びに対する興味を引き出し、より主体的な学びへとつなげることができます。

たとえば、学習者が 「どうして空は青いの?」 という疑問を持ったときに、生成AIが光の屈折や大気の性質に関連する情報や問いかけを提供することで、学習者は自ら答えを探る道筋を考え始めます。生成AIの意義は、単なる知識の提供者ではなく、学びのプロセスを支え、学習者の好奇心を高める役割を果たす点にあります。

ソクラテス式問答法プロンプト

学習者が自ら答えにたどり着けるように、直接答えを教えずヒントを与える方法があります。その時に利用するテクニックがソクラテス式問答法です。この方法は、古代ギリシャの哲学者ソクラテスが用いた、対話を通して相手の思考を深め、自己発見を促す教育の技法です。

ここでは、初等教育における生成AIの活用として、学習者が自ら答えを見つけ出せるよう支援するためにソクラテス式問答法を利用します。この方法を取り入れることで、生成AIは学習者の質問に対して直接答えを教えるのではなく、考えを深められるようなヒントを提示し、学習者が自己の力で解答にたどり着けるようサポートします。

ソクラテス式問答法の特徴

  • 思考を引き出す質問の提示
    ソクラテス式問答法では、「なぜそう思うのか?」「他には何が考えられるか?」といった問いかけを用い、学習者のさらなる思考を促します。生成AIもこの技法を通じて学習者が自分の考えを深め、納得に至るプロセスをサポートします。

  • 学習者の主体的な学びの促進
    学習者が自らの発見を体験できるようにすることで、単なる暗記ではなく、理解を重視した学びを促します。生成AIは、ヒントの提供を通じて、学習者が自主的に問題に取り組む姿勢を育みます。

  • 新たな視点や矛盾への気づきを促す
    学習者の意見に対してあえて異なる視点や矛盾点を示すことで、柔軟な思考と問題解決能力を鍛えます。生成AIは、適切なタイミングで新しい視点を提示し、学びの深さを広げます。

ソクラテス式問答法の目的と効果

このテクニックを活用することで、学習者は自分で考える力を養うことができ、単なる知識の取得に留まらず、クリティカルシンキング(批判的思考)や論理的思考の向上が期待されます。生成AIは、教育現場でこのような深い思考のトレーニングを支援するパートナーとして機能します。

ソクラテス式問答法を生成AIに活用することで、学習者は答えにたどり着く過程を自ら体験し、自信を持って答えを導き出せるようになります。

以下にソクラテス式問答法プロンプトを示します。

あなたは教員です。児童が質問した時に、ソクラテス式問答法を使って、少しずつ正解に近づけるようなヒントを与えてください。児童は小学3年生で、深く考えられるよう年齢に合った簡単な言葉や具体的な例を使ってください。また、質問内容に応じて、結論に至るための複数のステップを踏んで対話を進め、子供が自分の答えに自信を持てるようにしてください。まずはじめに「何か質問はありますか?」と聞いてください。

※ このプロンプトは、Microsoft Copilot だとうまく動きません。ChatGPTなどを使って試してみてください。

探求型学習と生成AIの役割

探求型学習は、学習者が疑問を持ち、自ら問いを立て、その答えを探るプロセスを中心とする学びの形です。このプロセスの中で、生成AIは重要な支援役を果たします。生成AIが提供するヒントや視点は、学習者が自分の考えを深め、複数の視点から問題を捉える手助けとなります。AIがただ答えを示すのではなく、学習者が試行錯誤を繰り返しながら解答に近づけるような 「ナビゲーション」 としての役割を担うことが重要です。

本書では、生成AIが初等教育段階における探求型学習のプロセスをどう支援するかについて、具体的なシナリオとプロンプト例を通して説明しています。生成AIを通じて得られる新しい視点は、学習者が疑問を解決するための考察を促し、最終的には学習者自身が解答を見つける力を身につけるためのサポートとなります。

第1章 初等教育段階での探求型学習とは

初等教育段階における探求型学習は、学習者が自ら問いを立て、観察や考察を通じて疑問を解決するプロセスに重きを置く学びの形です。このプロセスに生成AIを組み合わせることで、学習者の主体的な学びを促進し、思考の深まりを支援することが可能となります。本章では、探求型学習の基本概念と初等教育段階の学習者の特徴、そして生成AIがどのように探求型学習を支援するかについて解説します。

1.1 探求型学習の基本概念

探求型学習とは、学習者が自ら課題や問いを発見し、その解決に向けて観察や調査、考察を重ねていくプロセスを重視する学習方法です。探求型学習では、学習者が受け身ではなく、能動的に学びを進めることが求められます。教師は知識を一方的に伝えるのではなく、学習者の発見や気づきを支援し、探求の過程をナビゲートする役割を担います。

探求型学習の利点は、学習者が自ら問題解決のプロセスを経験し、思考力や創造力、批判的思考を養える点にあります。また、実際の生活や身の回りの事象に基づいた課題を扱うことで、学びがより実感を伴ったものとなり、学習者が「なぜ学ぶのか」を実感することができます。これにより、学習者の学びに対する意欲や主体性が向上し、深い理解につながります。

1.2 初等教育段階の学習者の特徴

初等教育段階の学習者は、好奇心が旺盛で、日常生活や自然の中で新しい発見をすることに対して高い興味を示します。まだ論理的な思考が発達段階にあるため、複雑な概念を扱うのは難しい場合もありますが、素朴な疑問を持つ力に優れており、探求型学習に適した特性を備えています。この時期に適切な支援を行うことで、学習者は自分で答えを見つける喜びや、学びのプロセスそのものを楽しむことができます。

また、初等教育段階の学習者は、知識を得るために多くのヒントや具体例を必要とすることが多く、教師のサポートが不可欠です。生成AIの活用により、学習者にとって理解しやすい形で情報を提供したり、考えるきっかけとなる問いを投げかけたりすることで、学習者が主体的に探求を進める土壌を整えることが可能です。

1.3 探求型学習における生成AIの役割

生成AIは、学習者が自らの問いを深め、答えにたどり着くためのサポート役として探求型学習に組み込むことができます。AIは学習者に直接答えを提供するのではなく、学習者が「自分で考える」ためのヒントや視点を示すことで、思考のプロセスを支援します。生成AIは大量の情報や知識をもとに、学習者の関心に合わせて補足的な資料を提示したり、考察の視点を示したりすることが可能です。

たとえば、学習者が「どうして植物は太陽の方向に向かって成長するのか?」という疑問を持ったとき、生成AIは「光が植物に与える影響について考えてみよう」といった問いを通じて、学習者が自ら考えを巡らせるきっかけを与えます。また、生成AIは視覚的な資料や具体例を示すこともでき、学習者が理解しやすい形で情報に触れる機会を提供します。

