はじめに
2023年6月27-28日に「Microsoft Build Japan」というカンファレンスが開催されました。Microsoft本社(米国)においては、2023年5月に「Microsoft Build」というフラグシップイベントが開催されましたが、その日本ローカル版です。この度、この「Microsoft Build Japan」に参加してきましたので、レポートしたいと思います。
Microsoft Build Japan 概要
「Microsoft Build」というのは主に開発者向けのカンファレンスとして知られています。Micrsoftの様々なサービスの中でも特に開発者向けのサービスに対するアップデートや新サービスの発表が行われます。そしてだいたい一ヶ月後に日本ローカル版のイベントが開催されます。「Microsoft Build」での発表内容、更にその詳細を日本語で丁寧に解説してくれますので、英語ができない人にとってはとても貴重な機会です。日本ローカル版のイベントは、コロナ前は「de:code」という名前で開催されていました。コロナ過においては「de:code」の開催はしばらく見送られていましたが、この度「Microsoft Build Japan」という名前でリニューアルして開催されることとなりました。そして、今回はオンサイト(日本マイクロソフト品川本社※)とオンラインというハイブリット形式での開催です。(マイクロソフトさん、このあたりのノウハウはもう習熟されていますね。)今回、私はオンサイトで参加しました。
※これまで日本のカンファレンスは、全てホテルやカンファレンス会場で行われていましたが、品川本社開催というのは今回初めての試みではないでしょうか。
まずは受付で参加証受け取り
イベント受付は9:15からでした。私は9:00頃品川本社に到着しましたが、すでに十数名の列ができていました。品川本社2Fには普段から総合窓口がありますが、本イベントの受付は総合窓口の裏手にありました。イベント受付で、事前に送られてたQRコードを提示し、参加証と冊子そしてノベルティを貰います。受付を済ますとイベント会場がある31Fまでエレベーターで上がります。(品川本社2Fは撮影NGということなので写真はありません。。)
今回はこんな冊子が配られました。Day1用です。紙媒体あるといちいち携帯でセッション情報開かなくてよいので楽ですね!
イベント会場の様子
先に今回のイベント会場の雰囲気をお伝えします。マイクロソフトさんとの打合せで品川本社の30-31Fはお邪魔することがありますが、今回はどんな風になっているか。。まず2つのセッション会場ですが、勿論セミナールームが使用されていました。メインはセミナールームC,Dのぶち抜き会場、サブはセミナールームAとなっていました。ハンズオン、ミニセッション、テーブルトピックスといったコンテンツについては、31Fの広めの会議室や30Fのフリースペースが使われていました。Expoもありましたが、各会議室内のブース展示、というスタイルでした。その他、参加アンケートやスタンプラリー、30FのCafe(ここが稼働しているの初めて見た…)など、規模は小さいながらこれまでのカンファレンスと同等のコンテンツが用意されていました。
Expoは各会議室に入っていくスタイル
30FのCafe。おやつ時間には過去のカンファレンスと同様にミスドのドーナッツ無料配布がありましたw
記念撮影用のパネル。中に入って写真撮っている人はいなかったです。。
基調講演
10:00から基調講演が始まりました。メイン会場の席数はおそらく300席程でしょうか。満席でした。
まずはMCとして西脇さんが登場、5月のBuildの話、そして今回のBuild Japanの概要・期待についてお話されました。
続いて、津坂社長より テクノロジーレボリューション のお話。爆発的に加速するAI、そして、マイクロソフトはAIによるイノベーションにむけて全力投球していく、とのこと。
そして、岡嵜常務。世界がデジタルスペースへ移行する中、Microsoft Cloudでその変化を支えていく、さまざまなソリューションをもってお客様のあらゆる課題を解決してく、というお話。
ビル・ゲイツ曰く「生成AIの登場はWindows95以来の衝撃」。当時CUIからGUIへ革新的なシフトと遂げたのと同様に、生成AIは自然言語の活用、あらゆるユーザ体験を変革するもの。新しく出来ることも増えたし、これまで出来ていたこと対しても劇的な精度の向上が期待できる。生成AIの特徴は、特定のユースケースへの組み込みではなくあらゆる業務に取り込めること。AIトランスフォーメーションが起き、日本におけるリープフロッグ になるだろう。
ここから2つ事例のお話。
まずは、デジタル庁クラウドユニットシニアエキスパート 山本氏より、ガバメントクラウドにおけるIaC活用のお話。中央政府から地方公共団体さらにその下位団体に至るまで、大規模な環境管理が必要となる中で、迅速性、柔軟性、セキュリティ、コスト最適 を図る必要がある。その点においてはクラウドとの親和性が高い。さらに ゼロタッチプロダクション の観点においてもIaCがポイントなる。そしてAIの活用。 CopilotによるIaCテンプレートの設計管理、ユーザからの質問はChatGPTで対応、という仕組みが出来上がる見込みが立った。今後の取り組みとしては、テンプレートの分割方針やガイドライン整備、とのこと。
