はじめに
Amazon Connect のエージェントイベントストリームとは、Amazon Connect にログインしているエージェントの活動イベントをリアルタイムで取得する機能です。今回は私が Amazon Connect の状態表示のダッシュボードを作成した際によくクエリで使用したイベントオブジェクトのプロパティについて紹介いたします。
Amazon Connect におけるエージェントイベントストリームのデータモデル
環境
今回紹介する AgentEvent、AgentEvent_Contact、ContactEvent は下記の公式ドキュメントを参考に構築したものです。この構成では Amazon Connect からのイベントオブジェクトを TimeStream に保存しています。
Amazon Timestream を使って Amazon Connect のリアルタイムモニタリングを実現する方法
AgentEvent
- EventType
エージェントイベントストリーム内で出力されるイベントの種類を表す属性。
有効な値は STATE_CHANGE、HEART_BEAT、LOGIN、LOGOUT の 4 種類です。
属性 | 概要 |
---|---|
STATE_CHANGE | エージェントの状態が変化した際に発生 |
HEART_BEAT | エージェントが Amazon Connect に接続し続けている限り発生 |
LOGIN | エージェントが Amazon Connect にログインした際に発生 |
LOGOUT | エージェントが Amazon Connect からログアウトした際に発生 |
- CurrentAgentSnapshot
エージェントの基本的な設定(名、姓、階層、ルーティングプロファイル)が含まれます。表示形式は CurrentAgentSnapshot_XXXXX です。
AgentEvent_Contact
- Channel
Amazon Connect でエージェントが対応する通信の方法(チャネル種別)を表す属性。
有効な値は VOICE、CHAT、TASKS の3種類です。
「音声通話のみの着信数」のように、チャネルを絞る際に使用しました。
属性 | 概要 |
---|---|
VOICE | 音声通話チャネルのコンタクトの際に発生 |
CHAT | チャットチャネルのコンタクトの際に発生 |
TASKS | タスクチャネのコンタクトの際に発生 |
- InitiationMethod
コンタクトが開始された方法を表す属性。
全部で9種類ありますが、今回は特によく使う INBOUND、OUTBOUND、TRANSFER を紹介します。
「アウトバウンドの応答数は除外する」という要件を満たすために使用しました。
属性 | 概要 |
---|---|
INBOUND | 顧客が自分からコンタクトセンターへ電話をかけてきた場合に発生 |
OUTBOUND | エージェントが Amazon Connect CCP から顧客に電話をかけた場合に発生 |
TRANSFER | エージェントが通話中の顧客を別のエージェントやキューに転送した場合に発生 |
- State
コンタクトの現在の処理状態を示す属性。
これは着信数や応答数、待ち呼数などを判定するためによく使用しました。
属性 | 概要 |
---|---|
INCOMING | コンタクトが到着しており、エージェントへの着信が発生している状態 |
PENDING | 処理が保留されている状態 |
CONNECTING | コンタクトがエージェントへ接続中の状態 |
CONNECTED | エージェントと顧客が接続され、対応中の状態 |
CONNECTED_ONHOLD | コンタクトが接続中で、かつ保留状態にある状態 |
MISSED | エージェントが着信に応答せず、コールやチャットが切れた状態 |
PAUSED | 一時停止状態 |
REJECTED | エージェントが着信を拒否した状態 |
ERROR | コンタクト処理中にエラーが発生した状態 |
ENDED | コンタクトが終了した状態 |
ContactEvent
- EventType
問い合わせイベントでどの種類のイベントが発生したかを示す文字列属性。
属性 | 概要 |
---|---|
INITIATED | 問い合わせが開始または転送されたときに発生 |
CONNECTED_TO_SYSTEM | 問い合わせが相手側で応答され、メディア接続が確立されたときに発生 |
CONTACT_DATA_UPDATED | 問い合わせの属性、タグ、ルーティング条件などが更新されたときに発生 |
QUEUED | 問い合わせがキューに入り、エージェントへの割当待ちになったときに発生。着信数を判定するために使用 |
CONNECTED_TO_AGENT | エージェントと問い合わせが接続されたときに発生。応答数を判定するために使用 |
DISCONNECTED | 問い合わせが切断されたときに発生 |
PAUSED | タスクが一時停止されたときに発生 |
RESUMED | 一時停止されていたタスクが再開されたときに発生 |
COMPLETED | 問い合わせが完全に終了し、アフターコンタクトワーク(ACW)も完了したときに発生 |
ちなみに COMPLETED 属性は2025年5月1日付けのアップデートで追加されたそうです。今まではコンタクトの完了(ACWの完了)時にイベントが発行されませんでしたが、このアップデートにより、ACWが完了時にイベントが発行されるようになりました。
Amazon Connect、コンタクト終了後のイベントを Contact Event Stream に送信可能に
おわりに
今回はコンタクトセンターの状態表示のダッシュボードを作成する際によく使うエージェントイベントストリームを紹介しました。個人的には COMPLETED 属性がアップデートにより追加になったことが嬉しかったです。