はじめに
本記事は Bing Chat Enterprise を使用して各小単元における形成的評価のための質問例と総合評価のためのテスト問題を作れるかどうかを実験した結果です。
なぜ Bing Chat Enterprise を使用するのか
対話型生成AIサービスといえば、OpenAI の ChatGPT が有名です。Microsoft も個人が利用できる Bing Chat と組織が利用できる Bing Chat Entperise の2種類のサービスを提供しています。では Bing Chat Enterprise を使うべきなのでしょうか。
Bing Chat Enterprise の 「プライバシーと保護」についてのドキュメント を見ると 「Microsoft はプロンプトと応答を保持しないため、基になる大きな言語モデルのトレーニング セットの一部として使用することはできません。」 と書かれています。要するに、ユーザーが入力した情報やその回答はマイクロソフトが利用しないため、情報漏洩の心配がないのです。
教育機関が Bing Chat Enterprise を使用するにはどうすればよいのか
Bing Chat Enterprise は、Microsoft 365 A3 もしくは A5 の教員向け(Faculty)ライセンスを付与されたユーザーのみが利用できます。
質問例やテスト問題をうまく作らせるためのポイント
例えば Bing Chatに「〇〇についてのテスト問題を10問作ってください」とお願いすれば、問題は作成してくれます。
本記事では 「学習目標」 や 「評価基準」 を元に、質問やテスト問題を作成することで、どのような質問やテスト問題が Bing Chat によって作成されるのかを見ていきたいと思います。
前提条件
「学習目標」 や 「評価基準」 は教育出版が指導計画作成資料と公開している令和2年度版『小学社会 5』年間指導計画・評価計画(案) を使用します。
プロンプト
あなたは小学5年生(Grade 5)を担当している社会科の教員です。
{形成的評価のための質問例}と{総合的評価を行うための例題}を{学習目標}と{評価基準}を元に作成してください。
# 条件
{学習目標}
-日本国の国土の地理的環境の特色について,国民生活との関連を踏まえて理解するとともに,地図帳や地球儀,統計などの各種の基礎的資料を通して,情報を適切に調べまとめる技能を身に付けるようにする。
- 日本国の国土の地理的環境の特色や国民生活との関連を多角的に考える力,考えたことを説明する力を養う。
- 日本国の国土の地理的環境の特色や国民生活との関連について,主体的に学習の問題を解決しようとする態度を養うとともに,多角的な思考や理解を通して,日本国の国土に対する愛情を養う。
{評価基準}
知識・技能:
- 世界における日本国の国土の位置,国土の構成,領土の範囲などを大まかに理解している。
- 日本国の国土の地形や気候の概要を理解するとともに,人々は自然環境に適応して生活していることを理解している。
- 地図帳や地球儀,各種の資料で調べ,まとめている。
-
思考・判断・表現:
- 世界の大陸と主な海洋,主な国の位置,海洋に囲まれ多数の島からなる国土の構成などに着目して,日本国の国土の様子を捉え,その特色を考え,表現している。
- 地形や気候などに着目して,日本の国土の自然などの様子や自然条件から見て特色ある地域の人々の生活を捉え,日本の国土の自然環境の特色やそれらと日本の国民生活との関連を考え,表現している。
主体的に学習に取り組む態度:
- 日本国の国土の様子と国民生活について,主体的に問題解決しようとしている。
# 形成評価のための質問例
- この学習活動について、学習者の進捗や理解度を見るための質問の例を5つ作成してください。
# 例題
- 総括的評価を行うための例題を10問作成してください。
- 10問の構成は、記述式の問題を5問、単一選択式の問題を2問、複数選択式の問題を1問、穴埋め問題を2問とします。
- 100点を満点として点数配分も例示してください。
※ 上記のプロンプトは我が国→日本国に置き換えています。
質問とテスト問題の作成
上記のプロンプトを使用して Bing Chat が回答したものを以下に示します。
4問目でストップしてしまったので、プロンプトに「例題の続きを作成して」と入力します。
まとめ
学習目標と評価基準を示すことで、適切な質問やテスト問題が作成できたと思います。他の教科でも試してみたいと思います。