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データ分析組織の立ち上げと運用

Last updated at Posted at 2020-12-18

Happy Elements株式会社にて、インフラエンジニア兼インフラグループのリーダーをしております。鷲見といいます。

この記事は、

の19日目の12/19の投稿記事となります。

概要

モバイルゲームの運用とデータ分析。最近では「LiveOps」というようなキーワードでも取り沙汰されるよう、この2つは切っても切れない関係にはあります。しかしながら、なかなか組織的にしっかりと取り組めているところは多くないのではないかと思います。もちろんHappy Elementsも例外ではありませんでした。各ゲームタイトル内で個別にデータ分析を実施していましたが、分析に関する知識を持った人間がしっかりと分析に取り組むといったところまではできていませんでした。

このような状況の中で、2020年にデータ分析を専門的に行うチームを立ち上げ、実際に運用を開始しました。

このデータ分析組織の立ち上げに当たり、どのような課題があり、運用開始までどのようにたどり着いたのか?といった組織立ち上げまでの経緯と、いまどのようなデータ分析をしているのかについて軽く紹介してみたいとおもいます。

データ分析組織の立ち上げ

Happy Elementsが分析に関して抱えていた課題は大きく3つ

  1. データはあるが専門知識をもち深く分析できる人がいない
  2. データの保存先・形式・ツールがタイトルごとにまちまち
  3. データの分析は各タイトルでバラバラで分析ノウハウの共有は行われてない

といった課題を抱え、各タイトルごとに必要になるたびにデータ分析は行っていましたが、しっかりとしたデータ分析はできていない状況でした。

このような課題を抱えていた中で、組織的に専門知識を有するメンバーが各タイトルに入り込み、または全社横断でデータ分析を行うことができれば、よりユーザーに寄り添った 熱狂的に愛されるゲーム運営(*1) ができるようになるのではないかと考えました。ということで前職でデータ分析の経験のあった私が率先して、データ分析組織の立ち上げに取り組んでいくことになりました。

*1・・・Happy Elementsのカカリアスタジオでは「熱狂的に愛されるコンテンツをつくる」がビジョンとなっています。

立ち上げ後運用開始まで

その後メンバーも揃い組織を立ち上げることはできましたが、運用開始までしばらくは準備期間として、データ分析を組織的に行うために、上記課題を解決するために準備活動を行ってきました。

1.分析に対する要件の整理

運用中の各ゲームタイトル・開発進行中のゲームタイトルで、また、ゲームタイトルをまたいで全社横断で働くメンバーに分析に対してどのような要望があるのか?要望のヒアリングを行い、分析に対する要件を整理し、どのような分析ツールを導入するべきか?どのような運用方法にするべきかの検討を行いました。

ちなみにヒアリングの結果でてきた要件について一部紹介しておきます。

  • SQLを知らない非エンジニアでも独力で分析できること
  • 分析結果をプッシュ型で配信ができること
  • 分析結果のデータをXLS,CSV,PDFなど多くの形式でエクスポートできること
  • イベントの効果測定・比較がしやすいこと
  • 複数タイトルのデータを一元管理できること
  • タイトル横断で指標を確認できること

2.データ分析ツールの導入・運用

上記要件の整理の結果、分析ツールについては「SQLを知らない非エンジニアでも独力で分析できること」といった要件を最重要視することになりました。

  1. データの保存先・形式・ツールがタイトルごとにまちまち
  2. データの分析は各タイトルでバラバラで分析ノウハウの共有は行われてない

という課題もまだ解決されていないため、この課題を解決しつつ、要件をみたす分析ツールの選定を行いました

選定の際の候補として比較検討を行ったのは

の3つです。

Metabase

Happy Elementsでも利用実績のあるオープンソースのデータ可視化・BIツールです。

メリット

  • オープンソースのためコストを抑えることができる。
  • オープンソースのため自分で改良もできる

デメリット

  • サーバーの運用管理は自分たちで行わなければならない
  • 非エンジニアが独力でデータ分析を行うのが難しい

Tableau

大企業からベンチャーまで多くの企業で実績のある老舗BIツールです。オンライン版もありますが主力はデスクトップアプリケーションです。

メリット

  • 直感的に操作可能なUI
  • 導入事例の多さ

デメリット

  • サーバー管理不要なオンライン版もあるが、設定が煩雑
  • 非エンジニアが独力でデータ分析を行うのが難しい

Looker

最近話題の新進気鋭のデータ分析ツール。現在はGoogleに買収されGoogleグループになりました。SaaS型Webアプリケーションです。

メリット

  • データの定義を統一化し共有することができる
  • 非エンジニアが独力でデータ分析を行うことが可能
  • 分析データのサイロ化を防ぎ一元管理が可能
  • 管理機能・サポートが充実
  • SaaS型のためメンテナンス不要

