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SlackからEC2の起動/停止をサーバレスでしてみる

Last updated at Posted at 2019-04-13

目的

EC2はずっと起動しているとやはりお金がかかってくるので、こまめに起動したり停止したりしたいものです。
ただAWSコンソールからとなると面倒です。
そのため今回、EC2の起動停止をSlackのスラッシュコマンドから操作してみようと思います。
サーバレスでEC2操作している記事が見つからなかったので、API GatewayとLambdaを使ってやってみました。

構成

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Slackから投げたリクエストは、早くレスポンスしてやらないとタイムアウトになってしまいます。そのため、1つ目のLambdaで2つ目のLambdaを非同期でコールし、200を返しています。2つ目のLambdaがEC2の操作をした後、結果をIncoming WebhookでSlackに返します。

構築

Slackアプリケーションの作成

Slackにログインした状態で、Slack ApiからYour AppsCreate New Appと進んでいけば作成できます。細かい内容は割愛します。
これでVerification Tokenが取得できます。
次に、左のリストのFeaturesからIncoming Webhooksを選択し、OnにすることでWebhook URLを取得します。

Lambda用のポリシー、ロールの作成

Lambdaで利用するためのロールを作成します。
適当な名前で、下記のポリシーを作成します。


{
    "Version": "2012-10-17",
    "Statement": [
        {
            "Effect": "Allow",
            "Action": [
                "logs:CreateLogGroup",
                "logs:CreateLogStream",
                "logs:PutLogEvents"
            ],
            "Resource": "arn:aws:logs:*:*:*"
        },
        {
            "Effect": "Allow",
            "Action": [
                "ec2:*",
                "lambda:*"
            ],
            "Resource": "*"
        }
    ]
}

次に、ロールの作成から、Lambdaを選択し、アクセス権限で先ほど作成したポリシーにチェックをつけて、ロールを作成します。

KMSの作成

Lambdaで利用するTokenなどを暗号化したいので、KMSを利用します。
カスタマー管理型のキーを適当なエイリアス名で作成します。
キーの管理アクセス許可を定義キーの使用アクセス許可を定義には、AWSログイン用の自身のユーザと先ほど作成したロールを選択しておきます。
kms-admin,user.png

Lambdaの作成(API Gateway受け)

まず、API Gatewayから直接リクエストを受けるLambdaを作成します。
関数の作成から一から作成を選択し、情報を埋めて関数を作成します。
Pythonは3.7、実行ロールは先ほど作成したロールを選択します。
lambda-make.png

関数の画面に遷移したとき、デザインは下記のようになっているかと思います。
[2019/04/27修正]
api-design.png
トリガーがまだない状態なので、トリガーの追加からAPI Gatewayを選択してください。
すると、トリガーの設定が出てくるので、下記のように設定して、右下の追加を押してください。

項目 設定値
API 新規APIの作成
セキュリティ オープン
API名 slack-ec2(任意)
デプロイされるステージ v1(任意)

この状態で、一旦保存をしておきます。

次に、DesignerからこのLambda関数を選択し、関数を設定します。(上記デザインの場合、slack-ec2)
関数はインラインだと、使えないパッケージがあったり見づらいので、zipアップロードを利用します。
コードはgithubに置いてあります。
https://github.com/hirano00o/serverlessSlacktoEC2/blob/master/lambda_function.py

使い方


$ git clone https://github.com/hirano00o/serverlessSlacktoEC2.git
$ cd serverlessSlacktoEC2
$ pip install boto3 -t .
$ zip -r lambda_function.zip *

上記で作成したlambda_function.zipをアップロードします。

次に、環境変数を設定します。コード中でSLACK_TOKENを利用していますが、これが、最初に作成したSlackのVerification Tokenとなります。


ENCRYPTED_TOKEN = os.environ['SLACK_TOKEN']

キーSLACK_TOKENにVerification Tokenを入れます。
キーの暗号化は、暗号化の設定を開き、伝送中の暗号化のためのヘルパーの有効化にチェックを付けて、先ほど作成したKMSのエイリアスを選択します。
また、保管時に暗号化する AWS KMS キーカスタマーマスターキーの使用を選択し、同様にエイリアスキーを選択します。
そして、先ほど入力したキーの右にある暗号化ボタンを押して、キーを暗号化します。
SLACK_TOKEN.png

