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【初心者向けTips】単純作業はもう嫌だ!GASツール作りの4つの技

Last updated at Posted at 2020-12-08

この記事はモチベーションクラウドシリーズアドベントカレンダー2020の9日目の記事です。

最近GASでツールを作成したので、その経験を基に、GASツールを作成するための4つの技を紹介します。
この4つの技を覚えれば、GASツールで煩わしい作業から解放されます!

4つの技

GASツールを作成するために覚える4つの技は「関数」「イベントトリガー」「スプレッドシート連携」「外部API連携」です。
この4つを覚えればGASツールを作成できます。

関数:プログラムを定義する技
イベントトリガー:関数を起動する技
スプレッドシート連携:スプレッドシートを読み込んだり書き込んだりする技
外部API連携:Slackなどの外部APIと連携する技

関数:プログラムを定義する技

プログラムを定義するために関数を作成します。GASは定義した関数を実行することができます。

スプレッドシートのメニューバーからツール>スクリプトエディタの順にクリックすると、別タブにスクリプトエディタが表示されます。
スクリーンショット 2020-12-08 17.50.45.png
スクリーンショット 2020-12-08 17.52.50.png

スクリプトエディタからgsファイルを編集して、以下のように関数を定義します。

function hello() {
  // 実行するプログラム
}

例ではhello関数を定義しました。helloは定義したい関数の名前にあわせて入力してください。

イベントトリガー:関数を起動する技

作成した関数も起動しなければ動きません。作成したプログラムを起動するための3つのイベントトリガーを紹介します。

ボタン

関数を起動するためのボタンを作成して、ボタンがクリックされたら関数が起動するようにできます。

ボタンの作成方法
スプレッドシートのメニューバーから挿入>図形描画をクリックすると、図形描画モーダルが表示されます。
図形描画モーダルでボタンを作成することができます。
スクリーンショット 2020-12-08 18.04.04.png
スクリーンショット 2020-12-08 18.04.37.png

図形描画モーダルのメニューバーから図形>図形>ボタンのような図形を選択して図形描画モーダルにボタンを追加します。

スクリーンショット 2020-12-08 18.05.56.png
スクリーンショット 2020-12-08 19.03.42.png

図形描画モーダルにボタンを追加したら、ボタンに文言を入力しましょう。
保存して終了ボタンをクリックすると、シートにボタンを作成できます。
スクリーンショット 2020-12-08 19.04.42.png

作成したボタンを右クリックすると、ボタンの右上に**︙**が表示されます。
︙>スクリプトを割り当てをクリックすると、スクリプトを割り当てモーダルが表示されます。
スクリーンショット 2020-12-08 19.05.11.png

スクリプトを割り当てモーダルで関数を設定できます。
スクリーンショット 2020-12-08 19.05.46.png

hello関数を割り当てる場合は、helloと入力してOKボタンをクリックすれば、hello関数を割り当てることができます。

タイマー

タイマーを設定して、関数を特定の時間に起動するようにできます。

タイマーの設定方法
スプレッドシートのメニューバーからツール>スクリプトエディタの順にクリックすると、別タブにスクリプトエディタが表示されます。
スクリプトエディタのメニューバーから現在のプロジェクトトリガーをクリックすると、別タブにトリガー画面が表示されます。
スクリーンショット 2020-12-08 19.10.08.png
スクリーンショット 2020-12-08 19.11.06.png

トリガーを追加ボタンをクリックすると、GAS Botsのトリガーを追加モーダルが表示されます。
スクリーンショット 2020-12-08 19.12.22.png

設定項目 設定内容
実行する関数を選択 タイマーで起動したい関数を選択します。
実行するデプロイを選択 Headを選択します。
イベントのソースを選択 タイマーを設定したいので時間主導型を選択します。

イベントのソースを選択で時間主導型を選択すると、時間ベースのトリガーのタイプを選択が設定できるようになります。

  • 特定の日時・・・特定の日時に1回関数を起動します。
  • 分ベースのタイマー・・・指定の分おき毎に関数を起動します。1分おきから30分おきの範囲で選択できます。
  • 時間ベースのタイマー・・・指定の時間おき毎に関数を起動します。1時間おきから12時間おきの範囲で選択できます。
  • 日付ベースのタイマー・・・特定の時刻に関数を起動します。午前0時〜1時から午後11時〜午前0時の範囲で選択できます。
  • 週ベースのタイマー・・・特定の曜日の特定の時刻に関数を起動します。週は毎週月曜日から毎週日曜日の範囲で選択できます。時刻は午前0時〜1時から午後11時〜午前0時の範囲で選択できます。
  • 月ベースのタイマー・・・特定の日の特定の時刻に関数を起動します。日は1日から31日の範囲で選択できます。時刻は午前0時〜1時から午後11時〜午前0時の範囲で選択できます。

