はじめに
本稿は、拙書のエンジニアリング組織論への招待~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリングに関する参考となる書籍を企画意図とともにあげていく試みです。できる限り、専門書ではなく平易な文体の書籍を参考としてあげていきますので、このあたりを深掘りしたいなと思ったら、その箇所のみの参考書籍を併読していただけるとより理解が深まると思います。
Chapter 1 思考のリファクタリング
第1章は、「仕事」と「学力テスト」という2つの違いを論じながら、16世紀から20世紀初頭にいたるまでの科学哲学の歴史を辿っていくというのが「裏テーマ」となっています。そこから、「知識を得る」とは何かということを浮き彫りにし、それこそが<エンジニアリング>であると論じるということが本書を通じた論理展開の骨子です。
そのため、直接の参照ではありませんが、科学という概念が西洋社会でどのように生まれてきたのかという点をガイドラインとしています。以下の書籍は、そのダイナミズムを味わうことができる良い歴史書です。
- 書籍:科学の発見
- 書籍:一四一七年、その一冊がすべてを変えた
- 書籍:科学vs.キリスト教 世界史の転換
- 動画:世界の奇書をゆっくり解説 番外編 「天体の回転について」
- 動画:世界の奇書をゆっくり解説 番外編2「物の本質について」
1-2 不確実性とエンジニアリング
エンジニアリングという概念について理解するために、不確実性コーンを引き合いにエントロピーという概念と情報の関係、そして不確実性を減らしていく工程がエンジニアリングであると論じていきます。
- 用語:不確実性コーン -Deadly 10 sins of software estimation
- 論文:A Mathematical Theory of Communication、Shanon
- 用語:通信不確実性と環境不確実性 - 第8回 不確実性と現代会計
-「不確実性の経済学」の視点から- - 書籍:自己組織化する宇宙―自然・生命・社会の創発的パラダイム
1-4 論理的思考の盲点
論理的思考には前提があり、その前提を満たすことが難しいという観点から、
人間の認知にはどのような特性があるのかを論じていきます。
- 書籍:反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」
- 書籍:認知的不協和の理論―社会心理学序説
- 書籍:パワハラ防止のための アンガーマネジメント入門: 怒り、イライラのコントロールで、職場は変わる! 成果が上がる!
- 書籍:ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 書籍:ファスト&スロー(下) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 書籍:不安をなくす技術 (フォレスト2545新書)
1-5 経験主義と仮説思考
経験主義とプラグマティズム、仮説検証という概念を整理するために
科学哲学史を参照していきます。そのなかで、リースタートアップや不確実性分析という現代的な経営学との関連を論じていきます。
- 書籍:科学哲学への招待
- 書籍:英米哲学史講義
- 書籍:パースの哲学について本当のことを知りたい人のために
- 書籍:アブダクション―仮説と発見の論理
- 用語:経験主義/合理主義 rationalism vs. empiricism
- 書籍:《新装版》不確実性分析 実践講座
- 書籍:リアルオプションの思考と技術
- 書籍:リーン・スタートアップ
- 書籍:Running Lean ―実践リーンスタートアップ (THE LEAN SERIES)
- 書籍:起業の科学 -スタートアップサイエンス
1-6 全体論とシステム思考
20世紀からの部分の総和が全体ではないという特性をどのように、理論化してきたのか。
その背後にある神秘的な色彩を排除しながら、非線形数理モデルの世界とシステム思考という合理性について論じていきます。
- 書籍:ホーリズムと進化
- 書籍:世界はシステムで動く ―― いま起きていることの本質をつかむ考え方
- 書籍:なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか?―小さな力で大きく動かす!システム思考の上手な使い方
- 書籍:一般システム理論――その基礎・発展・応用
