はじめに
今回はMicrosoftのパートナー認定制度について解説します。よくMicrosoftパートナーが「当社にてMicrosoft社のGoldコンピテンシーを取得しました!」とアナウンスを出していることがあります。このコンピテンシーというのは、Microsoftが設けているMicrosoftパートナー認定制度のひとつです。これまでは「Goldコンピテンシー」や「Silverコンピテンシー」というものがありましたが、2022年10月3日からこのコンピテンシーの制度が改定されました。今後は「Goldコンピテンシー取得!」みたいなことは言えなくなりますのでご注意ください。
コンピテンシーからソリューションパートナーへ
2022年10月3日より、「コンピテンシー」という名称から「ソリューションパートナー」という名称に改称されました。そしてGoldやSilverといったランクが廃止されました。また、これまで18種類あったコンピテンシーは6種類のソシューションパートナーへ統合されました。
これまでの「コンピテンシー」
コンピテンシーについては下記サイトで説明されています。
改訂前では下記18種類のコンピテンシーがありました。
# | カテゴリ | コンピテンシー名 |
---|---|---|
1 | Applications and Infrastructure | Application Development |
2 | App Integration | |
3 | Cloud Platform | |
4 | DevOps | |
5 | Datacenter | |
6 | Business Application | Cloud Business Applications |
7 | Enterprise Resource Planning | |
8 | Project and Portfolio | |
9 | Data and AI | Data Analytics |
10 | Data Platform | |
11 | Modern Workplace and Security | Collaboration and Content |
12 | Communications | |
13 | Cloud Productivity | |
14 | Enterprise Mobility Management | |
15 | Messaging | |
16 | Security | |
17 | Small and Midmarket Cloud Solutions | |
18 | Windows and Devices |
そして、各コンピテンシーにSilverとGoldというランクがありました。
コンピテンシーの取得条件は各種異なりますが、大体の場合そのソリューションの利用状況やその会社の社員が保有している関連認定資格数になります。Silverの方が要件が低く、Goldの方は比較的高い要件を求められるという点で差別化されていました。
これからの「ソリューションパートナー」
2022年10月3日より始まったソリューションパートナー制度については下記サイトで説明されています。
ソリューションパートナーは6つのソリューションエリアに整理されました。各ソリューションエリアとこれまでのコンピテンシーとの紐づけは下記の通りです。
# | ソリューションエリア | 説明 | コンピテンシーとの紐づけ |
---|---|---|---|
1 | Business Applications | Microsoft Dynamics 365 および Microsoft Power Platform でソリューションを提供する幅広い能力を証明します | - Cloud Business Applications - Enterprise Resource Planning - Project Portfolio Management |
2 | Data & AI | 顧客が複数のシステムにわたってデータを管理し、分析および AI ソリューションを構築できるよう支援する幅広い機能を証明します | - App Integration - Data Analytics - Data Platform |
3 | Digital & App Innovation | お客様が選択したツールとフレームワークを使用して、複数のクラウド、オンプレミス、エッジでアプリケーションを構築、実行、および管理するための幅広い機能を証明します | - Application Development - App Integration - DevOps |
4 | Infrastructure | お客様が主要なインフラストラクチャ ワークロードの Microsoft Azure への移行を迅速化できるよう支援する幅広い機能を証明します | - Cloud Platform - Datacenter |
5 | Modern Work | Microsoft 365 を使用して、顧客の生産性を高め、ハイブリッド作業に移行するのを支援する幅広い能力を証明します | - Cloud Productivity - Collaboration and Content - Communications - Messaging - Small and Midmarket Cloud Solutions - Windows and Devices |
6 | Security | お客様が統合されたセキュリティ、コンプライアンス、およびIDソリューションで組織全体を保護するのを支援する幅広い能力を証明します | - Enterprise Mobility Management - Security |
各ソリューションエリアにSilver/Goldといったランク分けはありません。
「ソリューションパートナー」認定を取る方法
各ソリューションには以下の3つの指標があり、それぞれの指標がポイント制で加算されます。そして合計ポイントが合格値である70ポイントを上まわれば認定されるという評価方法になりました。
1) Performance
2) Skilling
3) Customer success
例えば「Data &AI」の加点方式は下記になります。(2022年9月末時点)
Solution areas | Performance | Skilling | Customer Success |
---|---|---|---|
Data & AI | 過去12ヶ月の新規顧客数 - 10pt/顧客(MAX:30pt) |
資格取得者数 - 4pt/人(MAX:40pt) ・Azure Administrator Associate(必須) ・Azure Solutions Architect Expert(必須) + ・Azure Database Administrator Associate ・Azure AI Engineer Associate ・Azure Data Scientist Associate ・Azure Data Engineer Associate ・Data Analyst Associate ・Customer Data Platform Specialty ・Customer Data Platform Specialty のいずれか1つ |
過去12ヶ月間の使用サービス数 - 2pt/サービス(MAX:10pt) ・All Azure services 過去12か月間の使用増加率 - 1pt/成長率 ・All Azure services |
評価指標についてはコンピテンシーの時と大差ありませんが、ポイント制になったことで、Microsoftとしては、今後その時々の実態に合わせて調整を入れやすくなり、Microsoftパートナーにとっては一度取得すれば安心という訳にではなく、その時々に応じた条件を達成し認定を維持する、ということが難しくなることが予想されます。ただ、その分ソリューションパートナーという認定に対するプレゼンスが強くなるため、Microsoftとしては、この認定を保有しているパートナーに対し有効な特典を付与したり、またパートナービジネスにおいても有利な条件や機会を与えてくれるものと個人的には期待しています。
おわりに
今回はMicrosoftパートナー認定制度がちょうど切り替わるタイミングに合わせて新制度について紹介させていただきました。
Microsoftパートナー認定制度について皆様の理解が深まれば幸いです。それでは!