生成AIの役割は、学習者が主体的に探求を進め、考える力を伸ばすための補助として機能する点にあります。教師が生成AIを効果的に活用することで、学習者の思考や創造性を引き出し、探求型学習の質を高めることができるでしょう。

第2章 初等教育における生成AI活用の基本方針

初等教育段階において生成AIを効果的に活用するためには、学習者の発達段階や探求の特性に配慮したアプローチが求められます。この章では、学習者が主体的に学びを進められるよう生成AIがどのように支援できるかについて、基本方針を示します。生成AIは、学習者が自分で答えを見つけられるよう考察を促すためのツールとして活用されるべきであり、安易に「答えを教える」存在にはならない ことが重要です。

2.1 学習者が主体的に考えるプロセスの支援

生成AIは、学習者が主体的に考えるプロセスをサポートするためのツールです。学習者が何か疑問を抱いたとき、AIは即答を提供するのではなく、考えを深めるためのヒントを提示することで、学習者が自ら考察するプロセスを支援します。探求型学習において、学習者が自分の頭で考え、試行錯誤を重ねていく過程が重要であり、生成AIの役割は、その過程を補助する「サポーター」として位置づけられます。

たとえば、学習者が「雨はどうやってできるの?」と疑問を持ったとき、生成AIは「空にはどんなものがあるか調べてみよう」「雨が降るときには空でどんなことが起こっているかな?」といった問いを投げかけることで、学習者が自分で考えるきっかけを提供します。このように、生成AIが適切なヒントや質問を提示することで、学習者が能動的に探求を進められるよう支援します。

2.2 答えを提供するのではなく、考察を促すヒントの提示

生成AIは、学習者に直接「答え」を示すのではなく、学習者がその答えに自らたどり着けるように「考察を促すヒント」を提供します。初等教育段階の学習者は、自分で考える力を育むためのプロセスが非常に重要であり、生成AIが「答えを教える」ツールになると、このプロセスが損なわれてしまいます。そのため、生成AIの活用方法として、考察を促すヒントや視点を提供することが推奨されます。

たとえば、学習者が「植物はどうして太陽の方に向かって成長するの?」と疑問を抱いた場合、生成AIは「植物にとって太陽はどんな役割を果たしているか考えてみよう」「植物が光の方向に向かうことは何に役立つのかな?」といったヒントを出し、学習者が自分で答えを考えられるように促します。このように、生成AIは学習者が考えを発展させ、答えを見出すための道筋を示す存在として機能します。

2.3 学習内容と発達段階に応じたAI活用の留意点

初等教育段階において生成AIを活用する際には、学習者の発達段階と学習内容に合わせた配慮が必要です。特に初等教育の学習者は、知識や論理的思考がまだ発展途上であるため、生成AIの情報提供が過剰になると学習者の思考力や自発的な学びの意欲が損なわれる可能性があります。そのため、生成AIは学習者の理解度や発達段階に応じて、情報の量や深さを調整し、適切な支援を提供する必要があります。

たとえば、学習者が「水はどうして川を流れるの?」と質問した際、生成AIは「高いところから低いところに流れる仕組み」について簡潔に示し、より深い内容は学習者が考えるように促します。こうした配慮により、学習者の発達段階に応じた負担の少ない情報提供が可能となり、学びの中で自分なりの発見を得られるようになります。

生成AIは、学習者の発達段階を理解した上で効果的に活用することで、学習者の興味を引き出し、自ら考え行動する力を育てるサポート役として教育現場で活躍できるのです。

第3章 生成AI活用のシナリオとプロンプト例

初等教育段階で生成AIを活用する際には、学習者が日常生活の中で疑問を見つけ、自分で考え答えにたどり着けるように支援することが重要です。本章では、生成AIをどのように探求型学習に組み込み、学習者が主体的に課題に取り組めるようなシナリオとプロンプト例を紹介します。

3.1 身の回りの課題発見と探求

初等教育段階の学習者は、身の回りのものごとに対して「どうして?」「なぜ?」という素朴な疑問を抱きやすいです。生成AIは、こうした学習者の疑問に対して答えを直接教えるのではなく、考えるプロセスを支援するヒントを提供することで、学習者が自ら考察を深められるようサポートします。学習者が日常生活で感じた疑問を探求に発展させ、観察力や考察力を養うためのシナリオとして、以下の事例を紹介します。

3.1.1 シナリオ例:「身の回りの不思議を見つける」

このシナリオでは、学習者が日常生活で感じた疑問を探求する力を育てることを目的としています。例えば、「どうして石けんで手を洗うと汚れが落ちるのか?」「なぜ木の葉は秋になると色が変わるのか?」といった日常の中の不思議に目を向け、そこから考察を進める力を養います。

生成AIは、こうした疑問に対して直接的な答えを示すのではなく、考えを広げるためのヒントや関連する情報を提供します。学習者が気づきや発見を得られるよう、生成AIがナビゲーターとなり、考える道筋を示します。

プロンプト例:日常の疑問を広げるためのヒント提供

以下は、学習者が日常の疑問を深める際に生成AIが提供するプロンプト例です。

  • プロンプト例1

    • 目的: 学習者が「どうして石けんで手を洗うと汚れが落ちるのか?」という疑問を深めるためのヒントを出す。
    • 生成AIへの依頼:
      「 小学生でも理解できるように、石けんで汚れが落ちる仕組みを考えるための質問をいくつか考えてください。石けんの成分や手の汚れに注目し、できるだけわかりやすく具体的な例を含めた質問にしてください。」
  • プロンプト例2:

    • 目的: 学習者が「秋になると葉っぱの色が変わる理由」について考える際のガイドを提供する。
    • 生成AIへの依頼:
      「小学生が理解できるように、秋に葉っぱの色が変わる理由を考えるための質問やヒントを出してください。色素や季節の変化に触れながら、学習者の好奇心を引き出す簡単で親しみやすい例を入れてください。」
  • プロンプト例3

    • 目的: 学習者が「なぜ空は青いのか?」という疑問を持った際に、自分で考えを進められるようにする。
    • 生成AIへの依頼:
      「空が青い理由について、小学生でも考えられるような視点で質問を考えてください。光や空気に関するヒントを使い、簡単でわかりやすく、日常生活で見つけられる例や観察ポイントも含めてください。」
  • プロンプト例4

    • 目的: 学習者が「植物が太陽の方向に向かって成長する理由」を考える際に役立つヒントを生成する。
    • 生成AIへの依頼:
      「小学生が理解できるように、植物が太陽の方向に成長する理由を考えられるような質問を作ってください。光と植物の関係や光合成について、簡単で親しみやすい例を含む問いかけにしてください。たとえば、植物が光を求める様子や、光が植物にとってどんな役割を果たしているかを考えさせる質問が望ましいです。」
  • プロンプト例5

