はじめに
2024年12月23日付けの AWS アップデートにて、Amazon Connect に関する発表が2件ありました。今回はこちらの習熟度に関連する機能のアップデートについて実機検証を行いましたので、ご紹介します。
Amazon Connect が特定の範囲のエージェントの習熟度へのルーティングのサポートを開始
Amazon Connect でルーティング時に特定の習熟度を除外する機能を提供
習熟度の設定方法
習熟度は、Amazon Connect が提供する機能の一つで、エージェントごとのスキルや言語の流暢さなどを数値で設定し、コールフロー内でそのレベルに応じたルーティングを行うことができます。習熟度はレベル1からレベル5まで選択可能で、デフォルトでは connect:Language と connect:Subtype 属性が登録されています。
例えば、次のような設定が可能です。
- クレジットカードと自動車ローンに関する問い合わせを持つ顧客が、クレジットカードレベル4以上かつ自動車ローンレベル4以上のスペシャリストに接続される。
今回の検証ではデフォルトの connect:Language を使用します。
まずは、ユーザー管理から対象のエージェントの習熟度を設定します。対象のユーザーを開くと、一番下に「詳細設定を表示」とあるので、そちらをクリックします。そうすると、属性を設定できる項目があるので、今回は英語の習熟度をレベル2に設定しました。
次に、対象のフローで「ルーティング条件の設定」ブロックを挿入します。このブロックは「キューへ転送」ブロックの前に配置するのが適切です。
このブロックで要件を設定していきます。以下の画像では、英語の習熟度レベルが3以上のエージェントが該当するため、もし、先ほど設定したエージェントがいる場合はつながりません。有効期限を10秒に設定しているため、10秒経てばつながるようになります。
Amazon Connect が特定の範囲のエージェントの習熟度へのルーティングのサポートを開始
習熟度レベルが今までは相対範囲での指定でしたが、今回のアップデートで絶対範囲も指定できるようになりました。
「ルーティング条件の設定」ブロックで手動で設定→要件の追加をクリックします。事前定義された属性と値を入力し、その下に相対範囲と絶対範囲が選べるようになっているので、絶対範囲を選択します。すると、最小習熟度レベルと最大習熟度レベルが設定できるので、以下の画像では2~3を選択しています。これで電話をかけると、上で設定したエージェントの習熟度に該当するので、電話がつながります。
Amazon Connect でルーティング時に特定の習熟度を除外する機能を提供
こちらのアップデートでは、習熟度を除外するための NOT 演算子が新たに追加されました。
こちらは 「AWS Lambda 関数の呼び出し」ブロックからの出力に基づいて、ルーティング基準を判定するため、動的に設定する場合にのみ使用できます。
呼び出す Lambda 関数のように記載しました。
この Lambda 関数は英語以外に属しているエージェントにつながります。そのため、今回設定したエージェントは英語の習熟度を設定しているため、つながりません。
export const handler = async(event) => {
const response = {
"MyRoutingCriteria": {
"Steps": [
{
"Expression": {
"NotAttributeCondition": {
"Name" : "connect:Language",
"Value" : "connect:English",
"ProficiencyLevel": 1,
"ComparisonOperator": "NumberGreaterOrEqualTo"
}
},
"Expiry" : {
"DurationInSeconds": 30
}
}
]
}
}
return response;
};
「ルーティング条件の設定」ブロックは動的に設定、名前空間を外部、キーを MyRoutingCriteria と設定しました。
このアップデートにより、特定の習熟度を除外するルーティングが可能となりました。
まとめ
今回は習熟度のアップデート情報について実機検証しました。
習熟度を利用することによって、適切なスキルを持つエージェントが対応できるため、問い合わせの品質向上が見込めます。
この記事がどなたかの参考になれば幸いです!