陰でこっそり
息子に与えてすぐに遊んでもらうためには、与える側がある程度使い方をマスターしておかなければ。キット組み立てと動作確認は済ませておかないと話にならない。
せっかく入手したキットは、寝かしておいても完成しない。日曜日の午後、ちょっと時間が空いたし作ってしまおう。
準備
最低限半田ごてと半田があれば良いが、私は仕事柄もあって以下の道具を常備している。
- 半田ごて : 40Wの電子工作用。これ以上容量が大きいと部品が壊れる。
- こて台 : 必ず必要。ないと机を焼いてしまう。
- 部品台 : ルーペ付きで便利。場合によっては三本目の手の役割に。老眼気味の私には必携。
- 半田吸い取りメッシュ : 失敗したときのために。
- 半田 : やに入りのものが作業しやすい。
- カッターナイフ、カッティングマット : ピンの切断に必要。
- ピンセット : 細かい部品があるので、あると便利
- 洗濯バサミ : 三本目の手の役目。
作業開始
部品確認
部品を箱に投入し、リストとつきあわせて確認。箱は部品の紛失防止に。更にヨーグルトの容器はテンポラリな部品置き場に。
半田ごての手入れ
作業を開始しようとしたが、半田ごての先がやや荒れている。丸くなっており、特に細かいマイクロUSBの部品取り付けでちょっと不安あり。組みヤスリを取り出して削り、尖らせた。削ることで表面のメッキが落ちてしまったため、念入りに半田で濡らす。こうしないと半田の流れが悪い。
照明大事
早速抵抗を組み付けようとするが、オレンジ色(電球色)の蛍光照明の下では色が分かりにくい。白色光(昼光色)の下で組み立てるのが好ましい。とはいえ蛍光灯を取り替えるのもなんなので、読書灯として使っているLEDライトを引っ張りだし、横に置く。少し色が判別しやすくなった。
説明書の順番に
先ずは抵抗から。470Ω、岸恵子、紫七部・・・と抵抗を探す。こういう時、カラーコードを覚えていると便利。でも、説明書にはちゃんと部品の色が書いてある。無理にカラーコード一覧を引っ張りだす必要はない。
部品の組み付けは説明書の部品一覧の順。取り付け時の注意事項が付記されているので、読みながら組み付けが可能。更にプリント基板には部品に対応する部品記号が書かれているため、すいすい組み付けられる。
スルーホール基盤のハンダ付けは慎重に
ハンダ付け。スルーホールなため、ユニバーサル基盤のようにランドがすぐにあたたまらない。あたたまったと思って半田を流しても、表へ流れて行き裏に盛れない。慣れないなぁ。
半田を流し込んでも裏面へ流れ落ちて行くため、しばらく表面で半田が盛り上がらない。これを勘違いして半田を足し続けると裏面でえらいことになるので注意。ちょっと表から見ると少ないくらいで十分だろう。
ICソケットは洗濯バサミでおさえると吉
ICのソケットは、半田付け時に浮いたり落ちたりしやすいので、洗濯バサミで抑えておくと吉。四隅をとめてしまえば、洗濯バサミを外してじっくり付けられる。
マイコンチップは最後に取り付ける。ここではICソケットのみ半田付け。
半田付けのコツ
良く言われることだが、ランドと部品を均等、あるいはランド側を強めに加熱すること。ソケットのように足の多い部品は四隅から初めてぐるりと回りながら、あるいは数本ずつ飛ばしながらつけると熱が集中しにくい。
ピンヘッダの樹脂は割れやすい
多分、初めての人の鬼門、ピンヘッダ。7ピンつながったものが入っているので、5ピン、1ピン、1ピンに切り分ける。これはカッターで傷をつけながら、ゆっくり自然に切れるのを待つ。せっかちに曲げて折ろうとすると、割れてピンが外れてしまう。
そしてこの作業中は半田ごてをコンセントから抜いておこう。省エネと、事故防止のため。
ピンヘッダとマイクロUSB端子
ピンヘッダは長い方をIchigoJam基盤に差し込む。まだハンダ付けをしない。
そして、IchigoJam基盤表面の、短いピンヘッダが並ぶ上にマイクロUSB基盤を置く。これを上からハンダ付け。
これはかなり少なめに半田を流さないと、すぐに芋になってしまう!