デメリット

  • お値段が少し高い(価格は非公開)
  • エンジニアがデータ定義のためLookMLを覚える必要がある

メリット・デメリット

まとめると以下のようになります。

ツール メリット デメリット
Metabase ・OSSのためコストを抑えることができる。
・OSSのため自分で改良もできる 
・サーバーの運用管理は自分たちで行わなければならない
・非エンジニアが独力でデータ分析を行うのが難しい
Tableau ・直感的に操作可能なUI
・導入事例の多さ
・サーバー管理不要なオンライン版もあるが、設定が煩雑
・非エンジニアが独力でデータ分析を行うのが難しい
Looker ・データの定義を統一化し共有することができる
・非エンジニアが独力でデータ分析を行いやすい
・分析データのサイロ化を防ぎ一元管理が可能
・管理機能・サポートが充実
・SaaS型のためメンテナンス不要
・お値段が少し高い(価格は非公開)
・エンジニアがLookMLを覚える必要がある

選んだのは?

今回分析の要件で一番重視した点は「SQLを知らない非エンジニアでも独力で分析できること」という点でした、この点で今回は「Looker」を採用することにしました。エンジニアがデータの辞書を準備し、データを事前定義しておくことで、SQLを知らなくても本格的なデータ分析を行うことができるという点が非常に魅力でした。

Looker導入決定から運用開始まで

Lookerの導入を決定してからは、データ定義・ダッシュボード設計を行い運用開始に備えました。

分析の運用開始後

その後、運用タイトルでのデータ分析を開始し、Lookerをつかって日々のデータの確認/分析結果の共有を行っています。

どのような分析を行っているかですが、熱狂的に愛してもらえるコンテンツとなるべく、

  • どのようなユーザーが遊んでくださっているのか?
    • ユーザーの行動特徴によるカテゴライズ
  • ユーザーがどのように遊んでくださっているのか?
    • ユーザーのプレイ状況調査
      • 不満な点・つまっている箇所の分析
      • ゲーム内のコンテンツのプレイ状況調査
      • 遊び方の特徴調査
      • 人気キャラの調査
  • ゲームタイトルの評判はどうか?
    • SNSの調査
      • SNS上ではどのような話題が盛り上がっているのか?
      • どのようなキーワードがよくでてくるのか?

といった分析を行い、ゲームタイトルの運用チームと改善の活動を行っていっています。

もちろんLookerをつかって分析データの可視化も行っていますが、それ以外にもGoogle Colaboratoryで機械学習技術も使い、より専門的で入り込んだデータ分析も行っていっています。このあたりはデータアナリストがHappy Elements Advent Calendar 2020 で紹介してくれると思います。

2020年を振り返って

2020年はデータ分析チームを立ち上げ、誰もが自分で分析を行えるデータ分析ツールを導入し、運用ゲームタイトルでのデータ分析を開始することができました。

タイトルの運用メンバーからはある程度満足いただけているようではありますが、まだまだ課題も山積みです

  • まだタイトル横断でのデータ分析はほとんど手つかずです
  • 分析ツールを使って独力で分析できるメンバーもまだまだ少ないです

これらの点を改善しつつ、より「熱狂的に愛されるコンテンツ」をユーザーにお届けするため、データ分析の力で手助けしていければと思います。

また、今回は具体的なデータ分析の内容についてはお話できませんでしたが、来年はどこかで内容についてもお話できるような場も設けていきたいなと思います。

さいごに・・・

Happy Elements株式会社 カカリアスタジオでは、いっしょに【熱狂的に愛されるコンテンツ】をつくっていただけるメンバーを大募集中です!
もし弊社にご興味持っていただけましたら、是非一度下記採用サイトをご覧ください。

Happy Elements株式会社 採用特設サイト

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