保存ボタンをクリックすると、タイマーの設定が完了します。
スクリーンショット 2020-12-08 19.13.30.png

Webhook

WebhookとはSlackなどの外部サービスのイベントを受信するための仕組みです。
WebhookでイベントをHTTPリクエストとして受信して、関数を起動するようにできます。

Webhookの実装方法
WebhookはdoGet関数/doPost関数で実装します。
doGet関数は連携する外部サービスがGETメソッドでリクエストを送信する場合に利用します。
doPost関数は連携する外部サービスがPOSTメソッドでリクエストを送信する場合に利用します。
連携する外部サービスがどのようなリクエストを送信するかによってdoGet関数/doPost関数のどちらを利用するかは変わります。

doGetの実装例

function doGet(event) {
  const target = event.parameter.target;
  hello(target)
}

例ではリクエストのtargetパラメータを取得して、hello関数を実行します。
event.parameterプロパティからリクエストのパラメータを取得できます。

doPostの実装例

function doPost(event) {
  const parameter = JSON.parse(event.postData.contents);
  const target = parameter.target;
  hello(target)
}

例ではリクエストのtargetプロパティを取得して、hello関数を実行します。
event.postData.contentsからリクエストのbodyを取得できるので、JSON.parseでパースしてオブジェクトに変換して利用します。

複数の外部サービスからリクエストを受け付ける場合
doGet関数/doPost関数は1つしか実装できないため、doGet関数/doPost関数内でif文などを利用して外部サービス毎に処理を切り替える必要があります。

Webhook URLの生成方法
Webhookの関数を作成した後、Webhookを起動するためのURLを生成する必要があります。
スプレッドシートのメニューバーからツール>スクリプトエディタの順にクリックすると、別タブにスクリプトエディタが表示されます。
スクリプトエディタのメニューバーから**公開>ウェブ アプリケーションとして導入…**をクリックすると、「Deploy as web app」モーダルが表示されます。
スクリーンショット 2020-12-08 19.15.01.png
スクリーンショット 2020-12-08 19.18.22.png

設定項目 設定内容
Project version Newを選択します。
Execute the app as 自分のメールアドレスを選択します。
Who has access to the app: Anyone, even anonymousを選択します。

Deployボタンをクリックします。

Current web app URLが表示されます。このURLが外部サービスからリクエストを送信するとWebhookが実行できるWebhook用のURLです。
スクリーンショット 2020-12-08 19.19.55.png

「非公開」にはできませんので、第三者に漏洩しないように取り扱いには十分にご注意ください。

Webhook用のURLを生成した後に修正した場合
修正を反映するためにWebhook用のURLを再生成する必要があります。

スプレッドシート連携:スプレッドシートを読み込んだり書き込んだりする技

スプレッドシートと連携して、関数の実行結果をスプレッドシートに書き込んだり、関数を実行する用の設定をスプレッドシートから読み込んだりすることができます。

対象のセルを取得
スプレッドシートに書き込みをする場合でも読み込みをする場合でも、操作対象のセル範囲を取得する必要があります。
操作対象のセル範囲を取得するには、以下のメソッドを利用します。

  • SpreadsheetApp.getActiveSpreadsheet()・・・対象のスプレッドシートを取得します。
  • Spreadsheet#getSheetByName(name)・・・指定のシート名に該当するシートを取得します。
  • Sheet#getRange(row, column)・・・指定の引数に該当するセル範囲を取得します。
  • Sheet#getRange(row, column, numRows)・・・指定の引数に該当するセル範囲を取得します。row, columnで範囲の開始位置を指定して、numRowsで範囲の終了位置を開始位置から相対的に指定します。
  • Sheet#getRange(row, column, numRows, numColumns)・・・指定の引数に該当するセル範囲を取得します。row, columnで範囲の開始位置を指定して、numRows, numColumnsで範囲の終了位置を開始位置から相対的に指定します。
  • Sheet#getRange(a1Notation)・・・指定の引数に該当するセル範囲を取得します。文字列でgetRange("A1")getRange("A1:B2")getRange("A2:A")などと指定します。

Sheet#getRange(*)の指定方法が分かりづらい場合、こちらが分かりやすいかもしれません。

書き込み
対象のセル範囲に値を書き込むには、Range#setValues(values)メソッドを利用します。valuesは値の2次元配列です。

以下の例シートのように値を設定する場合は、

A B C
1 A1 B1 C1
2 A2 B2 C2

以下のように実装します。

const spreadsheet = SpreadsheetApp.getActiveSpreadsheet();
const sheet = spreadsheet.getSheetByName("");
const range = sheet.getRange("A1:C2");

range.setValues([
  ["A1", "B1", "C1"],
  ["A2", "B2", "C2"]
]);