IchigoJam基盤裏面のハンダ付けは容易。基盤が落ちないように抑えておく工夫ができれば問題ない。
コンデンサ
コンデンサの取り付け。しかし、この部品をコンデンサと認識できる人はどれだけいるだろうか。消去法で見つけられる人はまだ良いが、こどもは知らないのだから、困るのでは。添付の説明書にはせっかくだから部品の図と名前の対応表があると良いだろう。
3端子レギュレータ・LED
3端子レギュレータ、この小さな部品も三本足が1つだけだから間違わないだろうが、知らない人には分からないだろう。トランジスタ、と言っても小学生はもう知らないだろう。
これを基盤に載せる際、少しだけ左右の足を拡げてやらないといけない。念のために熱を逃がす準備でクリップを装着して半田付け。
LEDも同様に取り付け。足の長い方を内側に、と注意書きがあるので、間違うことはないだろう。
スライドスイッチ・タクトスイッチ
スライドスイッチの取り付けは手が三本欲しくなる。あまり人に見せられないのだが、半田を口にくわえて、左手で部品をおさえ、右手でハンダ付け。老眼が出て来てこの方法は苦しくなった。若い頃は平気でよく見えていたのになぁ。
タクトスイッチはぱちっと基盤に食いつくので半田付けも楽。
14ピンソケット2つ
これもICソケット同様、手が三本欲しいところ。何とか端が半田付け出来たら、こてであたためながら基盤に押し付ける。
PS/2端子、ビデオ端子
先ずは太い金属の足を基盤に半田付け。大きな穴があるので、ここを半田で満たす。強度材として半田を利用しているわけだ。半田を流した後、すぐにしっかり吹いて冷やすこと。樹脂部品が傷む。
マイコンチップ
例のごとく、DIPのICは足が開き気味なので、机に押し付けて閉じ気味にしてからソケットに差し込む。
周辺部品の取り付けと、動作チェック
!cap. 完成したIchigoJamキット
圧電スピーカーをつないで、諸々のケーブルを接続。電源を入れると・・・無事起動!素直にうれしい。
LEDを明滅させ、ドレミと出力。よし、ちゃんと・・・いや、なんか音痴。まあ、許そう。ご愛嬌だ。
ただ、モニタ出力がちょっとちらつく。これはハンダ付け不良によるものか、電源由来のものか、そもそもこういうものか・・・。比較の対象がないため不明。後日、息子に組み立て済みを与えて比較する予定。
意外と簡単
私は電子工作のプロフェッショナルではない。のんびり組み立てて約1時間かかった。その私の主観的な判定で恐縮だが、このIchigoJamの組み立ては比較的簡単な部類だと感じた。何しろ部品点数が18個と少ない。そして、上質のプリント基板に部品名がきれいに印字されている。向きさえ間違えなければ、少々の半田付けでもきちんと動作するだろう。一度父親が組み上げて、動作確認までこぎ着けていれば、このキットを小学校高学年の生徒に組み立てさせるのは難しくないと思われる。
スターターセットで遊び慣れた後、自走戦車などを作りたいなどと言い始めたら(言わせる予定だけど)、迷わずキットを買って一緒に作れば良いだろう。モータやギヤボックスと組み合わせたりし始めれば、恐らくショートさせたり、ノイズでマイコンを壊したりなんてことが起こりうるだろう。
もしIchigoJamを壊しても、(父親が)ひどくがっかりすることはない。ガンプラ一個の値段でまた手に入るのだから。
さあ、いよいよプログラミングだ。どんなサンプルを作ろうか。せっかくだから1ダースは欲しいよな。IchigoJam付属のサンプルを参考に、久々のBASICと戯れよう。
MacでIchigoJam環境
先日購入したBuffaloのUSBのビデオキャプチャデバイス(PC-SDVD/U2G)はMacに対応しておらず、涙ながらに自宅Windowsマシンのビデオキャプチャ用に。再度ググってMacで動作報告のある商品(EasyCap USB-TC60+, Video002 USB 2.0 DVR)を取り寄せたところ、ばっちり動作。これでお父さん用のIchigoJam環境が出来上がりです。このEasyCapならば、Windowsでも動作しますから、IchigoJamとセットで持ち歩けばどこのPCででも作業ができますね。
Macで利用する場合には、こちらからフリーのビューアツール(ドライバ込みのようです)を入手してインストールしてください。
ところで、このキャプチャデバイス、ヨーロッパ品質とか書いてあるんですが、どこの国の製品かさっぱり読み取れません。1500円でおつりが来るということは、それなりの品質なのでしょう。今のところ問題ないですし、必要充分なので気にしないでおきましょうか。