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NITech-KatolabAdvent Calendar 2024

Day 17

【だいたいわかる】Fusionと3Dプリンタによるお手軽制作

Last updated at Posted at 2024-12-16

クリスマスまであと1週間

...だというのに

プレゼント用意してない!

なんて人はいませんよね.

え?用意してない??

今から探しても届くか分からないし,焦って探して変なものになるかも???

しょうがないなぁ...

3Dプリンタでプレゼントを手作りする方法

を教えてあげましょう!

これはNItech-Katolab Advent Calendar 2024のための記事です.
CAD/3Dプリンタの知識はないけど,研究室の3Dプリンタを使って研究用アイテムを作りたい人向けに,最低限必要な手順やポイントをまとめました.

用意するもの

  • PC(Windows,MacどちらでもOK)
  • 3Dモデリングソフト「Autodesk Fusion
    • 3Dデータを作るソフト
    • 企業用・学生用・個人用の3つが存在
    • 今回は無償で使える個人用(商用利用不可)で説明
  • 3Dプリンタ「CREATOR 3 PRO
    • 研究室にある3Dプリンタ
    • フィラメントを溶かして層状に積み重ねることで立体物を作成するFDM方式
  • スライサソフト「FlashPrint
    • プリントのための設定をするソフト
    • CREATOR 3 PRO対応

3Dモデルを作る

Autodesk社製の3Dモデリングソフト「Autodesk Fusion」(以下,Fusion)を使って3Dモデルを作ります.今回使用する個人用は一部機能が制限されていますが,十分使えます.(商用利用はできないので注意が必要です.)

Fusion(個人用)のインストール

Fusion公式HPにある「個人用Autodesk Fusionへアクセス」よりダウンロードします(Autodeskアカウントの作成とダウンロードフォームの入力が必要).フォーム入力後に表示されるリンクよりFusion Client Downloader.exeを取得・実行して,インストールを行ってください.(特別な設定は不要)

インストール完了後,ソフトを起動してください(起動時にAutodeskの認証が必要).
チーム名を要求されますが,自由に設定して問題ありません.
下のような画面が表示されれば準備完了です
image.png

Fusionでのモデリング

新規デザイン作成

左上のメニューバーにある[ファイル]→[新規デザイン]より新しいデザインを作成できます.
(過去に作成したデザインは[ファイル]の左にある[データパネルを表示]より確認可能)
image.png

基本操作

作り始める前に最低限知っておきたい操作を紹介します.

操作 入力
ズーム マウスホイールを上下に動かす
画面移動 マウスホイールを押しながらカーソル移動
視点移動(オービット) [Shift]キー+マウスホイールを入力しながらカーソル移動
アイテム選択 左クリック
複数選択 [Shift]キーを入力しながら左クリック
範囲選択 左クリックを入力しながらカーソル移動

コピー・貼り付け・切り取り・元に戻す・やり直しは一般的なショートカット([Ctrl]もしくは[Command]キー+[c/v/x/z/y])で利用可能です.

視点移動には画面右上のキューブも使えます.クリックした面や辺,角が正面なります.
image.png

工程1-1.スケッチを描こう

さっそく作業工程です.
まずは作りたい物の平面図のスケッチを描くところから始めましょう.
画面上部のメニューにある[作成▼]→[スケッチを作成]をクリックします.
スケッチを描きたい平面(xy, yz, xz)を選択します.
image.png

スケッチ用ツール(基本)

スケッチを描くにはツールを使用します.
スケッチ作成画面の[作成▼]よりツールを選択可能です.
線分をメインで使いつつ,必要に応じて長方形・円を使いましょう.
ツールでは線の長さを指定できますが,基本的にFusionはmm単位なので注意です.

ツール名 内容 イメージ
線分 直線を引く(長さと角度を指定可能)
長方形 長方形を描く(縦と横の長さを指定可能)
円を描く(半径・直径・接する線などを指定可能)
スプライン 曲線を描く

スケッチ用ツール(ミラー)

線対称なスケッチを描きたい場合は,片側を描いてそれをミラー化しましょう.
[作成▼]→[ミラー]より,ミラー化したいスケッチと対称軸となる線を選択します.
(対称軸用のスケッチ線がない場合は追加)
似た考え方で[円形状パターン]や[矩形状パターン]などもあります.
image.png

スケッチ用ツール(文字)

文字のスケッチも可能です.
[作成▼]→[文字]を選択します.最初に文字をスケッチする範囲を決めます.
表示されるメニューより入力したい文字やフォント,サイズ(高さ),反転,位置合わせの設定が可能です.
image.png

拘束ルール

またスケッチ画面の[拘束▼]より2つのスケッチ線に拘束ルールを付けられます.
長さを等しくする[等しい],平行にする[平行],直交させる[直交]などがあります.

image.png

スケッチが終了したら右のメニューにある[スケッチを終了]をクリックして終了しましょう.

工程1-2.スケッチから立体へ

スケッチをもとに立体を作成します.
画面上部の[作成▼]→[押し出し]を選択します.
先ほど描いたスケッチを選択すると,矢印が出てきます.矢印をドラッグすると,ドラッグ方向にスケッチを平面図とした立体を作成できます.
image.png

簡単な立体であればスケッチから押し出さなくても作成可能です.
[作成▼]→[立方体]/[円柱]/[球]より大きさを指定して作成できます.
image.png

工程1-3.形を編集する

ベースとなる立体の形に編集を加えていきます.
画面上部の[修正▼]より様々なツールを利用できます.

