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フィクションなどから拾う情報処理用語 その32 隠蔽体質(仮面ライダーBLACK RX)

Last updated at Posted at 2023-02-20

仮面ライダーBLACK RX 第14話「ひとみちゃん誘拐」(脚本:江連卓、監督:松井昇、アクション監督:金田治と村上潤 (C) 石森プロ、東映)より

マリバロンはガロニア姫の養育をしている。ガロニア姫はクライシス皇帝の血を引く人だ。そして

マリバロン「ムーロン博士。姫君のうなじにホクロが。」

ムーロン博士「マリバロン様、このホクロこそがクライシス皇帝陛下の姫君の証なのであります。私達が調べたところ、クライシス皇帝陛下の姫君は必ず同じ場所にホクロがあるのでございます。」

マリバロン「うん、そうか。それなら良い。」

が、その時、事件が起きた。なんとチャップが薬品の入った瓶を落としてしまったのだ。で恐ろしいことにこの些細なミス(に見えたのだが…)が原因でガロニア姫が死亡してしまった! 当然、マリバロンは激怒し、このミスをしたチャップに

マリバロン「この愚か者!」

と叫んでぶっ殺してしまった。直後に我に帰ったマリバロンはなんとこんなことを言い出した。

マリバロン「秘密にするのじゃ。このことがクライシス皇帝陛下にわかれば私一人の命を差し出すだけでは治らぬ。ジャーク将軍をはじめ、我ら4大隊長悉く処刑されるのは目に見えている。良いか皆のもの。誰にも口外してはならんぞ。もし口外する者あらば。」

あのチャップのようにすると言いたいわけだ。うーむ。気持ちはわかる。でもこれはやっては行けないこと。マリバロンのこの行動は短慮だと言い切れる。これは日本では良くある話だろう。でもそんなこと、マリバロンにはわかるわけがない。さらにこんなことまで言ってしまった。

マリバロン「もうチャップ同様、私が処罰する。」

あーあ。ダメだこりゃ。だが、自分の過失を隠蔽するため、マリバロンはこの後、とんでもない行動に出るのだ。4話連続で。隠蔽するために一生懸命、間違った努力をするわけなのだ。これは南光太郎や佐原茂や佐原ひとみにとっては災難だったが、と同時にありとあらゆる幸運な事態に遭遇するキッカケともなり、最終的にクライシス帝国が滅びるあの最終回に繋がってしまうから、そう言う意味でもマリバロンの行動は浅はかだったと言い切れる。でもこの時点でマリバロンも南光太郎も佐原茂も佐原ひとみも視聴者も、もしかしたら脚本を書いた江連卓さんも、気づかなかっただろう。

でガロニア姫の替え玉を拵えるというトンデモない作戦をマリバロンは発案し。

マリバロン「探し出すのじゃ。ガロニア様と同じ月、同じ日に生まれた子、同じうなじにホクロのある6歳の女の子を探し出し、それにガロニア姫にまつりあげるのじゃ。それしか手立てはない! 急げ、チャップ達。手分けをして探し出すのじゃ。」

あーあ。冷静な視点で見ればこれは短慮と言い切れるが、この場にいた人にはわかるわけがない。自分達も当然処罰の対象になるからだ。そんな目に遭いたくはないに決まっている。なので誰も反対せず、このトンデモない作戦を実行してしまった。江連卓さんの脚本、そして松井昇さんの演出は巧みだ。

だが、そんな条件に合う人がなかなか見つかるわけがない。大勢の女の子が攫われた。ところがところが。そんな条件に合致する人がいたのでだ。それが佐原ひとみだった。うーむ。マリバロンは大喜び。だが、佐原ひとみを替え玉にした事が最終的にはマリバロンの悪事が破綻する最大の理由になり、更には最終的にはクライシス帝国敗北の要因となってしまうのだが、それは先の話である。

マリバロンの悪事はジャーク将軍にもしっかりバレてしまった。でジャーク将軍はマリバロンのところへやってきた。寝ているのは佐原ひとみ。マリバロン、窮したか、と思った途端、全ての事情を知っているはずのジャーク将軍はこう言い出した。

ジャーク将軍「このお方がガロニア姫か。クライシス皇帝のたった1個の細胞から、こんな美しい姫君がお生まれになるとはまさに奇跡だ。」

そう。ジャーク将軍はマリバロンの犯行に協力すると宣言したのだ(後でわかるが)。続けてこういう会話が続く。

ジャーク将軍「マリバロン、よくやったぞ。さぞかし、皇帝陛下もお喜びになるだろう。」

マリバロン「は。ありがたきお言葉。」

この時点で少なくともマリバロンとムーロン博士は何かを察したが

マリバロン「それでは皆様、姫の成長に差し障りがあってはなりません。謁見はこれまで。お引き取りを。」

一旦、ジャーク将軍は他の隊長を引き連れて部屋を出た…が、一人で戻り、マリバロンにこう告げた。

ジャーク将軍「マリバロン、ムーロン博士から事情は全て聞いたぞ。」

マリバロン「(当然狼狽えて)それでは、ガロニア姫の一件を…」

思わずムーロン博士を見るマリバロン、顔を背けるムーロン博士をしっかり映す松井昇監督の演出は巧みだ。

マリバロン「(崩れ落ちて)ああ。全ては私の過ち。どんな罰でもお受けいたします。」

流石に覚悟を決めたマリバロンだったがジャーク将軍の話には続きがあった!

ジャーク将軍「ガロニア姫はここに健やかにおわすではないか。」

え!? (少なくともこの時点では)佐原ひとみでしょ。そうマリバロンも視聴者も思ったはずだ。

マリバロン「なんともうされました?」

ジャーク将軍「この娘こそまさしくガロニア姫だ。」

マリバロン「しかし将軍…」

ジャーク将軍「(マリバロンの言葉を遮って)マリバロン、余は許す。お前は直ちにその娘を連れて奇跡の谷へ行け!」

なお端折ったが、奇跡の谷とは人間の女の子でも急激に成人にさせる事ができるという凄い場所。怪魔界にある。と言うことはその逆も…それはおいおいわかるだろう。

さてジャーク将軍は南光太郎の動きを封じるためにデスガロンを差し向けたが、これがまたトンデモない誤算となってしまった。なぜならデスガロンがこんなことを南光太郎こと仮面ライダーBLACK RXに勢いもあってか言ってしまったからだ。

デスガロン「RX、冥土の土産に教えてやろう。ひとみは既にお前の手の届かない世界に飛び立ったぞ。」

仮面ライダーBLACK RX「なに!? それではひとみちゃんは怪魔界に連れ去られたと言うのか!」

しっかりバレてしまった。毎回思うのだが、悪の組織の皆さんはなぜペラペラと作戦の内容を話してしまうのだろうねえ。まあ倒せると思って油断して喋ってしまうのだろうが、この短慮がこの作戦、いや、クライシス帝国の命運自体を決めてしまった。江連卓さんの脚本はやはり凄い。と言うわけで後の流れはおおよそ予想がつきつつ次回へと続く。

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