    • 目的: 学習者が「どうして水は川を流れるのか?」という疑問を持った際の考察をサポートする。
    • 生成AIへの依頼:
      「小学生でもわかりやすいように、水が川を流れる理由について考えさせる質問を作ってください。高いところから低いところに流れるしくみや、水の流れに関する日常の例も交えながら、自然な形で考察を深められるようにしてください。」

    これらのプロンプトは、生成AIが学習者の発達段階に適した、簡単でわかりやすい回答を出すように依頼するための工夫が含まれています。学習者が日常の例や観察を通じて理解を深めやすくなるよう配慮しています。

3.1.2 シナリオ例:「自然観察と季節の変化」

このシナリオでは、学習者が身近な自然に目を向け、季節ごとにどのように植物や動物が変化するかを観察することで、自然と季節の関わりを理解する力を養うことを目指します。たとえば、「秋になるとどうして葉っぱが赤や黄色になるのか?」「なぜ春に花が咲く植物が多いのか?」といった疑問を持ち、季節ごとの変化を通じて自然界のサイクルを考える機会を提供します。

生成AIは、こうした疑問に対して、学習者が考察を深められるようなヒントや質問を提示し、学習者自身が自然の変化を発見しやすくするためのサポート役となります。これにより、学習者は四季の変化が植物や動物に与える影響について理解を深め、自然観察の視点を育むことができます。

プロンプト例:季節の違いや植物の変化について考える視点の提供

  • プロンプト例1:

    • 目的: 学習者が「どうして秋になると葉っぱの色が変わるのか?」と疑問を持った際に、自然の変化を自分で考えられるよう支援する。
    • 生成AIへの依頼:
      「小学生が理解しやすいように、秋になると葉っぱの色が変わる理由を考えられるような質問を作成してください。葉の中にある色素や、季節の変化が植物に与える影響について考えられるヒントを含めてください。たとえば、『葉っぱの色はどんな成分で決まるのかな?』や『寒くなると植物はどうなるんだろう?』といった視点でお願いします。」
  • プロンプト例2:

    • 目的: 学習者が「春になると花が咲く植物が増える理由」を理解しやすくする。
    • 生成AIへの依頼:
      「小学生が理解できるように、春に多くの植物が花を咲かせる理由について考えられる質問を提供してください。日照時間や気温の影響に触れながら、植物が春をどのように感じ取っているかを考えさせるヒントを出してください。たとえば、『植物は暖かくなると何を始めるのかな?』や『太陽が出ている時間が長いと、植物はどう感じるんだろう?』といったシンプルな質問にしてください。」
  • プロンプト例3:

    • 目的: 学習者が「冬になると葉が落ちる植物がある理由」を考える際に役立つ質問を生成する。
    • 生成AIへの依頼:
      「学習者が冬になると葉が落ちる植物について考えを深められるよう、小学生向けにわかりやすい質問を提供してください。冬の寒さが植物に与える影響や、葉を落とす理由について考えさせる質問にしてください。たとえば、『葉っぱを落とすことで植物はどんな良いことがあるのかな?』や『冬の寒さから植物が守れる方法って何だろう?』といった視点でお願いします。」
  • プロンプト例4:

    • 目的: 学習者が「なぜ夏になると木がたくさんの葉を茂らせるのか?」という疑問を考える際の支援。
    • 生成AIへの依頼:
      「小学生が考えやすいように、夏に木がたくさんの葉を茂らせる理由について質問を提供してください。太陽の光や気温が植物に与える影響について学べるような内容で、日常に関連づけた例も含めてください。たとえば、『木がたくさん葉っぱをつけると何ができるのかな?』や『日光が多いと植物にはどんな影響があるのだろう?』などのシンプルな問いかけにしてください。」
  • プロンプト例5:

    • 目的: 学習者が「どうして秋には果物がたくさん実るの?」という疑問に取り組む際のヒントを提供する。
    • 生成AIへの依頼:
      「秋に果物がたくさん実る理由について、小学生でも理解しやすいヒントや質問を作ってください。植物が果物を実らせる理由や気温や日照時間の影響について考えさせる視点を示してください。たとえば、『果物がたくさん実ると何が起こるのかな?』や『秋の気候が植物にとってどんな意味があるのかな?』といった形でお願いします。」

これらのプロンプトは、生成AIが学習者の興味を引き出し、季節ごとの自然の変化を観察し理解を深めるためのヒントを提供するよう依頼する内容となっています。

3.2 課題解決と発見を深めるための問いかけ

課題解決型の探求活動では、学習者が「どうして?」「なぜ?」といった疑問を持ち、その答えを深く考察することで、科学的な知識や思考力を育むことを目指します。生成AIは、学習者がこうした疑問に対して自分で答えを見つけられるよう、考察を深めるためのヒントを提供し、科学的な現象についての理解を支援します。

3.2.1 シナリオ例:「どうして?」「なぜ?」を掘り下げる探求活動

このシナリオでは、学習者が日常の中で湧き上がる素朴な疑問に対し、「どうして?」「なぜ?」と掘り下げていく探求活動を通して、科学的な観察や推論のスキルを育むことを目的としています。たとえば、「どうしてお湯を沸かすと湯気が出るの?」「なぜ雨が降ると植物が元気になるの?」といった日常の疑問について、考えを深めるプロセスをサポートします。

生成AIは、学習者の問いに対し、答えを直接教えるのではなく、観察や実験を促すヒントを与えることで、学習者が自分で答えに近づけるように支援します。

プロンプト例:科学的現象についての観察を促すヒント

生成AIが、学習者の科学的疑問を深めるために、観察や考察のヒントを提供できるようにするプロンプト例を以下に示します

  • プロンプト例1:

    • 目的: 学習者が「どうしてお湯を沸かすと湯気が出るのか?」という疑問を掘り下げるためのヒントを提供する。
    • 生成AIへの依頼:
      「小学生が理解できるように、お湯を沸かすと湯気が出る理由について考えられるヒントを提供してください。水が蒸発する仕組みや、温度の変化が影響していることを説明するための問いかけにしてください。たとえば、『水が温まるとどんな変化が起きるのかな?』『湯気が出る前と後で何が違うのかな?』といったシンプルな質問をお願いします。」
  • プロンプト例2:

    • 目的: 学習者が「なぜ雨が降ると植物が元気になるのか?」という疑問に対し、観察を促すヒントを提供する。
    • 生成AIへの依頼:
      「雨が植物にどのような影響を与えるのか、小学生にも理解しやすい形で説明できる質問を考えてください。水分や栄養の供給に関連するヒントを含め、『雨が降ると植物に何が起こるのかな?』『雨と植物の成長にはどんな関係があるのかな?』といった問いかけを提供してください。」
  • プロンプト例3:

    • 目的: 学習者が「なぜ風が吹くのか?」という疑問を考える際に、観察と考察を促すヒントを提供する。
    • 生成AIへの依頼:
      「風が吹く理由について、小学生向けにわかりやすい質問を提供してください。気温の差や空気の動きについて学べるように、『暖かい空気と冷たい空気が出会うとどうなるのかな?』『風が吹くときに空気がどう動いているか観察してみよう』など、考えを深めるためのシンプルな問いをお願いします。」
  • プロンプト例4:

