はじめに
私は10名程度のエンジニア組織をマネジメントしており、普段から定期的にメンバーや上長との1on1を行っています。これまでの経験と書籍や記事で得た情報を踏まえ、1on1を通して「何をどう変えたい」のか最近改めて考えました。そこから、1on1で活用するアジェンダを更新したので内容を整理して紹介したいと思います。
1on1の目的や目指すところ
整理すると次の2点が(私の)目指すところなります。
- メンバーが自発的にキャリア成長するためのきっかけやサポートとなる
- メンバーが業務遂行するうえでの物理的・心理的障壁を取り除く(その約束をする)
背景
これまでは漠然と「メンバーの心理的安全性の担保」や「チームの改善点についてFBをもらう」ことを意識していました。一方で、組織のミッション達成に向けて1on1をより活用できないかと考えた時に、「チームに所属する各メンバーが自己成長できるように」という思いが一番強かったため、「キャリア成長」を目指すところの第一に設定しました。
どういうチームへなりたいかについては、以前作成した以下記事に詳細があります。
アジェンダ
初回と2回目以降の1on1でアジェンダを分けています。これらは各メンバーと共有し、お互いに閲覧・編集できるようにするのがおすすめです。(私はNotionを使っています。ファイルの共有範囲は相手のみとしています)
1on1におけるアジェンダは目安のようなものだと思っています。相手が他に優先して話したいことがある場合、そちらを優先するようにしましょう。
初回
## 【初回】2022.xx.xx
- 改めて進みたいキャリアパスを教えてください
- 一番サポートが必要な分野(領域)はどこですか
- フィードバックはどういう形式で受けたいですか 対面、書面、個別、オープン、などなど
- 一緒に働くうえでのリクエスト(サポートやフィードバック方法の深掘りでも良いです)
- 私からのサポートに対するFBはどのタイミングだと伝えやすいですか?(次回の1on1、GKPT、即時などなど)
- 内容の機密性の基準について認識合わせ(他メンバーに共有可能? さらに上(長)へ共有可能?)
- このページのアイコンとカバー画像は何にしますか?
- 現状のチームに対して何かあれば
補足
- 1on1としての初回であり、本当に初対面ぐらいのレベルである場合は顔合わせを事前に行うのが良いです。お互いに自己紹介から始めたり、1on1の目的や必要性などを説明しておきましょう。
- 内容の多くは『エンジニアリングマネージャーのしごと』から引用したり参考にしています。ありたい姿とキャリア成長のためのステップを考えてもらう構成になっています。
- 「一緒に働くうえでのリクエスト」はドラッカー風エクササイズを実施しているのであれば、そちらで代用も可能です。(ドラッカー風エクササイズに使っているテンプレートもこちらの記事で公開しています)
- 私が行うサポートに対する評価を継続的に相手からもらうため、定期的なFB機会設定を目指します。このタイミングでは決めづらい事も多々あるので、そういう場合はとりあえず次回1on1で改めて決めるようにしましょう。
- Notionを使っているので、アイスブレイクとして「アイコンとカバー画像」の項目を差し込んでいます。(メンバーごとに個性が垣間見えてなかなか面白いです)
2回目以降
## 【2回目以降】2022.xx.xx
- 直近の業務で気づいたことやこれからアクションしたいことがあれば
※進捗報告の場ではないので、そういった内容からはお互いに離れましょう。
- 私からのサポートは効果がありましたか
- 現状のチームに対して何かあれば
- 後はフリーテーマ
- 業務の話でもプライベートの話でもOK
- 自分で話すでも話を聞くでもどちらでもOK
- 上長だからとかしこまる必要はないですし、逆に上長だからお願いできることを話しても良いです
- 各種ハラスメントと相手を不快にさせることだけはNG
そういった事を感じた場合には,私を通り越してさらに上長へ報告してください
補足
- 2回目以降は相手の反応やマインドセットに応じて変化する部分が増してくるかと思います。
- 目安として、「私からのサポートは効果がありましたか」に対する回答が気を遣ったものだと感じる場合、まだまだお互いの心理的安全性を高めていく段階にありそうです。
チームのヘルスチェック表
また、四半期ごとに以下表も作成してもらっています。これも『エンジニアリングマネージャーのしごと』を参考にしているのですが、各項目は今のチームに合わせて見直しています。
チームに対する各メンバーからの通知表みたいなものです。
活用例
- 気になる項目の評価理由を1on1で詳しく聞く
- 平均値(評価に応じて5, 3, 1点など傾斜を付けて)を算出し、自分の評価と乖離がある場合は全体MTGですり合わせを行う
- 平均値が良くない項目に対して改善のアクションを検討・計画する
😆良い 😐どちらでもない 😢悪い の3段階で以下項目をQ単位で評価してください。
項目 \ 期 | 1Q | 2Q | 3Q | 4Q |
---|---|---|---|---|
チームが外部に与えた価値 | ||||
開発プロセスは健全か | ||||
運用プロセスは健全か | ||||
技術的負債は減っているか | ||||
チームが物事を解決する速度は良いか | ||||
チームのミッションは適切か | ||||
チームは業務内外で新しいことを学習しているか | ||||
チームは外部から必要なサポートを得ているか | ||||
(個人視点で)業務に楽しさはあるか | ||||
チームメンバーは自律して働けているか |
コピペ用のmarkdown
チームや組織に合わせて項目内容は見直すことをおすすめします。
markdownはこちら
😆良い 😐どちらでもない 😢悪い の3段階で以下をQ単位で評価してください。
| 項目 \ 期 | 1Q | 2Q | 3Q | 4Q |
| --- | --- | --- | --- | --- |
| チームが外部に与えた価値 | | | | |
| 開発プロセスは健全か | | | | |
| 運用プロセスは健全か | | | | |
| 技術的負債は減っているか | | | | |
| チームが物事を解決する速度は良いか | | | | |
| チームのミッションは適切か | | | | |
| チームは業務内外で新しいことを学習しているか | | | | |
| チームは外部から必要なサポートを得ているか | | | | |
| (個人視点で)業務に楽しさはあるか | | | | |
| チームメンバーは自律して働けているか | | | | |
参考にしている書籍
- 『エンジニアリングマネージャーのしごと』
- 『Team Geek』
- 『エンジニアのためのマネジメントキャリアパス』