- 書籍:システム思考―複雑な問題の解決技法 (BEST SOLUTION)
- 書籍:三式簿記の研究―複式簿記の論理的拡張をめざして
1-7 人間の不完全さを受け入れる
社会システム理論の参照、新制度派経済学の前提となる「非合理的な経済人」の概念をもとに
人間の不完全さをどのように私たちが捉えてきたのかを論じていきます。
- 用語:社会システム理論 - ルーマン 社会システム理論 [「知」の扉をひらく]
- 用語:ハンロンのカミソリ(Wikipedia)
- 用語:コミュニケーションの不確実性 - 信頼―社会的な複雑性の縮減メカニズム
- 書籍:ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学
- 書籍:世界の経営学者はいま何を考えているのか ― 知られざるビジネスの知のフロンティア
Chapter 2 メンタリングの技術
第二章は、心理学やカウンセリング、認知行動療法などの知見を背景に、心理学が実験科学としてどのように花開いていくかをガイドラインとして構成を考えています。
心の科学史 西洋心理学の背景と実験心理学の誕生 (講談社学術文庫)
2-1 メンタリングで相手の思考をリファクタリング
メンタリングと関連して、社会行動、コーチング、認知行動療法、カウンセリングなどの知見を背景に観察と行動に基づく対話を通じて、認知を改善していくプロセスを本書では「メンタリングの技術」として整理しています。
- 書籍:コーチングのすべて
- 書籍:メンタリングマネジメント
- 書籍:認知行動療法による対人援助スキルアップ・マニュアル
- 書籍:アドラー心理学入門―よりよい人間関係のために (ベスト新書)
- 書籍:嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え
2-2 傾聴・可視化・リフレーミング
ファシリテーションの技術や傾聴の技術などを背景に、認知フレームを交換していくNLP的技法を整理していく章立てです。視野を広げるイメージから、「シティハンターのアレ」(止めて、引く)を想起して、曲の歌詞に合わせてメンタリングの考え方を学んでいきます。
- Get Wild、シティハンターのアレ
- 書籍:傾聴の心理学: PCAをまなぶ:カウンセリング/フォーカシング/エンカウンター・グループ
- 書籍:プロカウンセラーの聞く技術
- 書籍:マンガでやさしくわかる傾聴
- 書籍:ザ・ファシリテーター
- 書籍:問題解決ファシリテーター―「ファシリテーション能力」養成講座 (Best solution)
- 書籍:ファシリテーターの道具箱―組織の問題解決に使えるパワーツール49
- 書籍:フィーリングGoodハンドブック
- 書籍:リフレーミング―心理的枠組の変換をもたらすもの
2-3 心理的安全性の作り方
承認(アクノレッジメント)と弱さを見せることを通じて、心理的安全とは何かを誤解を減らすように解説していきます。
- 書籍:なぜ弱さを見せあえる組織が強いのか ― すべての人が自己変革に取り組む「発達指向型組織」をつくる
- 書籍:チームが機能するとはどういうことか ― 「学習力」と「実行力」を高める実践アプローチ
- 書籍:はじめてのリーダーのための 実践! フィードバック 耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す「全技術」
- 書籍:ストーリーテリング―その心と技
- 書籍:行動承認-組織の能力を最大化する「認める力」
- 用語:ジョハリの窓ジョハリの窓 - Wikipedia
2-4 内心でなく行動に注目する
行動に注目し、ゴールイメージへと導くことで、「学習する組織」(三章以降に紹介)における「セルフマスタリー」を再定義します。
- 書籍:品質と生産性を重視したソフトウェア開発プロジェクト技法―見積り・設計・テストの効果的な構造化
- 書籍:短期間で組織が変わる 行動科学マネジメント
- 用語:SMARTゴール,(Doran, G. T. (1981). "There's a S.M.A.R.T. way to write management's goals and objectives". Management Review. AMA FORUM.)
- 超一流アスリートのマインドを身につけて あなたのゴールを達成する!
まだまだ、ご紹介足りないものがあるのですが、徐々に追記していきます。
また、第3章、第4章についても近々に公開します。