\newcommand{\N}{\mathbb{N}}
\newcommand{\Z}{\mathbb{Z}}
\newcommand{\R}{\mathbb{R}}
\newcommand{\C}{\mathbb{C}}
\newcommand{\ind}{\mathrm{ind}}
\newcommand{\ch}{\mathrm{ch}}
\newcommand{\Td}{\mathrm{Td}}
で定義した位相的指数
\ind_T:K(TM) \rightarrow \Z
は特性類を使って表すことができます:
この記事ではそれを導出したいと思います。
トム類
$n$次元ベクトル束$E \xrightarrow{\pi} M$に対して、ゼロ切断$\sigma_0 \in \Gamma(E)$を用いて
E_0 = E - \sigma_0(M) \subset E
とし、$E,E_0$のファイバーを
E_x = \pi^{-1}_E(\{x\}) \\
E_{0,x} = \pi^{-1}_{E_0}(\{x\})
と表します。また、包含写像
j_x: (\pi^*{x},\pi^*{x}|_{E_0}) \rightarrow (E,E_0)
を考えます。$H_n(E_x,E_{0,x};\Z)$は1次元であり、基本類
\mathfrak{o}_x \in H_n(E_x,E_{0,x};\Z) \simeq \Z
が存在して、
\exists h_x \in H^n(E_x,E_{0,x};\Z): \exists h_{Thom} \in H^n(E,E_0;\Z): \\\langle h_x,\mathfrak{o}_x \rangle = 1, \
h_x = j_x^*(h_{Thom})
が成り立ちます。このとき、$h_{Thom} \in H^n(E,E_0;\Z)$をトム類と言います。
トム同型
トム類$[\omega_{Thom}] \in H^n(E,E_0;\Z)$を用いた同型写像
\psi: H^r(X) \rightarrow H^r(E) \\
\psi([\omega]) = (\pi^*[\omega]) \smile [\omega_{Thom}] = [\pi^*\omega \wedge \omega_{Thom}]
をトム同型と言います。カップ積$\smile$はより一般的な定義が別にありますが、ドラームコホモロジーに限っては
\xi \in H^p(M) \\
\eta \in H^q(M)
に対して
[\xi] \smile [\eta] = [\xi \wedge \eta] \in H^{p+q}(M)
です。
チャーン指標とトッド類
ベクトル束の全空間$E$のチャーン指標
\ch: K(U_\perp) \rightarrow H^*(U_\perp)
とK群とコホモロジーのトム同型
\phi_E: K(M) \rightarrow K(E) \\
\psi_E: H^*(M) \rightarrow H^*(E)
を用いて
\mu = \psi_E^{-1} \circ \ch \circ \phi_E: K(M) \rightarrow H^*(M)
とすれば、
\mu([E]) = \prod_i \left( \frac{1-e^{\lambda_i(E)}}{\lambda_i(E)} \right) \\
= (\Td([E]))^{-1}
という関係式が成り立ちます。(微分形式なのに多項式で表されているのは、
で述べたように構造群$G$が行列群である場合を考えていて
曲率$F$が$T_eG$に1-1対応する行列で表されているためです。なお$\lambda_i$は曲率の行列の固有値です。)
位相的指数の特性類による表現
位相的指数を構成する際に各写像で写し合うK群はチャーン指標を使ってドラームコホモロジー群に写すことができます。また、コホモロジーのトム同型と
で定義した$h:TM \rightarrow TU_\perp^+$のコホモロジー群に対する引き戻し$\tilde{h}^*$を考えることで、次の図式のように位相的指数をコホモロジー群の写像として書き直すことができます。
ちなみに$J_!$の方の管状近傍(の像)から実空間上へのK群、コホモロジーの写像は同相なので省略しました。
すると、
\ind_T(u) = j_!^{-1} \circ i_!(u) \\
= (-1)^{\dim M} \langle (\ch(u) \smile \Td(TM^\C)), [TM] \rangle
となります。ただし、$TB\otimes_\R \C$は接束$TB$の複素化で(
を参照)、ドラームコホモロジーと特異ホモロジーの内積は
\langle [\omega], [h] \rangle = \int_h \omega
で定義されています。
コメント
詳細はかなり省いています。また数学的に矛盾している点を見落としている可能性もあるので発見した際はご指摘いただけると幸いです。