続いて、弁護士ドットコム株式会社 市橋氏より、チャット法律相談システム構築の事例紹介。AIへの取り組みは2016年頃から始まっていた。当時はIBM社のWatson。ただ技術的な制約があり本番リリースは見送り。そして、今回ChatGPTの登場により改めてチャレンジ。法律相談データベース125万件をGPT4に食べさせる ことで十分な品質のサービスをリリースすることができた。勿論チューニングやサービス品質向上の取り組みは継続中。利用規約やSLAがきちんと整備されていることからAOAI(Azure OpenAI Servcie)の採用に至った。アプリはContainer Apps、ログ収集はComosDBを採用。
アーキテクチャはとてもシンプルですが、逆に余計なものがなくスマートに構築されている印象でした。
いったんここまでで事例紹介が終わり、再び岡嵜常務よりサービスアップデートの話(ここでは割愛します)
- Copilot Stack
- Azure AI Studio
- Azrue OpenAI Servie on your data(Public Preview)
- Azure Quantum に Copilot機能が追加
再び事例紹介です。
データ戦略とAI戦略の事例として、株式会社三菱UFJ銀行 各務氏と岡嵜常務の対談形式によるセッションでした。MUFGでは DX・データドリブン経営 によりステークホルダー(社内、パートナー、顧客)がデータで繋がる未来を描いている。そして、全行員がAIデフォルトでアナログなおもてなしの価値を最大化する。AI人材確保の観点でもは JDD/MUIT で専門家集団を育成。既存業務への生成AI適用についてはすでに実証検証中で、40-60%が効果を実感しており手ごたえを感じている、とのこと。ユースケース収集においては一ヶ月で行内から100を超える要望があり、汎用的なユースケースが多い。 元々銀行は事務の塊なので潜在的なニーズはあった。標準アーキテクチャを作り適用していきたい。今後はAOAIを用いた既存業務の見直し、データ収集・カタログ化を進めデータ中心の業務を作っていくとのこと。
基調講演も終盤に。。ここからは岡嵜常務よりMicrosoft Fabricの話。データのサイロ、テクノロジーのサイロ、スキルのサイロを取り除くオールインワンのSaaSを作った。「OneLake」は物理的にデータを集めなくてもいい。仮想的に集まっていればよい。さらにCopilotも搭載される。
そして改めて重要な 責任あるAIの原則 。著作権、個人情報セキュリティリスク、ハルシネーションといった問題にどう対処していくか、Azure AI Content Safety を使いリスクを抑えていく。
最後に日本マイクロソフトの独自の取り組みについて、 「Microsoft AI Co-Innovation Lab」 の立ち上げについて。2023年秋より始動予定。そしてAOAIリファレンスアーキテクチャ、 AOAIリファレンスアーキテクチャ賛同パートナープログラムなどなど。。
AI Transformation with Developers ・・・なぜ必要なのか人々の生活を豊かに、世の中を良くしたい。Whyを大事にしていきましょう!というメッセージをもって基調講演は終了。。。
昼食
品川本社19Fの食堂で昼食をとることができました。(19Fは初めて入りました!)参加証の裏側にあるランチチケットが必要です。
ブレイクアウトセッション
午後はひたすらブレイクアウトセッションに参加しました。ブレイクアウトセッションの詳細についてはまた別途紹介したいと思います。
Networking Party
Day1の最後は再び19Fでネットワーキングパーティがありました。1時間くらいだったと思いますが、私は冒頭だけ参加しました。会場はこんな感じ。入場直後なので人が少ないですが開始時にはこのフロア一杯埋まるくらい大勢が参加していまいた。
Microsoft Build Japanビールなるものをいただきましたw
缶バージョンもありました。このビール普通においしかったです!
おまけ
今回獲得した戦利品について紹介します。前回のIgniteの時よりは控えめです。スタンプラリー抽選も「はずれ」を引いてしまい何ももらえず。。バッチについてはFundamentalバッチを持ってなかったのでここでめでたくGetできました!アンケートに答えるともらえる工具キット。。なぜ工具キット??
おわりに
ということで、今回は「Microsoft Build Japan」の参加レポートとして概要と基調講演についてまとめました。ブレイクアウトセッションもとても勉強になったものが沢山ありましたので、また別途紹介したいと思います。それではまた。。