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『アドレナリンジャンキー~プロジェクトの現在と未来を映す86パターン~』から考える開発プロジェクトの成功パターン

Last updated at Posted at 2020-05-05

はじめに

皆様、こんにちは!
佐久間まゆちゃんのプロデューサーの@hiroki_tanakaです。

以前書いた『アドレナリンジャンキー~プロジェクトの現在と未来を映す86パターン~』から考える開発プロジェクトのアンチパターンという記事の成功パターン編です。
image.png

(再掲)『アドレナリンジャンキー~プロジェクトの現在と未来を映す86パターン~』とは

『アドレナリンジャンキー~プロジェクトの現在と未来を映す86パターン~』は2009年に出版されたソフトウェア開発のプロジェクトによく見られる86のパターンを抽出し、失敗に向かう兆候や逆にうまく回っている特徴を紹介した本です。
著者は5人のエンジニアで中には『ピープルウェア』や『熊とワルツを』で有名なトム・デマルコとティム・リスターもいます。
この本はプロジェクトマネジメントの本のため、読んでもコーディングスキルをはじめとする技術的な知識は殆ど身に付きません。
また、86のパターン1つ1つはどれも2〜3ページで紹介されているため、非常に読みやすいです。

開発プロジェクトの成功パターン

わかりません

健全なプロジェクトには本当のことを安心して言える文化がある。それがすぐには答えられない内容だったとしても。
「わかりません」という言葉は、信頼の宣言だと考えて良い。プロジェクト全体で人々が安心して「わかりません」と言えることは、人々が安心して助けを求められるということだ。このような組織は、あらゆる階層で真に協力を推し進め、その成果を得ることができる。

炎上しているプロジェクトだと上司や同僚からの質問に対して「わかりません」と答えると、やる気のない証拠と見られるプロジェクトがあります。
そのようなプロジェクトでは全員が全てのことを知っていることを期待されていますが、全員が全てのことを知るのは不可能です。
そして、その現実を無視したプロジェクトの姿勢によって、メンバは助け合いや協力・気軽な質問をしないようになります。
結果的に、プロジェクトは炎上しているのに更に時間が掛かり、遅れは広がっていきます。

成功するプロジェクトは「わかりません」を協力のキッカケとするように思えます。
目の前の問題で困っている人に対して、何か知っている人が皆役に立つ情報を提供してくれます。
「わからない」「知らない」というその人の状態を問題としているのではなく、そんなメンバの知識の隙間をチームで埋められるプロジェクトが成功するプロジェクトだと思います。

有名な『Team Geek』にも以下のようにあります。

わからないな。君はどう思う?
間違いや能力不足を見せることは弱さではない。
他人の意見を信頼すること。その正直さと強さによって、
みんなが尊敬してくれる。

ポーカーの夕べ

職務に関係のない活動のために、組織のあちこちからメンバが集まる。
人々が序列も職務も忘れて集まれば、組織は少しだけ健全になる。
手段はどんなグループ活動でも構わない。ポーカーでもチェスでもソフトボールでも、要するに、社内の個人の役割と無関係の活動をグループで行うものであればいい。

どんなに大変なプロジェクトでもリーダもメンバも入り混じって、立場や責務を忘れて遊ぶ機会があるチームでは仕事がうまく回っていたように感じます。
理由としては、メンバ同士で一緒に遊んだことによって、信頼の機会と我慢の機会が生まれるからです。

仕事中に他のメンバにイライラすることは多いですが、一緒に遊んだことがあるメンバにイライラすることはとても少ないように思えます。
そして、信頼の機会によって、仕事中のコミュニケーションのハードルが低くなるので、イライラする前に気軽にコミュニケーションを取りに行くようになります。

日本だとこのような機会の代表例が飲み会になりますが、個人的には飲み会は序列や立場がはっきり出てしまうのであまり良いとは思えません。
ボードゲームやポーカー・テレビゲームなど忖度や立場がはっきり出ない遊びのほうが良いと思います。

また、このような遊びの機会は強制して作らない方が良いです。
誰かに強制して作られた場には立場や序列が入り込んでしまい、心から楽しむことができないためです。
自発的に人々が集まり、楽しみ、ともに成功する環境や雰囲気を作るだけで良いかと思います。

隠れた美

細部をよく見て設計デザインの質を評価してくれるマネージャーの存在は、設計者に大きな影響を与える。
マネージャーが設計者の仕事を丹念に見れば、美しい仕事を評価できる人間を増やす事ができるだろう。
そして、設計者にとって「まあまあのマネージャー」が「どこまでもついていきたいボス」に変わるかもしれない。

全ての設計には美的要素があります。問題はこの美的要素は友か敵かということです。

マネージャーの中には設計の仕事において美的要素は無駄であり、排除するべきと考えている人もいます。
しかし、マネージャーが美的要素に無関心な態度でいると、設計者は素晴らしい仕事を評価される機会を失います。
(設計者のモチベーションもどんどん落ちていきます。)

反対に、設計者のデザインを詳細に見る能力と意思があり、美的要素は無駄ではなく、
優れている場合は優れていると認めることができるマネージャーの元では設計者は活き活きと働き、
そのようなマネージャーのいるプロジェクトから素晴らしいプロダクトやシステムは生まれると思います。
(代表例がスティーブ・ジョブズが内部基盤にまで美しさを求めたiMacだと思います。)

おわりに

アドレナリンジャンキーはプロジェクトマネジメントの入門書として非常に参考になる一冊なので、よければ読んでみて下さい。
私は『アトラス』が気に入っているアンチパターンです。(良かれと思って自分がそうなりがちというがあります。)

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