読み込み
対象のセル範囲から値を読み込むには、Range#getValues()メソッドを利用します。戻り値は値の2次元配列です。

以下の例シートから値を設定する場合は、

A B C
1 A1 B1 C1
2 A2 B2 C2

以下のように実装します。

const spreadsheet = SpreadsheetApp.getActiveSpreadsheet();
const sheet = spreadsheet.getSheetByName("");
const range = sheet.getRange("A1:C2");

const values = range.getValues();

console.log(values); // output: [["A1", "B1", "C1"], ["A2", "B2", "C2"]]

外部API連携:Slackなどの外部APIと連携する技

関数から外部APIにHTTPリクエストを送信することができます。
外部API連携することでGASからSlackにメッセージを送信するなどができます。

URL Fetch App
GASから外部APIにHTTPリクエストを送信するには、UrlFetchApp.fetch(url[, params])メソッドを利用します。戻り値はHTTPResponseです。

引数は主に以下の値を指定します。

引数 説明
url String HTTPリクエストを送信する宛先のURL
params.contentType String リクエストのContent-Typeを指定します。JSONを送信する場合は"application/json"を指定します。
params.headers Object リクエストヘッダをkey/valueのオブジェクトで指定します。
params.method String HTTPメソッドを指定します。デフォルトは"get"です。
params.payload String リクエストボディを指定します。GETメソッドの場合は指定できません。オブジェクトを指定するとapplication/x-www-form-urlencodedmultipart/form-dataかとして扱われます。

HTTPResponseは主に以下のメソッドを利用します。

メソッド 戻り値の型 説明
getContentText() String レスポンスボディを取得します。
getHeaders() Object レスポンスヘッダを取得します。
getResponseCode() Integer 200などのHTTPステータスコードを取得します。

Slackのsampleチャンネルに"hello"というメッセージを送信する場合は、以下のように実装します。

const data = {
  channel: "sample",
  text: "hello"
};

response = UrlFetchApp.fetch(
  "https://slack.com/api/chat.postMessage",
  {
    contentType: "application/json"
    headers: {
      "Authorization": "Bearer xoxp-xxxxxxxxx-xxxx"
    },
    method: "post",
    payload: JSON.stringify(data)
  });

console.log(response.getResponseCode()); // output: 200
console.log(response.getContentText()); // output: '{ "OK": true, ... }'

まとめ

GASでツールを作成するための4つの技を紹介しました。
ほとんどのツールは4つの技の組み合わせで作成することができます。
日々の業務やプライベートで自動化したい作業があれば、ぜひ自動化して楽になってもらえれば嬉しいです!

私は4つの技を駆使して、単純作業だった勤怠連絡をツール化して、楽をしてます!

皆様もGASでツールを作成してエンジョイライフを過ごしましょう!

【補足】なぜ、GAS?

GUI/CUIを作るコストが少ない
GUIはスプレッドシートの機能で簡単に作成することができます。

実行環境を準備する必要がない
GASはGoogleのスプレッドシート上で動作するため、実行環境を準備する必要がありません。

簡単に共有できる
GASはGoogleのスプレッドシート上で動作するため、他のユーザーにも簡単に共有できます。

【おまけ】GASで何を作った?

私は4つの技を駆使して、毎日Slackに勤怠連絡していた作業をツール化しました。

勤怠連絡
ワンクリックで勤怠連絡を行いたかったので、ボタンをクリックしたらSlackに勤怠連絡できるようにしました。
イベントトリガーのボタンを作成して、ボタンクリックに割り当てた関数から外部API連携を実行して、Slackに勤怠連絡メッセージを送信できるようにしました。
ボタンは「勤務開始ボタン/勤務終了ボタン/休憩開始ボタン/休憩終了ボタン」を実装し、ボタン毎に勤怠連絡メッセージが変わります。
ツールを作る前はSlackでメッセージと勤怠日時を手動入力してました。

スクリーンショット 2020-12-08 19.21.35.png
スクリーンショット 2020-12-08 19.24.40.png

ユーザ設定
ツールは他の開発メンバーにも共有したかったので、ユーザ設定シートを作って、勤怠連絡メッセージのユーザ名とアイコンを開発メンバー毎に設定できるようにしました。
スプレッドシート連携でユーザ設定シートと連携して、ユーザ設定シートからユーザ名とアイコンを読み込んで、勤怠連絡メッセージのパラメータに設定するようにしました。
スクリーンショット 2020-12-08 19.22.24.png

タイムカード
勤怠連絡した日時を簡単に視認できるようにしたかったので、タイムカードシートを作成して、タイムカードに勤怠日時を記録するようにしました。
勤怠連絡の操作時に、スプレッドシート連携でタイムカードシートと連携して、タイムカードシートに勤怠日時を書き込みました。
タイムカードシートに日々の稼働状況が記録されているため、「日付/出勤時間/退勤時間/非稼働時間」を一覧で見ることができます。
ツールを作る前はSlackに連絡した内容をスクロールで遡って確認してました。月次の稼働報告のために1ヶ月分も遡っていたので大変でした。
スクリーンショット 2020-12-08 19.21.51.png

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