リクエスト
「お父さん、今度の誕生日のプレゼント・・・ゲームはだめだよね。」
我が家では小学校5年生の息子にゲーム機を与えていない。今時、ゲーム機を持っていない子どもは少数派だ。私の世代(1970年代生まれ)でさえ、家庭用ゲーム機は急速に普及していて、私のように成人するまでゲーム機を所有しなかった子どもは珍しいはずだ。その反動で、大学生となり寮生活を始めたとたん、サルのようにPCゲームをやり込んだ。思えばずいぶんな時間の浪費をしたが、それもまた人生。反動は大きかったものの、半年もしないうちに飽きてしまった。それに、工学部の学生生活は忙しい。ゲームに明け暮れているとあっという間について行けなくなってしまう。サークル活動だって忙しい。バイトだって忙しい。あれもこれもやりたいことをするための時間と、ゲームの時間。天秤にかければ、自然とゲームの時間が減って行った。
息子はまだ語っている。
「なら、父さん、ロボットがいい。ラジコンで動くやつ。だめなら、リモコンでも。」
数日すると別のことを言い始めた。親の懐を案じて妥協した結果だろうか。
「実験セットがいい。いろんな実験ができるやつがいい。」
これまで、彼の私に対するプレゼントの要求はこの手のものが多かった。というか、そうなるようにこちらが誘導してしまっているのかもしれない。幸い、その誘導を上手に受け入れてくれている息子に感謝しなければいけない。
ネットで「ゲーム以外の」彼の望む品物をあたってみる。どれもかなり高価だし、その割に遊び込む要素を感じない。あえて言えば実験セット。これも幅が広い。電気系なのか、機械系なのか、化学系なのか、生物系なのか。これまで、電気・機械系でタミヤのギヤボックスセット、機械系でペットボトルロケットを与えたことがある。それぞれ上手に遊んでいた。ペットボトルロケットでは夏休みに親子でずいぶん遊んだ。となると、次は化学系か、生物系か。
こどもパソコン
そう思いながら探していたとき、目の角に入ったのが「こどもパソコン」なる言葉。ブログエントリをまとめたメールサービスの記事だった。なになに、こどもパソコン?それって面白いの?使えるの?高くないの?
中学生時代、近所のカー用品量販店の広告にカシオのポケコンが安売りになっているのを見つけた。当時、シャープのマイコンMZシリーズや富士通のFM-7などが一般家庭に入り始めていた。友人の家でキャラクタベースのゲームをさせてもらって驚愕した。テレビにつないでテニスやブロック崩しなど決まったゲームしか出来ないゲーム機が隆盛の時代に、自分でゲームを作って楽しめるおもちゃがあるなんて。そう。当時のマイコンはおもちゃだった。それもとんでもなく高価な。裕福な家庭でやっと所有できるような。私はそれが欲しくてたまらなくて、近所のマイコンショップに入り浸ったものだが、とても手に入れることはかなわなかった。『マイコンBASICマガジン』を買って、掲載されているゲームのプログラムリストを読み、ゲーム実行画面を見て空想を膨らませた。マイコンショップで目当ての機種があくのを待ってプログラムを打ち込み、ゲームを楽しんだ。当時のマイコンショップはそんなマニアの集まる場所になっていた。そして自宅ではカシオのポケコンの小さなモノクロLCDが私の世界だった。
パソコンは今では高価な商品ではなくなった。ものによっては子供用のゲーム機の方が余程いいお値段だ。しかし、今、パソコンを子どもに与えることには抵抗がある。パソコンを与えることはすなわち、ネットの利用環境を与えることだ。私は小学生、中学生にもインターネットの利用を積極的には勧めたくない。スマートフォンも同様だ。あまりにリスクが大きい。親にはそのリスクをコントロールする責任があるが、実質的に不可能だ。
だから、子どもには家でパソコンを操作させない。少なくとも、高校生までは必要ないと思っていた。
しかし、この「こどもパソコン」は何だ。パソコンとは名ばかりのワンボードマイコンじゃないか。何が出来るんだ?といぶかしんだ。紹介記事を読み進めると、目から鱗、ぐいぐい引き込まれた。
IchigoJamはすごい
この子どもパソコンIchigoJamはすごい。なんと、キーボードとディスプレイを接続できる。キーボードはPS2タイプの一般的なもの。ディスプレイはビデオ入力のついたテレビ。電源はマイクロUSBから取れて、キーボードを接続しない場合は3Vあれば良いという。それって、乾電池二本でいいってことだし、場合によってはコイン電池一個でいいのかも!環境は専用のBASICインタプリタ。お値段はキットで1500円、組み立て済みでも2000円。ガンプラ1つと同じぐらいの値段で手に入るなんて。テレビに接続すれば、大きな画面を備えた「こども(な大人向けの)パソコン」の出来上がりだ。これはまさに、中学生時代に憧れたMZ-80やFM-7。
マイコンボードには端子が解放開放されていて、ブザーやらスイッチやらをブレッドボードのように接続できる。これって、例えばプラレールに載せて運行制御したり、ラジコンに載せて自動運転させたりできるじゃない。
もう私の頭の中は勝手にIchigoJamで遊び始めた。息子へのプレゼントのことはそっちのけ。そして自動的に決定した。息子へのプレゼントはこれだ。決心したら速攻注文した。
周辺機器もそろえるぞ
発注したのはIchigoJam Get Started Set (イチゴジャムスターターセット。5000円弱で完成品とキーボード、ビデオケーブル、電源用のUSBケーブル、そしてテキストがセットになったもの。これがかわいらしい瓶に詰め込まれている。これはこどもでなくても、私もうれしい。わくわくしてしまう。自分用には組み立てキット(1500円)を。どうも2台を接続して遊ぼう、みたいなサンプルコードがあったので、そのためにも必要。いや、正直に言えば、私がIchigoJamで遊びたい。
モニタはネットで勧められていた車載用4.3インチLCDモニタを取り寄せた。手元にあった合板(500x300x20)を専用のテーブルに仕立て、取り付けた。
モニタ用の電源は12V。ちょうど手元にあった古いパソコンのACアダプタが12V、そのうえアダプタのDC出力端子がモニタの電源コネクタとサイズぴったり。
テーブルタップとUSB端子のついたACアダプタを用意。これらはどちらも100円ショップで入手できてしまう。
これで必要なものはそろった。専用テーブルは木の色を活かすも良いが、せっかくイチゴジャムなので、赤か緑に塗ろう。
~~ ## キット組み立てと動作確認 ~~
~~(後日追記) ~~
こどもと遊ぼう
さて、このIchigoJamを使ってどうこどもと遊ぼうか。先ずはスターターセットに付属のサンプルプログラムを打って楽しめば良い。それだけでも十分なくらいに楽しいはず。せっかく私が取り組むんだから、その先の世界をひろげたい。あわよくば、息子をこの世界の住人に。
あーだこーだプログラミングの理論を教えるんじゃなくって、楽しいプログラムを打ち込んで一緒に楽しんで、気がついたらコマンドの意味役割を覚えちゃってた、って筋書きにしたい。
こどもと遊ぼう。この素敵なおもちゃ、こどもパソコンIchigoJamで!