あとは保存すれば、このLambdaに関しては終わりです。

ざっくりと、このLambdaでやっていることの概要です。

def lambda_handler(event, context):
    reqBody = event['body']
    params = urllib.parse.parse_qs(reqBody)
    token = params['token'][0]

event['body']にSlackからのリクエストボディが入っています。
これをパースして必要な情報を取得します。
今回は、自分が設定したSlackのAppからのリクエストかどうかを判断するために、トークンを取得しておきます。
このトークンと、暗号解除した環境変数に設定したトークンとが合致するかを判定します。
合致しなかったら、さようなら。

if token != DECRYPTED_TOKEN:
    logger.error("Request token (%s) does not match exptected", token)
    raise Exception("Invalid request token")

そして、プロセスIDを作成、テキストやチャンネルIDを取得して、非同期でもう1つのLambda(EC2操作)を呼び出します。

awsLambda = boto3.client('lambda')
response = awsLambda.invoke(
    FunctionName='operateEc2',
    InvocationType='Event',
    Payload= json.dumps({
        "text": commandText,
        "channel_id": channelId,
        "process_id": processId,
        "start_unix_time": startUnixTime
    })
)

FunctionNameは、呼び出すLambdaの関数名です。
InvocationTypeは、Lambdaをどう呼び出すかの設定です。Eventは非同期での呼び出しになります。
Payloadは、呼び出すLambdaに渡したいキーと値をJSONで設定します。
InvocationTypeについては、クラスメソッドさんの記事に詳しく書いてあります。

ちなみに、プロセスIDやチャンネルIDは何に利用するかというと、後ほどEC2の操作が完了した後に、Slackに先に返したメッセージ↓を削除するためです。

return {
    "text": "実行中です...\nID:" + processId,
    "response_type": "in_channel"
}

Lambdaの作成(EC2操作)

[2019/04/29修正]
基本的には先ほどと同じように作成しますが、さっきと異なる点として、トリガーは設定しません。
ちょうど、上で示したデザインの画像の通りになります。
[2019/05/12追記]
また、Lambda関数名は、API Gateway受けのLambda関数内でoperateEc2を起動するように指定しているので、operateEc2という名前で作成しない場合は、
serverlessSlacktoEC2/lambda_function.py at master · hirano00o/serverlessSlacktoEC2
operateEc2を適宜変えてアップロードし直してください。

EC2操作のLambda関数の全体のコードはこちらになります。
https://github.com/hirano00o/serverlessLambdatoEC2/blob/master/lambda_function.py

環境変数は、4つ設定します。
まずは、Incoming WebhookのURL(https://hooks.slack.com/services/Txxxxxx/Byyyyyyy/zzzzzzzzz)の、Tから始まる値、Bから始まる値、そして一番最後の値です。
これらをそれぞれ、T_TOKENB_TOKENWEBHOOK_TOKENという変数名で設定しKMSで暗号化します。(https://hooks.slack.com/services/T_TOKEN/B_TOKEN/WEBHOOK_TOKENという形になります。)

次に、Slackのメッセージを削除するために必要なLEGACY_TOKENを取得して設定します。
LEGACY_TOKENは、https://api.slack.com/custom-integrations/legacy-tokens から取得できます。
これらも先ほどと同様にKMSによる暗号化を施して、関数を保存します。

上記より、環境変数の箇所は下記のようになります。# 順番は気にしないでください。。
EC2操作.png

コードについて簡単に説明しますと。。。
最初にSlackから必要なコマンドが送られてきているか確認しています。
例えばSlackで/ec2 stop i-xxxxと入力すると、command_text = event["text"]にはstop i-xxxxが入ります。

Command(command_text)でインスタンスを生成するとともにコンストラクタ(33-39行目)を呼び出し、command_textをスペースで区切り、クラス内変数のcommandparamにそれぞれ代入します。
先の例でいうと、commandstopparami-xxxxが入ります。