    • 目的: 学習者が「どうして氷が溶けると水になるのか?」という疑問を掘り下げるためのヒントを提供する。
    • 生成AIへの依頼:
      「氷が溶ける理由について、小学生が考えられるような質問を作成してください。物質の状態変化に触れ、温度が関係していることが理解できるように、『氷が温まるとどんな変化が起きるのかな?』『氷が水になるのに必要なことは何だろう?』といったシンプルでわかりやすい問いかけをしてください。」
  • プロンプト例5:

    • 目的: 学習者が「なぜ夜になると空が暗くなるのか?」という疑問について考察を深められるようにする。
    • 生成AIへの依頼:
      「夜に空が暗くなる理由について、小学生が自分で考えを深められる質問を作成してください。地球の回転や太陽との位置関係を理解するための簡単なヒントを含めてください。たとえば、『昼と夜で太陽の位置はどう変わるのかな?』『空が暗くなるとき、地球はどんな動きをしているんだろう?』といった問いかけにしてください。」

これらのプロンプトは、生成AIが学習者の興味を引き出し、科学的な現象について自分で観察し、考えを深めることができるようなヒントを提供するための指示です。学習者がわかりやすい言葉とシンプルな問いかけで、科学的思考を発展させられるように設計されています。

3.2.2 シナリオ例:「未来の社会や環境について考える」

このシナリオでは、学習者が地球環境や持続可能な社会について考える力を養うことを目的としています。環境問題やエネルギーの使い方、未来の社会の在り方など、学習者が将来に向けて考えるべきテーマに対して、自分なりの視点を持てるようにするための探求活動です。たとえば、「どうしてリサイクルが大切なの?」「将来のエネルギーはどうやって作られるの?」といった質問から始め、未来の社会や環境についての興味を深めます。

生成AIは、こうした疑問に対して、学習者が自分で考察を深められるようなヒントや関連する質問を提供します。これにより、学習者は持続可能な未来について考えるきっかけを得て、自分なりの意見を形成する手助けを受けることができます。

プロンプト例:地球環境や持続可能な社会についての考察を促すヒント

以下に、生成AIが学習者に未来の社会や地球環境についての考察を深めるためのヒントを提供できるよう依頼するプロンプト例を示します。

  • プロンプト例1:

    • 目的: 学習者が「なぜリサイクルが大切なのか?」について考えを深められるよう支援する。
    • 生成AIへの依頼:
      「小学生が理解しやすいように、リサイクルの大切さについて考えられる質問を作成してください。リサイクルの利点や、ゴミの量を減らす必要性について考えられるヒントを含め、たとえば『ゴミが増えると何が困るのかな?』『リサイクルするとどんな良いことがあるんだろう?』といった質問をお願いします。」
  • プロンプト例2:

    • 目的: 学習者が「将来のエネルギーはどうなるのか?」という疑問について考察を促す。
    • 生成AIへの依頼:
      「小学生でも考えやすい形で、将来のエネルギーのあり方について質問を提供してください。再生可能エネルギーやエネルギーの節約に関するヒントを出し、『太陽の光や風を使ったエネルギーはどんな特徴があるのかな?』『エネルギーを節約すると何が良いのかな?』といった視点でお願いします。」
  • プロンプト例3:

    • 目的: 学習者が「どうして森や木がたくさんあるといいのか?」について考えるきっかけを提供する。
    • 生成AIへの依頼:
      「小学生が森や木の大切さについて考えを深められるように、簡単でわかりやすい質問を考えてください。二酸化炭素の吸収や動物の住処の役割について触れ、『木がたくさんあると空気にどんな良い影響があるのかな?』『森にはどんな生き物が住んでいるのかな?』といった形で、考察を促すヒントをお願いします。」
  • プロンプト例4:

    • 目的: 学習者が「未来の交通はどう変わるのか?」という疑問を考察できるようにする。
    • 生成AIへの依頼:
      「未来の交通について小学生が考えやすい質問を提供してください。環境に優しい乗り物や、渋滞を減らす取り組みに関する視点を含め、『電気で動く車や自転車にはどんな良いところがあるのかな?』『未来の街にはどんな乗り物があると便利かな?』といったシンプルで親しみやすい問いかけにしてください。」
  • プロンプト例5:

    • 目的: 学習者が「どうして海や川をきれいに保つ必要があるのか?」について考えを深められるよう支援する。
    • 生成AIへの依頼:
      「小学生が海や川をきれいに保つことの大切さを考えられるような質問を考えてください。水質が生き物に与える影響や水の循環の大切さについて触れ、『川や海がきれいだと生き物にはどんな良いことがあるのかな?』『海のゴミが増えるとどんな困りごとが起こるかな?』といった簡単な問いかけにしてください。」

これらのプロンプトにより、生成AIは学習者に対して地球環境や持続可能な未来に関する興味を引き出し、考察を深めるためのヒントを提供できます。学習者が理解しやすい内容で、身近な例を通じて未来の環境について考えることをサポートします。

第4章 生成AIを使った授業の進め方

生成AIは、学習者が探求型学習の中で主体的に考え、答えにたどり着くためのサポート役として活用できます。本章では、生成AIの利用場面と適切なタイミング、学習者の気づきを促すためのAI支援の方法、さらに学習の振り返りにおける生成AIの活用方法について詳しく解説します。

4.1 生成AIの利用場面とタイミング

生成AIを活用する際には、学習者の探求活動が効果的に進むように、適切な場面とタイミングで支援を提供することが重要です。生成AIが学習者に与える影響は、学習の進行段階に応じて異なります。以下の3つの場面が、生成AIの利用に適している場面として考えられます。

  1. 学習の初期段階: 学習者が課題に取り組む前に、興味や疑問を引き出すための質問やヒントを生成AIが提供します。このタイミングでの支援は、学習者が学びの方向性を定め、自発的に学習課題に取り組む意欲を高めるのに効果的です。

  2. 探求活動の途中: 学習者が課題に取り組む中で困難に直面した際、生成AIは考えを発展させるための追加情報やヒントを提供します。このタイミングでは、学習者が途中で立ち止まることなく思考を継続できるよう、生成AIが適切なサポートを行います。

  3. 学習の振り返り: 学習の最後に生成AIを活用して学びを振り返ることで、学習者は自身の考え方や学びのプロセスを整理できます。生成AIによる質問や要点の整理が、学習者に気づきを促し、学びを深めるのに役立ちます。

4.2 学習者が自分で気づきを得るためのAI支援

生成AIは、学習者が自分で気づきを得るためのサポートとして効果的に機能します。学習者が直面する問題に対し、生成AIがすぐに答えを提示するのではなく、考察を深めるための視点やヒントを与えることで、学習者が自主的に発見できるよう導きます。

