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経営者マインドが足りない!vs. 現場に任せてくれない!の対立をなくすカードゲームをつくった話

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デリゲーションポーカーを作った

プランニングポーカーみたいに権限委譲を促進するカードゲーム、「デリゲーションポーカー」をいきおいでつくった。さらにLINEスタンプも作った。

権限と責任の話

経営者マインドが足りない!の欺瞞

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よくネットで炎上しがちなひとが「経営者マインドが従業員に足りない!」というようなアメリカ人には大和魂がない!的なそりゃそうだろとしか言いようのない言説を口にします。

この表現はさておき、このような言説を口にしてしまう背景には何があるでしょうか。このような人はきっと自分の会社の従業員にもっといろんなことを任せていきたいと思っているのでしょう。

ところが、そのような期待値をしっかりと部下に対して伝えることができていないため、メンバーも自分自身の成長のタネがどこにあるかわからずに、ただ苦しい思いをしてしまいます。

このような言説は欺瞞的で、つまりは自身にマネージメント能力がないと告白しているようなものです。

組織は一人ではできないことをするための装置

そもそも組織には権限委譲が不可欠です。一人の人がすべての行動を考えて一挙手一投足を管理することを考えてみてください。そんなことはできません。多くの人が自分の権限の中で、精一杯頭を使うことではじめて、組織全体が一人以上の力を発揮することができるのです。

権限をたくさん渡せれば渡せるほど、経営者はより先の未来を見据えて本質的なアクションをとることができます。権限を渡せないと、どんどんど自分の時間というリソースがメンバーの行動をマイクロマネジメントすることに取られてしまって、組織の成果が少なくなってしまいます。

そのため、権限の委譲は組織の生産性にとってもっとも重要なアクションです。しかし、最初から全ての人があらゆる権限を自在に扱える訳ではありません。

現場に任せてくれない!の欺瞞

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「現場に権限を任せてくれない!」と嘆く時、(ちゃんとした)上司は「まだ何かが足りない」と考えているから、それを渡してくれないのです。それがメンバーにとって、チームにとっての成長の種です。それを何かあきらかにしないと改善して成長していくことができません。チームやメンバーが成長するごとに、だんだんと権限が委譲されていき、自律的で自己組織的なチームができあがるはずです。

「権限」には裏返しに「責任」が存在する

「現場に任せることができない」と考えさせてしまう理由は、責任の所在をどこにおくかによります。権限にはつねに「責任」が付いて回ります。何かをすることができるということは、逆に何かの責任を追うということなのです。

権限と責任の認識を一致させることが重要

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「うちは自由な社風だから」といって、従業員に十分な権限が委譲できていると錯覚してしまう経営者も多数います。権限を明示することは、「縛ること」であって、明示しないからこそ自由であるとする発想をすると、多くの場合問題が生じてしまいます。

従業員にとって明示的でない権限は、もっとも不自由な状態とちがいがありません。権限が明示的でないことが意味しているのは、上司の胸先三寸で権限について差配できるということです。これは実質、全ての権限が上司にある状態と変わらないのです。あるときはよくて、あるときはよくないというように朝令暮改であったならば、従業員は最小限度の権利しか行使しないでしょう。

経営者、あるいは上司が「権限を与えているはずなのに、自由に提案をしてくれない、経営者マインドを持ってくれない」という嘆きはをするとき、多くの場合、十分に責任を自覚した上で必要な権限を受け取っているのであれば、このような問題は起きません。

このような認識に至るのは、権限を与えていると部下に明示的にコミュニケーションできていないか、それに伴う責任を十分に理解させられていないということを意味しています。

「責任はあるが権限がない」状態では、部下は自分で問題解決を行う裁量が無いのにその責任を負わされることになります。これでは、部下はただ責任を負わされることに嫌気がさしてしまいます。

このような認識の不一致を埋めていくためには"明示的で" "連続的な" コミュニケーションが必要不可欠です。権限というものがなんであるか「わかっているようでわかっていない」ことも多いことでしょう。上司と部下の間のコミュニケーションは、権限と責任の期待値を揃えて行くことによって初めて成立します。

権限には7段階のレベルが存在する

権限委譲といっても、0か1かで判断する必要はありません。1つの事柄に対する権限を上司が部下に対してどの程度渡すのか、あるいは渡さないのかについて7段階のレベルがあります。

レベル 詳細
image.png (上司が部下に)命令する 上司がすべてを決定して、部下に対してそれをするように命令するという権限のレベル。この状態では、上司に全ての権限がある
image.png (上司が部下に)説得する 上司が部下に対して「なぜそうするのか/どうしてやるのか」を説明し、説得します。部下は、説明をよく理解し趣旨に合うように実施を行います
image.png (上司が部下に)相談する 上司が行う提案を部下に対して相談します。最終決定の前に、部下に意見を求めるという権限のレベル
image.png (上司が部下と)合意する上司と部下が合意をして初めて、その指示を遂行するようにします。このレベルになる上司と部下の権限は同じレベル
image.png (上司が部下に)助言する 部下が提案を行います。その提案に対して上司は、気になる点などを指摘します。これは助言であって、命令ではありませんので、部下は全て聞き入れる必要はありません。
image.png (上司が部下に)たずねる 部下が決めたことを、上司が報告を求めた時だけ説明します。報告を受けて意見を言うことはありますが決定権はメンバーにあります。
image.png (上司が部下に)委任する 部下が上司の確認なしに実施をしてよい権限です。上司がそのことについて尋ねた時のみ、回答します。イレギュラーのない日常業務などは、この権限が部下に渡されていないと上司は確認作業を行わないといけなくなり、ボトルネックになるかもしれません

これらは、その組織で行う様々な業務で項目別に明らかにする必要があります。たとえば、「その件は、自由にしていいよ」と上司が行った時に、曖昧な権限に関するコミュニケーションが生まれています。それは、権限のレベルでいうと7のことなのか、6なのか、それとも5なのか。そこがわからないと、認識の不一致があったときにトラブルが生まれます。

上司は、それぞれの業務を部下がより高いレベルで権限を委譲できるように育成する必要があります。そのために必要な責任や考えるべきことについて、定期的にメンタリングを行い、責任の認識レベルを上げていきます。また部下は、自分の権限を拡大できるように、自分の問題認識のレベルのどこが足りないのかを真摯に向き合い、成長していく必要があります。

そこでデリゲーションポーカー

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権限委譲のレベルについて、上司と部下あるいはビジネス上の関係者との間で「一致した認識」を作ることは非常に重要です。それは、自分自身にどのような責任があることを示していて、同時にどのような自由度があるのかを示すものだからです。

これらの合意を楽しみながら作る手法として、「デリゲーションポーカー」というゲームが発案されています。上司と部下との間で、心理的安全性を維持しながら、権限について話し合うことができるため、近年注目を浴びています。

デリゲーションポーカーのルール

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デリゲーションポーカーで権限を透明化しよう

権限が明示的で、双方が合意している状態になると、お互いの「期待のずれ」が発生しにくくなります。その結果、双方に不満が積もってしまいます。デリゲーションポーカーを通じて透明化することで、納得感のある上下関係を作ることができます。

「言うたびにひっくり返される」のに「自分で考えろ」と言われてしまう。このような、ありがちで非生産的な上下関係は不透明な権限理解によるものです。この状態では、組織の生産性はどんどん低下していってしまいます。

そんなこといってもウチの現場じゃそんなことできる雰囲気じゃないよ

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エンジニアリング組織論への招待
~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング

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カードは小ロット生産のため、2500円と少し割高になってしまいました。
誰か安くつくれるところを教えてください。