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はじめに
新型コロナウィルスの完成拡大を受け、日本政府は2020年4月10日、教科書などの著作物をインターネットなどによる遠隔授業で使えるようにする改正著作権法を2020年4月28日に施行する政令を閣議決定しました。これによりネットやテレビを通じた遠隔授業で、教科書などの著作物を自由に無償で使えるようになったわけです。SARTRASも新型コロナ対策として20年度に限り、学校側から補償金を徴収しない特例措置を導入することを決めています。
しかし、2019年にNHKで放映されたデジタル・タトゥー が警鐘を鳴らすように、一旦インターネット上で公開された書き込みや個人情報などが、一度拡散してしまうと、完全に削除するのは不可能です。改正著作権法が施行されるとはいえ、アフターコロナ(新型コロナウィルスの終息後)を見据え、オンライン授業で使用する教材を誰もが閲覧できる場所に置いてしまうのは問題です(後々、著作権法違反で訴えられないように注意しましょう)。本記事ではどのようにして閲覧権限を持つ人のみに電子教材を配布していったらについて解説いたします。
Azure Information Protection (AIP) とは
AIP はファイルやメールなどのコンテンツを暗号化し、特定の状況かでのみコンテンツにアクセスできるようにすることで、情報漏洩を防ぐクラウドサービスです。
#ZIPで暗号化して共有すればいいのではないですか?
日本ではいまだにZIPファイルの暗号化を使うケースがよくありますが、受け取ったユーザーが暗号化を解除しれば、何もセキュリティ設定が施されていないコンテンツになってしまいます。すると自由にコンテンツをコピーできてしまいますし、誰がいつアクセスしたかについての監査を行うことも難しく、特に学外にコンテンツが出てしまった場合、アクセス監査を行うことはほとんど不可能です。
#Word、PowerPoint、Excel はコンテンツにパスワード設定できるから大丈夫なのでは?
Word、PowerPoint、Excelでは、コンテンツにパスワードの設定ができます。PowerPointの場合には、**[ファイル]→[情報]→[プレゼンテーションの保護]→[パスワードを使用して暗号化]**で設定できます。しかしこの方法では、パスワードを知っている自分以外の第三者がパスワード設定を解除することもできてしまうため、意味がありません。
#Azure Information Protection によるコンテンツの保護
AIPによるコンテンツの保護の仕組みを下図に示します。ポイントは、暗号化解除のためのカギがクラウドサービスであるAIPにあるということです。暗号化されたコンテンツを閲覧するには、この暗号化解除のカギが必要でこのカギを取得するには、ユーザー認証を行う必要があります。つまり配布されたコンテンツを他人にメールで送ろうが、どこかのクラウドサービスに置こうが、ユーザー認証できない閲覧権限のない人はこのファイルを見ることができないのです。
#Officeアプリケーション以外のファイルでAIPで保護できるものは
以下の拡張子のファイルが保護できます。
- .txt
- .xml
- .jpg
- .jpeg
- .png
- .jt
- .tif
- .tiff
- .bmp
- .gif
- .jpe
- .jfif
#ファイルの保護の仕方
Office アプリケーションからは、以下の手順で暗号化できます。
[ファイル]→[情報]→[プレゼンテーションの保護]→[アクセスの制限]→[社外秘¥すべての従業員]。 このような設定をするとテナント外の部外者は閲覧できなくなります。
もちろん、特定のユーザーのみ閲覧するといった設定もできます。例えば教授会の資料なので、関係する教授のみが閲覧できるといった設定もできます。
**[ファイル]→[情報]→[プレゼンテーションの保護]→[アクセスの制限]→[アクセス制限あり]**をクリックし、閲覧、変更できるユーザーを入力します。
印刷を禁止するといった設定も可能です。
まとめ
AIPでコンテンツを保護することで、閲覧権限を持たないユーザーは閲覧することができなくなりますので、安全に教材を公開、共有することができるようになります。