たとえば、学習者が「どうして?」と疑問を持ったとき、生成AIが考えるための視点を提供することで、学習者は自分で気づき、答えに近づくプロセスを楽しむことができます。このようなAI支援は、学習者の主体性を育て、学びに対する意欲を高める効果が期待されます。生成AIによる支援は、学習者が自分で気づくための「誘導役」として機能し、ただ解答を与えるのではなく、自ら発見する喜びを感じられるよう工夫されるべきです。

4.3 学習の振り返りにAIを活用する方法

学習の振り返りは、学習者が自分の成長や学びのプロセスを確認し、次回の学習につなげるために重要なステップです。生成AIを活用することで、学習者が学びを振り返る際に必要な質問やヒントを提供し、思考を整理する手助けができます。

4.3.1 学びを振り返る質問やヒント

生成AIは、学習者が学びを振り返るための質問やヒントを提供し、学習内容を再確認するための助けとなります。たとえば、学習者が「今回の学びで新しく気づいたことは何か?」と自問したり、「次回の探求で工夫したいことは何か?」といった具体的な振り返りができるように、生成AIが適切な質問を投げかけることで、学習者が思考を整理しやすくなります。このように、生成AIは学習のまとめや振り返りを促し、学習者が自身の学びのプロセスを客観的に評価する手助けをします。

振り返りの質問例

  • 「今回学んだことを誰かに説明するなら、どのように話すとわかりやすいかな?」
  • 「学びの中で一番印象に残ったことは何だろう?」
  • 「解決に苦労したことは?次に似た問題が出たらどう対処するか考えてみよう」

4.3.2 学習者の思考を整理するための支援

学習の振り返りでは、生成AIが要点をまとめたり、思考の整理を支援する役割も果たします。生成AIは、学習者が理解した内容や学んだ知識をシンプルにまとめる手助けをすることで、学習者が次に進むための基盤を築きます。また、学習者が自己評価や次への目標設定を行えるよう、思考をまとめるための質問や整理のための視点を提供します。

思考整理の支援例

  • 「今回の学びで知ったことを3つにまとめるとしたら?」
  • 「理解できたところと、もっと学びたいところを分けてみよう」
  • 「今回の活動を通して、次に挑戦したい課題は何だろう?」

第5章 生成AIを使った探求型学習の具体例

5.1 事例1:「植物の生長と季節の関係を探る」

授業コマ数

  • 2コマ(45分×2回)

授業の目的

学習者が季節による植物の変化を観察し、季節と植物の生長の関係について理解を深めることを目指します。また、生成AIを適切に活用して、学習者が自ら考え、質問を作成し、仮説を立てる力を育成します。

達成目標

  • 季節ごとに植物がどのように変化するかを観察し、変化の理由を考えられるようになる。
  • 植物の生長に関する疑問を自分で考え、質問を作成できるようになる。
  • 生成AIのヒントを活用し、考察を深めるための質問を生成できるようになる。

生成AIの役割

生成AIはこの授業において以下の役割を果たします。

  • 疑問の掘り下げ支援: 学習者が持つ「どうして?」「なぜ?」といった素朴な疑問を深め、考察を促すためのヒントや質問を提供します。
  • 考察の誘導: 生成AIは直接答えを示すのではなく、学習者が自分で気づきを得られるような考えを引き出すための問いかけを行い、主体的な学びをサポートします。
  • 質問作成のサポート: 生成AIは、学習者が観察や考察を通じて生まれた疑問をさらに掘り下げるために、新たな質問を作成するサポートを行います。これにより、学習者が自ら問いを立てて学びを発展させる力を養います。
  • 振り返りの促進: 学習の終わりに生成AIを使って要点を整理し、学習者が学んだことを振り返り、次回の学びにつなげるためのサポートを行います。

第1回授業(45分)

  • 導入(10分)
    • 活動内容: 教師が季節ごとに植物が見せる特徴的な変化(例:春に花が咲く、秋に葉が色づく)について話し合い、植物の変化の理由について考えます。
    • 生成AIの活用: 導入では生成AIを使わず、学習者が自由に意見を出し合い、どんな疑問を持っているかを確認します。
  • 質問を作成するための活動(15分)
    • 活動内容: 学習者が植物に関する自分の疑問をリストアップし、生成AIを使ってさらに考察を深めるための質問を作成します。
    • 生成AIの役割: 学習者の疑問をさらに掘り下げる質問を提案し、考えを深める支援を行います。生成AIは「なぜ春になると植物が花を咲かせるのか?」といった疑問を引き出すための質問を作成し、考察を促進します。
  • 質問の共有とグループ活動(10分)
    • 活動内容: 学習者は生成AIを使って作成した質問をグループで共有し、気づきや新たな疑問について話し合います。他の学習者の質問に興味を持つことで、考察の幅が広がります。
  • まとめと振り返り(10分)
  • 活動内容: 学習者は、自分で作成した質問と生成AIから得たヒントをもとに、次回の観察に向けて考えをまとめます。
  • 生成AIの役割: 生成AIは振り返りの質問を提示し、学習者が自分の考えを整理し、学びの進展を見つめ直す支援を行います。

第2回授業(45分)

  • 観察活動(15分)
    • 活動内容: 学習者は実際に植物を観察し、自分が作成した質問に基づいて記録します。たとえば、「なぜ葉が赤くなるのか?」「水が足りないと植物はどうなるのか?」といった問いをもとに、自然の変化を記録します。
  • 観察結果の考察(15分)
    • 活動内容: 学習者が観察結果を振り返り、生成AIに再度質問を投げかけて考察を深めます。
    • 生成AIの役割: 観察をもとにした質問作成の支援を行い、観察から発見した疑問をさらに深く掘り下げるサポートを行います。
  • 発表と共有(10分)
    • 活動内容: 学習者が観察結果や生成AIを使った考察をグループで発表し、他の学習者と意見を交換します。
  • 振り返りとまとめ(5分)
    • 活動内容: 学習全体を振り返り、次の学びに向けて疑問や目標を立てます。生成AIからの支援もふまえて、学習者が理解したことや感じた疑問を振り返ります。
    • 生成AIの役割: 要点を整理し、学習者が自分の気づきを明確にするための振り返りの質問を提示します。

生成AIの使用に関する注意事項

  • 発達段階に応じた内容: 生成AIが出すヒントや質問は、学習者が理解できるシンプルな表現を使うようにし、専門用語を控えます。
  • 直接の答えを避ける: 生成AIは答えそのものではなく、学習者が考えを発展させるためのヒントのみを提供することに注意します。
  • AIへの依存を防ぐ: 生成AIはあくまで支援ツールであり、学習者が自分の頭で振り返りを行えるように指導します。

この授業計画書により、学習者が季節による植物の変化について自ら質問を作り、考察を深められるような探求活動を進められます。生成AIは「考察を促すサポート役」として活用し、学びの主体が学習者自身であることを大切にします。