ツール名 内容 イメージ
プレス/プル 面の押し出しによる延長・短縮
面取り,フィレット 角をとる(フィレットの場合,角を丸くする)
結合 重なった2つ以上の立体を結合させて1つの立体にする
結合-切り取り 2つの立体の重なった部分を取り除く(右のメニューより[切り取り]を選択)
結合-交差 2つの立体の重なった部分だけを残す(右のメニューより[交差]を選択)
ボディを分割 面を利用して立体を分割する
シェル 立体を空洞にする

画面上部の[作成▼]からも編集が可能です.

ツール名 内容 イメージ
スケッチを作成 立体の側面にスケッチを作成し,その後[押し出し]を使って立体を作成.右のメニューより[結合],[切り取り],[交差]などが選択可能
指定した場所に穴をあける.単に円柱で切り取るのに比べ,穴の形状など細かい設定が可能

スケッチ作成やプレス/プル,面取り,シェルなどを使用した例
image.png

工程1-4.デザインの保存

3Dモデルができたら保存をしておきましょう.
画面左上のメニューバーにある[保存]から保存できます.
image.png

工程1-5.STLファイル形式へ出力

作成した3Dモデルをスライサソフトで読み込めるように,STLファイル形式で出力します.
画面左上のメニューバーにある[ファイル]→[エクスポート]をクリックします.
image.png

ファイルタイプを[STLファイル(*.stl)]に設定し,[エクスポート]をクリックすれば完了です.
image.png

3Dプリンタで印刷しよう

印刷前に,3Dモデルをスライサソフトに読み込んで印刷時の設定を行います.
スライサソフトには研究室の3Dプリンタ「CREATOR 3 PRO」に対応したFLASHFORGE社製の「FlashPrint 5」を使います.

FlashPrint 5のインストールとセットアップ

FlashPrint 5公式ダウンロードページよりダウンロードしてください.
詳しいインストール方法はダウンロードページ下部に記載されています.
インストール完了後にソフトを起動すると機種の選択を求められるので,「CREATOR 3 PRO」を選択しましょう.
image.png

FlashPrint 5を使った印刷設定

工程2-1.STLファイルの読み込みと調整

[ファイル]→[ロードファイル]よりFusionで出力した3DモデルのSTLファイルを読み込みます.すると画面に表示された枠の中に作成した3Dモデルが現れます.この枠は3Dプリンタの土台(印刷が始まる部分)を表しています.
image.png

右にあるメニューバーを使って位置や角度を調整しましょう.拡大・縮小や複製,切り取りなども行えます.今回は角度のみを調整しました.
image.png

工程2-2.サポート材の追加

3Dモデル内に宙に浮いている箇所がある場合,そのまま印刷すると失敗してしまいます.
研究室の3Dプリンタは溶かしたフィラメントを積み重ねて立体物をつくるので,浮いている部分は積み重ねる部分がなく上手に印刷できないのです.
例のモデルも下から見ると,文字の下や四角い穴の裏側が宙に浮いていることがわかります.
image.png
このままではまずいので,サポート材と呼ばれる支柱を付け加えます.
[編集]→[サポート材](もしくは右のメニューバー[サポート材])から付けます.
[自動サポート]により必要な箇所へ自動的にサポート材を付けることができます.また手動で追加・削除することも可能です.
サポート材は印刷後に取り除きます.ただサポート材がついていた場所には跡が残ってしまうので注意が必要です.
image.png

工程2-3.スライス実行とラフト追加

調整が終わったら画面上部の[スライスの実行]をクリックします.
FlashPrint 5には「基本モード」と「エキスパートモード」の2モードが存在しますが,今回は細かい設定ができるエキスパートモードを使います.
エキスパートモードではラフトと呼ばれる補助パーツの設定ができます.
ラフトは印刷中に造形物が土台から浮いてしまうのを防いでくれます.
[ラフト]の[ラフト有効]を「はい」に設定します.

設定が終わったら[スライス]を実行しましょう.
image.png
[スライスのプレビュー]より印刷の過程を確認できます.
下の紫がラフト,水色がサポート材です.
問題なければ[プレビューを閉じる]の右にある[保存]をクリックしてGXファイルを出力します.

工程2-4.印刷

いよいよ印刷です.
まずは3Dプリンタの土台(テーブル)が汚れていないか確認します.
次に出力したGXファイルをUSBに入れ,3DプリンタのUSBポートに接続します.
タッチパネルの[プリント]→[メモリーカード]から印刷したいモデルのGXファイルを選択し,[プリント]をタップすれば後は待つだけです.

工程2-5.後処理

印刷が終わったらヘラを使って土台から印刷物を剥がします.
次にラフトとサポート材を取り除きます.手で取れない場合は,ニッパーやカッターナイフで取り除きましょう.

まとめ

これを見れば最低限,3Dモデルの設計と3Dプリンタでの印刷ができると思います.
Fusionは便利だけどかなり難しいソフトで,調べても解決しないことはザラです.
そんなときはFusionの日本語フォーラムで聞いてみましょう.プロレベルの方々が親身に対応してくれます(ガチ).3Dプリンタはトライ&エラーの繰り返しなので,いろいろ調べながら試しながらやるのがいいと思います.

クリスマスまで残り1週間、想いのこもった世界に一つだけのプレゼントを作りましょう!
(P.S.自分だったら今からでもちゃんと選んで買ったものを渡します.)

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