STマイクロ純正のデバッグアダプタであるSTLINK-V3 MODS(以降V3MODSと表記) は STLINK-V3 SET(以降V3SETと表記)と同等の機能を持ちながら1000円強という安価が魅力です。ボードへの実装を主な用途としているようで、USB以外のコネクタはついていません。このV3MODSに標準ピッチアクセスできるようにしようというのが今回の目的です。専用基板の作成用として設計データをgit公開している方がいますが(見栄えもよいです)、私は市販されている部材とハンダ付けで簡易に対応することにしました。
STLINK-V3製品ラインナップの簡易比較
V3SET | V3MODS | V3MINI | |
---|---|---|---|
調査時のDigi-Key価格[JPY] | 4189 | 1051 | 1241 |
サイズ | 大 | 小 | 小 |
仮想COMポート(VCP) | 〇 | 〇 | 〇 |
USBブリッジ(UART,I2C, CAN, GPIO) | 〇 | 〇 | × |
標準ピッチのピンヘッダ搭載 | 〇 | × | × |
STDC14コネクタ搭載 | 〇 | ×(*1) | 〇 |
STDC14 to STDC14 flat cable付属 | 〇 | × | 〇 |
*1. ハンダ付け用のパッドはあり
V3MODS 選定理由
上表からわかるように、標準ピッチアクセスしたいならV3SET を買えばよいです。私は既にV3SETを所有しているのですが、移動時等、別の場所で使用するために小型のものを追加したいと考えました。USBブリッジ機能が不要ならV3MINIでもよいですが、ユーザーマニュアルに "32-pin edge connector for STLINK-V3MODS" との記載があり、V3MINI ではエッジコネクタは全く利用できないのかもしれません(未確認)。V3MINIで標準ピッチアクセスするならSTDC14用フラットケーブルのコネクタからピッチ変換すればよいと思います。今回、私はSTDC14 での接続を必要としておらずV3MODSを選びました。
必要となるものの準備
対象者
・ハーフピッチ(1.27mm)のハンダ付けでも心折れない人→自信がない人は事前に訓練しましょう(参考)
必要となるもの
・1.27→2.54mm 32ピン ピッチ変換基板 ※V3MODSが15.24mm幅であり、両サイドに単列L字型ピンヘッダを置く必要があります。
例:aitendo 127S1507D32A
・1.27mmピッチ 単列L字型ピンヘッダ
例:aitendo PH127SL-A
・2.54mmピッチ 単列ストレート型ピンヘッダ
例:aitendo PH254S-B6
上記の部材費としては300円程度で済みます。(USBケーブルや、ターゲットボードとの接続に使用するケーブルは別途必要です。)
ピンヘッダは片側16ピン x 2 の計32ピンあればよいのですが、カットする際に損傷するリスクがあるので多めにあると安心です。(特に1.27mmピッチのピンヘッダは慎重にカットしましょう)
作業のポイント
-
L字型ピンヘッダを固定する場所
V3MODSを隙間なく挟み込む必要があります。→隙間が大きいとハンダで繋ぐのが困難になります。 -
ハーフピッチ(1.27mm)のハンダ
隣のピンとショートしたり、付近の部品をハンダで焼いてしまわないように注意しましょう。(※隣り合わせのNo.26&27ピンはGNDなので繋がっています)
32-pin edge connectorのピンアサイン
STマイクロ公式サイトより入手可能なユーザーマニュアル(UM2502)より抜粋
完成
STLINK-V2搭載しているSTM32F4 DiscoveryボードにあえてSTLINK-V3を繋ぐの図(笑)