5.2 事例2:「水の循環と雨のしくみを理解する」

授業コマ数

  • 2コマ(45分×2回)

達成目標

  • 水の循環(蒸発、凝結、降水)について理解し、自然界で水が循環する仕組みを説明できるようになる。
  • 雨がどのようにしてできるかについて自分で考え、質問を作成できるようになる。
  • 生成AIを活用して、考察を深めるためのヒントや質問を生成できるようになる。

第1回授業(45分)

  • 導入(10分)
    • 活動内容: 教師が水の循環について簡単に説明し、学習者に「水はどうして空に上がるの?」「雨はどうやって降ってくるの?」と問いかけて、疑問を持たせる。
    • 生成AIの活用: 導入では生成AIを使用せず、まずは学習者が自由に考え、自分で疑問を持つことに重点を置きます。
  • 水の循環についての探求活動(20分)
    • 活動内容: 学習者は水がどのように循環するかを考えます。簡単な水の蒸発実験(容器に水を入れて観察し、温度が水に与える影響を確認)を行い、水が気体となり上昇する様子を理解します。
    • 生成AIの役割: 学習者が感じた疑問に対して、生成AIが考察を深めるためのヒントを提供します。たとえば、「水が蒸発する仕組みを考えるための質問を作成してください。『水が温まるとどんな変化が起きるかな?』『蒸気になった水はどこに行くのかな?』など、観察を促す問いかけをお願いします。」と依頼します。
  • ** 質問作成とグループ活動(10分)**
    • 活動内容: 学習者は生成AIから得たヒントをもとに、自分で新たな質問を作成し、グループで共有します。他の学習者の質問に触れることで、考察の幅を広げます。
  • まとめと振り返り(5分)
    • 活動内容: 学習者は、生成AIを使って考察した内容を振り返り、水の循環についてまとめます。
    • 生成AIの役割: 振り返りの際に、学びを整理するための質問を生成AIが提示し、学習者が理解を深められるようサポートします。たとえば、「今日わかったことを3つまとめるとしたら何か?」という問いかけを行います。

第2回授業(45分)

  • 雨のしくみについての探求活動(15分)
    • 活動内容: 教師が、蒸発した水蒸気が空で冷やされ、雲になり、雨として降る過程について説明します。簡単な実験として、冷たい水の入ったコップに周囲の空気中の水蒸気が結露する現象を観察し、雲の発生と同じメカニズムであることを確認します。
    • 生成AIの活用: 生成AIに「水蒸気が冷やされるとどのような変化が起きるかを学習者に考えさせるための質問を作成してください。『水蒸気が冷えるとどうなるのかな?』や『雨が降る前に雲はどうやってできるんだろう?』といったシンプルな問いかけにしてください。」と依頼します。
  • 観察結果の考察と質問作成(15分)
    • 活動内容: 学習者は実験や観察結果をもとに、生成AIからのヒントを参考にしながら、自分で質問を作成して考察を深めます。
    • 生成AIの役割: 生成AIが、学習者が観察結果について考察を深めるための新しい質問を作成する支援を行います。たとえば、観察した現象について「この水はどこからきたのかな?」「雨が降らない日でも水は空にあるの?」といった疑問を促します
  • 発表と共有(10分)
    • 活動内容: 学習者が観察結果や生成AIを使った考察をグループで発表し、他の学習者と意見を交換します。これにより、さまざまな視点から水の循環と雨の生成について学びを深めます。
  • 振り返りとまとめ(5分)
    • 活動内容: 授業全体を振り返り、学んだことや疑問について確認します。
    • 生成AIの役割: 生成AIを使って振り返りの質問を提供し、学習者が学びを整理できるようにします。たとえば、「水の循環で新しく知ったことは何か?」「次にもっと調べてみたいことは?」という質問を生成AIに依頼します。

生成AIの使用に関する注意事項

  • 発達段階に応じた内容: 生成AIが出すヒントや質問は、学習者が理解しやすいシンプルな表現を使い、専門用語は控えます。
  • 直接的な答えを避ける: 生成AIは答えそのものではなく、学習者が自分で気づくためのヒントのみを提供することに注意します。
  • AIへの依存を防ぐ: 生成AIはあくまで支援ツールであり、学習者が自分で考える力を養うために、考察を促すサポート役として活用します。

この授業計画書では、生成AIを「考察を深めるサポート役」として活用し、学習者が水の循環や雨のしくみについて自ら学びを進められるように工夫しています。生成AIの役割を適切に配置し、学習者が主体的に探求し、理解を深められる授業内容となっています。

5.3 事例3:「ごみとリサイクルについて学ぶ」

授業コマ数

  • 3コマ(45分×3回)

授業の目的

学習者がごみの処理方法やリサイクルの重要性について学び、なぜリサイクルが環境保護に役立つのかを考えられるようにすることを目指します。生成AIを活用し、リサイクルに関する疑問を深め、学習者自身が環境問題について考察する力を育成します。

達成目標

  1. ごみの種類とその処理方法について理解し、正しく分別できるようになる。
  2. リサイクルのメリットとその必要性について考え、自分で質問を作成できるようになる。
  3. 生成AIを活用して、考察を深めるためのヒントや質問を生成できるようになる。

生成AIの役割

  • 考察の支援: 学習者がリサイクルの意義や疑問について深く考えられるようなヒントや質問を提示します。
  • 質問作成のサポート: 学習者が自分の疑問を掘り下げるための質問を生成するサポートを行います。
  • 振り返りの促進: 学びを振り返るために、生成AIが質問や要点整理を提供し、学習者が理解を深められるようサポートします。

第1回授業(45分)

  • 導入(10分)
  • 活動内容: 教師が「ごみ」について簡単に説明し、「ごみにはどんな種類があると思う?」と問いかけます。学習者から出された意見をもとに、ごみの種類(可燃ごみ、不燃ごみ、リサイクルごみなど)について話し合います。
  • 生成AIの活用: 導入では生成AIを使用せず、学習者が自由に考え、自分で疑問を持つことを促します。

ごみの分別と処理について学ぶ(20分)

  • 活動内容: 学習者がごみを正しく分別する重要性について考えます。リサイクルできるごみとできないごみについての具体例を挙げ、分別の仕方や理由を学びます。
  • 生成AIの役割: 学習者の質問に対して、生成AIが考察を深めるためのヒントを提供します。たとえば、「どうしてビンや缶はリサイクルできるのか?」「燃えるごみと燃えないごみはどう違うのか?」といった疑問に対する考察をサポートします。

質問作成とグループ活動(10分)

  • 活動内容: 学習者は生成AIを使って、ごみの分別やリサイクルについての疑問を掘り下げる質問を作成し、グループで共有します。
  • 生成AIプロンプト例:
    「学習者がリサイクルについて考えを深められるような質問を提供してください。『リサイクルすると何が良いのか?』『リサイクルできるごみはどんな特徴があるのか?』といった質問をお願いします。」

