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IPカメラボードの入手とセットアップ

Last updated at Posted at 2021-06-30


2021年4月2日 自社ブログ投稿分より

こんにちは。himeshimaです。
今回はIPカメラボードの入手とセットアップについて、実際に私が業務でやってきたことをお伝えしたいと思います。

開発評価用と製品用の2つのボード

IPカメラの開発ではSoCと開発ボードを選定してから、実際にボードを入手します。「開発評価ボード」では多くのピンにアクセス可能だったり、デバッグしやすい環境が整っていることが多いです。「開発評価ボード」の他に開発用途に使えるものとして「IPカメラボード」があります。これはIPカメラ製品に使われるボードそのもので、ピンは必要最低限のものしか出ていません。多くの場合、デバッグ用のUARTはランドのみ用意されている状態で、別途コネクタをハンダ付けする必要があります。

今回入手したものは「IPカメラボード」であり、CMOSイメージセンサを搭載したタイプのものです。ボード単体のみでの販売となり、セットアップが大変そうだと思いましたが、他に販売業者が見つからず買うことにしました。


購入したIPカメラボード:中心部にセンサーを搭載

中国の通販サイトの利用

私は日本で買えないものは中国の通販サイトから買うことが多く、以下の3つ(全てAlibabaグループ)をよく使います。

  1. Alibaba 英語使用可
  2. AliExpress 英語使用可
  3. Taobao 英語使用不可(一部対応してくれるお店あり)

私は英語も中国語も話せないのですが、それでも翻訳ツールを使えば、ある程度はコミュニケーション可能であることを体験してきています。購入手続き開始後、チャットでやり取りして日本までの送料を追加するというフローが多いです。データシート等のドキュメントはこちらからリクエストしないと貰えなかったりします。

Taobaoでは海外への発送経験のない店主(「address」という英単語すらわからないレベル)に日本への発送をお願いしました。SF Express (順豐速運) という中国からの国際宅配便でよく使われる運送業者を指定し、配送先情報を入力するフォームについて粘り強くフォローすることで何とかなりました。

中国の通販サイト利用時の注意点

・海外通販では偽物や粗悪品、不良品等のトラブルリスクは高くなります。ご利用の際にはよくよく調べて、自己責任で行って下さい。業者との直接のやり取りが不安な人には代行サービスを利用する手段があります。

・中国の業者とのやりとりにおいて、例えばドキュメント等のデータを送ってもらう際によく使うのが、Baiduクラウドストレージ「百度网盘」です。中国ではGoogle Drive、OneDrive、DropboxといったメジャーなクラウドストレージはVPN経由でないと使えないようです。そもそも中国内に住んでいる人の内、これらのものを使っている人は少数でしょう。中国スタンダードなやり方に従うことでスムーズに進めることができます。

IPカメラボードを買う際に気をつけたこと

全ての条件を満たさないと、すぐに開発用途に使うことは難しいです。
・ピン配列を教えてもらうこと
⇒ピン配列を示した簡易ドキュメントは提供OK
SDKを入手可能であること
⇒今回は事前に入手済なので問題なし
・付属品有無確認の上、不足品がないこと
⇒ボード単体のみの販売と判明。不足品は別途調達する必要あり
・センサードライバーを提供してもらうこと(SDKに含まれていないセンサー使用のため)
⇒センサードライバーのソースコード提供OK

不足品の手配

上記確認結果を元に、追加で用意する必要があるものを事前に把握できましたので、それらを手配しました。

PoE + DCケーブルは日本では割高なものしかなく、AliExpressで10本パックを購入しました。その他は国内のAmazonで入手できました。

ハードウェアのセットアップ

ハードウェアのセットアップでポイントとなるのは以下の2点です。

  1. USB-UART接続ケーブル作成と基板へのコネクタ取り付け
  2. PoE + DCケーブルから基板のコネクタピン配列に合わせた接続

USB-UART接続ケーブル作成と基板へのコネクタ取り付け

UARTの線出しは組み込み開発では基本中の基本ですね。これまで私にとって狭いピッチのハンダ付けが難関でしたが、今回は特に問題ありませんでした。ボード上1.25mmピッチのハンダ付けが必要でしたが、精密用の細いコテ先と0.3mmハンダを使うことで、肉眼のみで成功できました。最近まで顕微鏡を使わないとできなかった(詳しくは過去ブログ参照)ので、少しだけレベルアップできたと思います。


基板にコネクタをハンダ付けし、作成したピッチ変換ケーブル経由でUSB-UARTに接続します

PoE + DCケーブルから基板のコネクタピン配列に合わせた接続

基板のピン配列に従ったコネクタを用意しなければなりません。まずは1.25mmピッチのコネクタへのケーブル脱着が可能なのかを確認しました。ケーブル先端の金属突起部をコネクタの溝に引っ掛ける構造となっており、ピンセットを使うだけで、コネクタを破損することなくケーブルを外すことが可能でした。


コネクタに差し込むと、ケーブル先端の金属突起部を引っ掛けて固定されます

次にEthernet(RJ45)のピン配列を確認しました。ケーブルの色が信号毎に決められている規格(T568A, T568B)があるようですが、全ての物が規格準拠しているわけではなさそうです。よってケーブルの色ではなくRJ45コネクタのピン配列を元に、テスター(マルチメーター)を使って各ケーブルとの対応を確認するのが確実です。これで基板とPoE + DCケーブルそれぞれのピン配列が明らかになったので、対応する並びとなるようにケーブルをコネクタに繋げばよいです。電源供給はACアダプターのみから行い、PoE給電には対応不要とします。


※色分けはツイストペアケーブルを表します

今回購入したPoE + DCケーブルのピン配列確認結果(色規格に準拠せず)
ボード側コネクタのピン配列に合わせてケーブルをコネクタにセットします

セットアップ完了

これまでの作業を終えて、ようやくIPカメラボードを使うための最低限の準備が整いました。(ボードの持ち運び移動や静電気対策を考慮してケースに収めるのが望ましいです。ケーブルをケースに固定するなどしてケーブルに負荷がかからないような対処もした方がいいですね。)


最低限必要なセットアップを終えた状態

今回はIPカメラ開発における物品の購入からハードウェアのセットアップまでの一連の流れを見てきました。海外通販もハンダ付けも「慣れ」が必要ですが、やればできるようになります。ソフトウェア開発担当であっても、環境セットアップやちょっとした修理ぐらいはやれるようにしておきたいと思います。

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