クラス内変数commandcommandListにあるか確認をcommandProcess.ok_command()で行います。commandListにあれば、commandに沿った処理を行い、なければhelpメソッドを実行します。

boto3については、AWS SDK for Python | AWSを確認ください。

commandProcess = Command(command_text) # command_textをスペースで分割し、クラス内変数commandとparamを設定
if commandProcess.ok_command() == False: # クラス内変数commandがグローバル変数commandListにあるか確認
    commandProcess.help_command() # なければヘルプコマンドとしてを処理
else:
    ec2 = boto3.client('ec2')
    if commandProcess.command == 'help':
        commandProcess.help_command()
    elif commandProcess.command == 'stop':
        commandProcess.stop_command(ec2)

stop処理commandProcess.stop_command(ec2)が呼ばれた場合です。クラス内変数paramをインスタンスIDとしてEC2の停止処理ec2.stop_instances()を実行します。
停止処理が失敗した場合、except以下が実行され、ログにエラー内容を残すとともに、エラーメッセージをSlackに投稿(IncomingWebhook)します。
成功した場合は、else以下が実行され、成功時のメッセージをSlackに投稿(IncomingWebhook)します。

ec2でどのようなメソッドがあるかは、EC2 — Boto 3 Docs 1.9.137 documentationを確認ください。

def stop_command(self, ec2):
    if self.param == '':
        return 'put instance id. ex stop i-xxxxxxxxx.'
    try:
        status = ec2.stop_instances(InstanceIds=[self.param])
    except ClientError as e:
        logger.error(e.response["Error"])
        return postSlack(e.response["Error"]["Message"])
    else:
        return postSlack(self.param + " is stopped.\nstatus is " + str(status["ResponseMetadata"]["HTTPStatusCode"]))

Slackへの投稿(IncomingWebhook)はこの通りです。
気を付けないといけないのは、リクエストで送るJSONをエンコードしておかないといけないところですかね。エンコードしないとエラーとなります。

def postSlack(text):
    request = urllib.request.Request(
        WEBHOOK_URL,
        json.dumps({
            'text': text
        }).encode(),
        {
            'Content-Type': 'application/json'
        }
    )
    with urllib.request.urlopen(request) as response:
        returnData = response.read()
        logger.info(returnData)

ここまでが主な処理で、あとは最初に返したメッセージを削除deletePrePost()するだけです。

まず、チャンネルのヒストリをチャンネルヒストリAPI(channels.history method | Slack)で取得します。
そして、取得したヒストリのメッセージを1つずつ確認し、プロセスIDをもとに、Lambda(API Gateway受け)でSlackに返却したメッセージを検索します。
該当のメッセージが見つかれば、削除API(chat.delete method | Slack)を利用して、メッセージを削除します。
これらのAPIを利用するために、SlackのLEGACY_TOKENが必要になります。

チャンネルヒストリAPI(channels.history method | Slack)を利用するときに、paramsoldestを設定すると、指定した時間以降のメッセージを取得できるそうです。
これを設定しないとチャンネルのメッセージ全てを取得してしまうので、処理時間が長くなってしまいます。

params = {
    'channel': channel,
    'token': DECRYPTED_LEGACY_TOKEN,
    'oldest': startUnixTime
}

API Gatewayの作成

[2019/04/27修正]
API Gatewayは、Lamda関数でトリガーを設定したときに作成されている状態です。
しかしこのままだと、Slackからの値をLambda関数でうまく拾えないので、設定を変更していきます。

リソースのANYから、統合リクエストを選択します。
Lambda プロキシ統合の使用にチェックが入っているので、外します。このときにダイアログが2回ほど出てきますが、すべてOKで進めます。
チェックを外すと項目がいくつか増えます。一番下のマッピングテンプレートを選択し、テンプレートが定義されていない場合 (推奨)をチェックします。
マッピングテンプレートの追加から、application/x-www-form-urlencodedを入力してチェックマークで保存します。
application/x-www-form-urlencodedを選択し、{ "body": $util.urlDecode($input.json("$")) }を入力し、保存します。
mapping.png

最終的に下記のようなリソースツリーとなっているかと思います。
resource.png

あとは、アクションからデプロイを選択し、ステージを選択してデプロイします。
デプロイしたときに出力されたURLは、スラッシュコマンドのリクエストURLに設定するときに利用します。
実際に設定するURL体系は、上記例を基にするとhttps://xxxxxx.execute-api.ap-northeast-1.amazonaws.com/[ステージ名]/slack-ec2となります。

スラッシュコマンド作成

最初のSlackアプリケーション作成でアクセスしたページのSlash CommandsからCreate New Commandで作成します。
ここのRequest URLに、先ほどのURL(https://xxxxxx.execute-api.ap-northeast-1.amazonaws.com/[ステージ名]/slack-ec2)を入力します。
細かい内容は割愛します。

完成

こんな感じになります。
stop状態でstopしても200で返ってくるそうです。
playgif.gif

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