まとめと振り返り(5分)

  • 活動内容: 学習者が生成AIから得たヒントをもとに、ごみとリサイクルについての理解を振り返ります。

第2回授業(45分)

リサイクルのメリットについて考える(15分)

  • 活動内容: 教師がリサイクルのメリットについて簡単に説明し、学習者に「リサイクルはなぜ大切なのか?」と問いかけます。リサイクルすることで資源を節約し、環境に優しい効果があることを考えます。

  • 生成AIの活用: 生成AIを使って、リサイクルの意義について考えるためのヒントを提供します。たとえば、「リサイクルすると自然にどんな良い影響があるのかな?」といった視点で考えを深めます。

  • リサイクルの疑問を掘り下げる(15分)

    • 活動内容: 学習者がリサイクルに関する疑問を生成AIに投げかけ、さらなる考察を行います。学習者は「リサイクルはどれだけ効果があるのか?」や「リサイクルするにはどんなエネルギーが必要なのか?」といった質問を生成し、学びを深めます。
    • 生成AIプロンプト例:
      「学習者がリサイクルの影響について考えられるような質問を提供してください。『リサイクルが増えると、環境にはどんな良いことが起こるのかな?』『リサイクルにはどんな労力やエネルギーがかかるのかな?』といった質問を作成してください。」
  • グループでの考察と共有(10分)

    • 活動内容:学習者は生成AIから得た質問をもとに、グループで考察を共有し、新たな気づきを得ます。
  • まとめと振り返り(5分)

    • 活動内容: 学習者は、リサイクルのメリットとその必要性について理解を深め、振り返ります。
    • 生成AIの役割: 生成AIが振り返りのための質問を提供し、学習者が学んだことを整理できるようにサポートします。

第3回授業(45分)

  • リサイクルの実践例を考える(15分)

    • 活動内容: 学習者が日常生活でできるリサイクル方法について考え、リサイクルを実践するために何ができるかを話し合います。たとえば、家庭でできる分別や再利用の工夫について考えます。
    • 生成AIの活用: 生成AIに「学習者が実際にできるリサイクルの方法を考えるためのヒントを提供してください。『家庭でリサイクルを増やすためにはどうしたらいいのかな?』『使い終わったものを再利用するにはどんな工夫ができるかな?』といった質問を作成してください。」
  • 学習内容の振り返りとまとめ(10分)

    • 活動内容: 学習者がリサイクルの重要性について、生成AIを使って要点を振り返り、学習したことをまとめます。
    • 生成AIの役割: 生成AIが振り返りの質問を提示し、学習者が自身の理解を整理できるようにサポートします。たとえば、「リサイクルについて学んで感じたことは?」「これから実践したいことは?」という問いかけを生成AIに依頼します。
  • 授業全体の振り返りと発表(15分)

    • 活動内容: 学習者が授業で学んだことを発表し、リサイクルの意義や、今後自分ができるアクションについて意見を交換します。これにより、学んだことを実際の行動に結びつけることが目指されます。
    • 生成AIの役割: 生成AIを活用して学びのまとめを行い、理解を深めると同時に、学習者が自分で考えた意見を発表しやすくするための支援を行います。

生成AIの使用に関する注意事項

  • 発達段階に応じた言葉や表現を使用する
    生成AIが提供するヒントや質問は、学習者が理解しやすい言葉やシンプルな表現で行うようにします。専門用語や難解な概念は避け、日常生活に関連づけた例を用いて、学習者が考えやすい内容にすることを重視します。

  • 直接的な答えを提示しない
    生成AIは学習者に答えをそのまま提供するのではなく、考えを深めるためのヒントや視点を提示することに重点を置きます。学習者が自分で探求を進め、発見の喜びを感じられるよう、答えを導くきっかけを与えるサポート役に徹します。

  • リサイクルや環境問題に関する偏りのない情報提供
    生成AIはリサイクルのメリットや課題について、偏った情報を避け、さまざまな視点を提供するようにします。これにより、学習者が環境問題に対してバランスの取れた見方ができるよう支援し、批判的思考を養う一助となるよう配慮します。

  • 生成AIへの過度な依存を防ぐ
    生成AIはあくまで学習者の考えを深めるための支援ツールであり、学びの主体は学習者自身であることを強調します。教師は、生成AIが学習者の疑問を掘り下げる手助けをする一方で、学習者自身の思考プロセスや意欲を重視し、過度にAIへ依存しないよう指導します。

  • 持続可能な社会への関心を育む
    生成AIを使って質問や考察を進める際、リサイクルがなぜ環境保護につながるのか、また日常でどのようにリサイクルを実践できるかについて学習者が気づき、自分ごととして捉えられるようにします。生成AIの問いかけは、持続可能な社会についての関心を促し、学習者が日常生活の中で実行できる行動に目を向けることを支援する内容であることを心がけます。

第6章 効果的なプロンプト設計のポイント

探求学習の場面で生成AIを教師が使う際、児童が理解しやすく、かつ興味を持って学べるよう、プロンプト設計にはいくつかの工夫が必要です。以下は、児童の学びをサポートするために教師が生成AIに効果的なプロンプトを設定するポイントです。

6.1 子ども向けのシンプルでわかりやすい表現を指定する

教師が生成AIに児童向けの説明を依頼する際には、回答がわかりやすい表現になるよう指定しましょう。シンプルで具体的な内容になるよう、児童が日常で使う言葉で説明する指示を加えます。

プロンプト例

  • 「小学生にわかりやすい言葉で、なぜリサイクルが大切なのかを教えてください。」
  • 「太陽系について、わかりやすく説明してください。どんな星があるのか、子ども向けに話してください。」

6.2 段階的な学習ステップを意識したプロンプトを使う

児童が段階的に学べるよう、プロンプトをステップごとに分けると効果的です。教師が生成AIに対して順を追った説明や具体例を求めることで、児童が探求学習のステップに沿って理解を深めやすくなります。

プロンプト例

  • 「リサイクルのメリットについて、まずはリサイクルの意味を簡単に説明してください。」
  • 「ゴミの分別の仕方とその理由を小学生にもわかるように、ステップを追って説明してください。」

6.3 児童の関心を引く質問を設定する

教師は生成AIに児童の好奇心を刺激する質問を求めることで、探求心を引き出すことができます。「○○はなぜ?」や「どうやったらできるの?」などの質問形式を用いることで、児童が主体的に学びやすくなります。

プロンプト例

  • 「空が青いのはどうしてか、簡単に教えてください。子どもが興味を持つように説明してください。」
  • 「植物が水を必要とする理由を、小学生にもわかりやすく教えてください。」

6.4 身近な例を使った説明を依頼する

生成AIに対して「子どもがよく知っているものを例に挙げて説明して」と指示することで、児童にとってわかりやすくなり、親しみやすい内容にできます。

プロンプト例

  • 「電気がどのように家の中で使われているか、小学生にわかるように家の中の例を使って教えてください。」
  • 「食べ物の栄養について説明してください。お弁当に入っているものを例にして話してください。」

6.5 視覚的な理解を助ける説明を依頼する

教師が生成AIに図やイラストを用いた説明を求めるプロンプトを作成することで、児童の視覚的な理解をサポートできます。AIから得られる視覚的な説明は、児童の興味を引きやすく、内容の理解を深めやすくなります。

プロンプト例

  • 「太陽系の惑星について、図を使って説明してください。小学生がわかるように、各惑星の特徴も教えてください。」
  • 「木が成長する過程を絵で説明してください。種から成長するまでのステップをわかりやすく教えてください。」

第7章 生成AIの活用で気をつける点と留意事項

生成AIは、学習者が興味を持ち、主体的に学ぶための有力なサポートツールですが、その活用にはいくつかの留意点があります。本章では、生成AIの限界、AIのバイアスについての理解、AIに依存しない学びの進め方について説明し、安全かつ効果的に活用するための指針を紹介します。

7.1 情報の正確性と生成AIの限界について

生成AIは、膨大な情報を基に応答を生成しますが、必ずしも正確な情報を提供できるわけではありません。学習者が生成AIを利用する際には、その回答が必ずしも正確でない可能性を理解してもらう必要があります。

  • 情報の信頼性の確認
    生成AIから得た情報が正しいかどうかを判断するためには、複数の情報源を参照することが重要です。教師は学習者に、AIが出す答えを鵜呑みにするのではなく、他の資料や参考書を通じて情報の信頼性を確認する習慣を身につけるよう指導します。

  • 生成AIの限界を理解する
    生成AIは人間のように判断力や実世界の経験を持たないため、曖昧な表現や特定の文脈において誤解を招くような回答をすることもあります。学習者がAIに質問をする際には、AIができることとできないことを理解し、生成AIの回答をあくまで「補助的な情報」として扱うように注意します。

  • 教師の役割としての確認と補足
    教師は、生成AIの回答が学習者の理解に適しているかどうかを確認し、必要に応じて補足説明を行うことで、学習者の誤解を防ぎます。また、生成AIの回答が学習内容にそぐわない場合は、別の観点や具体例を提供して正しい理解へと導きます。

7.2 AIのバイアスに対する理解と指導法

生成AIはトレーニングデータに基づいて応答を生成するため、情報に偏りやバイアスが含まれる可能性があります。学習者に生成AIのバイアスについて理解させ、異なる視点を持つことの大切さを教えることが重要です。

  • バイアスの存在を知る
    生成AIが特定の偏見や先入観を含むデータを学習している場合、出力にバイアスが現れることがあります。教師は学習者に「AIの回答が必ずしも中立であるとは限らない」ことを教え、異なる視点や立場を持つ情報も積極的に参照するように指導します。

  • 異なる情報源を活用する
    学習者が生成AIの回答のみを参考にするのではなく、図書館やインターネット、教科書など、さまざまな情報源を利用するように指導します。これにより、学習者が偏りの少ない、幅広い視点で物事を理解する力が養われます。

  • 批判的思考の育成
    教師は、学習者に対して「AIの回答に対しても疑問を持ち、自分で確かめる姿勢」を奨励します。たとえば、生成AIが提供する情報について「他の情報源ではどのように説明されているか?」「なぜこのような回答が出てくるのか?」といった視点を持ち、批判的に考える力を育成します。

7.3 AIに依存しない学びの進め方

生成AIは学びの強力なツールですが、学習者がAIに過度に依存してしまうと、自分で考える力が損なわれる恐れがあります。AIをサポートツールとして活用しつつも、学習者が主体的に学べるような学びの進め方が求められます。

  • 自分で考える時間を確保する
    AIが答えを出す前に、学習者自身がまず考え、仮説を立てる時間を設けます。教師は生成AIの利用を「自分の考えを確かめるための手段」として活用するよう指導し、学習者が自ら考える習慣を大切にします。

  • 生成AIの使い方を明確にする
    生成AIをどのような場面で使うかを明確にし、学習者がAIを「考えを補強するためのツール」として活用できるようにします。たとえば、生成AIは考えに行き詰まったときや、さらなる情報を調べたいときに限定して使用するように指導します。

  • 生成AIの応答をきっかけに自ら探求を進める
    生成AIが提供する回答は、あくまで探求の出発点と考え、学習者がそれをもとに自分なりの疑問や次の学びにつなげることを重視します。教師は学習者に「AIの回答をきっかけにして、さらに何を知りたいと思ったか?」と問いかけ、主体的な学びを促進します。

おわりに

本書では、初等教育における生成AIを活用した探求型学習の可能性について、具体的な事例を通じて紹介しました。生成AIは、学習者が自ら疑問を持ち、主体的に考え、答えを探求するためのサポートツールとして教育現場に新しい視点をもたらしています。その一方で、AIを活用する際の留意点についても解説し、学習者の自主性や思考力を損なわずに活用する方法についても考察してきました。

生成AIが広げる初等教育の探求型学習の未来

生成AIの登場により、教育は大きな進化の可能性を迎えています。従来の教育方法では、時間やリソースが限られ、学習者一人ひとりに合わせた個別の支援が難しい場面も多く見られました。しかし、生成AIは学習者が持つ個々の疑問に対して、その場で適切な問いかけやヒントを提供し、学びを促進することができます。

また、生成AIは学習者が探求活動を通じて新しい視点や考え方を得られるよう、多様な情報や考察を提示する役割を果たします。これにより、学習者は自身の疑問をより広範囲に掘り下げ、深く考察する機会が増え、学びの可能性が広がります。AIの支援を受けながらも、自らの思考力や好奇心を基盤に探求活動を進められる環境は、初等教育における探求型学習の未来に新たな可能性をもたらすでしょう。

教育現場での実践に向けたエールと期待

生成AIの教育現場での活用が広がるにつれ、教師の役割もさらに重要になってきます。AIが学びをサポートする一方で、教師はAIがもたらす情報や視点を確認し、学習者の理解を深めるための指導や補足を行う役割を担います。また、教師が生成AIの使用を通じて、学習者が主体的に考え、探求し、自己評価を行う力を引き出すことで、AIを活用した学びは一層豊かなものとなるでしょう。

本書が教育現場での生成AI活用の一助となり、教師が日々の授業においてAIを有効に取り入れ、学習者の興味関心を引き出す探求型学習を進めていただけることを願っています。生成AIはまだ発展途上の技術ですが、教育者の創意工夫によって、学習者一人ひとりが新しい可能性を切り開くための大きな力となり得ます。探求型学習の未来に向けた大きな一歩として、生成AIが教師と学習者双方にとって素晴らしい教育の道具となることを期待しています。

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